立てば説教 座れば嫌味 歩く二人は薔薇の刺

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立てば説教 座れば嫌味 歩く二人は薔薇の刺(脚本)

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〇豪華な部屋
マリエ「せいっ!」

〇休憩スペース

〇休憩スペース
マリエ「とお!」
冴島「ほう?」
マリエ「てえ!」
マリエ「保存してやったわ!」
冴島「・・・出来てますかね・・・?」

〇屋敷の大広間

〇屋敷の大広間
マリエ「・・・ハッピバースデーツーユー・・・」

〇怪奇現象の起きた広間(血しぶき無し)

〇豪華な部屋

〇豪華な部屋
マリエ「・・・逝くわよ、もう」
マリエ「・・・私、成仏しちゃうのよ?」
マリエ「・・・」
マリエ「・・・」
マリエ「ユキノのバカ!」
冴島「・・・」

〇個人の仕事部屋

〇個人の仕事部屋
  (・・・クッソ忙しい・・・)
  (マリエは凄かったんだね。
  ずっと一人でこんなのやってたんだ)
  ・・・はあー・・・。
  (・・・お腹空いた・・・)
冴島「お疲れ様です」
  あ! いい所に!
冴島「お昼を食べ損ねているでしょう 今日は中華にしてみました」
  神様ホトケサマ冴島様!
冴島「社内の見回りついでですよ」
冴島「ああ、タクミ様にお会いしました」
  あれ? リモート平社員にしてたのに?
冴島「最近は何かと理由をつけては 出社しているみたいですね」
冴島「ユキノさんにお会いしたいのでしょうが 叶いませんから 同期に愚痴っては帰るらしいですよ」
冴島「相手にされていませんが、めげない方です」
冴島「・・・美味しいですか? ゆっくり召し上がって下さい」
  アイツ、もぐもぐ。
  せっかく「クビか一生ヒラか」選ばせて
  あげたのに、もぐもぐ。
冴島「お茶を」
  もぐもぐ、私の視界に入った瞬間、
  クビだからって釘さしといてくれます?
  もぐもぐ。
  それも慰謝料減額の条件だったんだから、
  もぐもぐ、
  破ったら即支払えって、もぐもぐ。
冴島「お行儀が悪いですよ」
  もぐもぐ、はい、もぐもぐ。
冴島「・・・?」
  どしたんですか?
冴島「・・・いえ・・・ん?」

〇個人の仕事部屋
マリエ「お行儀が悪いわ!」
マリエ「食べながら喋るなんて! はしたない!」
マリエ「口いっぱいに頬張らない!」
マリエ「お箸を振り回さない!」
マリエ「パソコンの側に飲み物を置かない!」
マリエ「まったくもう! ちょっと目を離すとこれなんだから!」
  ・・・は?
マリエ「・・・あ!」

〇個人の仕事部屋
  ・・・なんでいるの? 何ヵ月振り?
  成仏は? 失敗? 地縛霊になったの?
  さまよう霊魂? 怨念? 呪い?
マリエ「なによ、その悪いイメージ! そうだわ思い出した!」
マリエ「最後の夜も酷かった! あんなに酔っ払ってキチンとしたお別れも してなかったのよ!」
マリエ「だから上に掛け合って化けて出られる様に してもらったの!」
マリエ「心残り過ぎて、もう本当に腹立たしくて 悪霊になる所だったわ!」
  ・・・ふーん?
マリエ「・・・あ、久しぶりね、うん 元気そうで良かったわ」
  うん、まあね。
  へえー、ふーん、そうなんだ?
  私に説教しに戻って来たの?
マリエ「そ、そうよ! ありがたく取り憑かれなさい!」
マリエ「まず今の、あんなマナーの欠片も無い 食べ方から直しなさい! 忙しいからって言い訳にならないわ!」
  ・・・はーい、ふーん。
マリエ「・・・なによ? 言いたい事があるなら・・・」
マリエ「なによ?! どうしたの?! 食べ過ぎ?! お腹痛くしたんじゃないの?!」
マリエ「大丈夫?! 泣くほど痛いの?! 冴島、救急車!」
冴島「いえいえ、必要なのはハンカチですよ」
マリエ「え?」
冴島「泣くほど嬉しいんですよ、ユキノさんは」
冴島「マリエさんが帰ってきて嬉しいんです」
冴島「真正面からサヨナラも出来ないぐらい 悲しんでいたんですから」
冴島「僕も嬉しいです、嬉しいよ」
冴島「おかえり、マリエさん」
マリエ「・・・ウフフ」
マリエ「でしょー?! やっぱり私がいないとダメねー!」
マリエ「ガサツで気も利かないし短気なクセに おおらかで優しくて」
マリエ「本当に馬鹿みたいに良い娘なんだから」
マリエ「まだまだ女としてもビジネスマンとしても 成長出来るわ! ビシバシ鍛えるわよ!」
マリエ「・・・だから、もう少し一緒にいさせて!」
  ・・・うん。
マリエ「い、嫌だって言われてもユキノに、 なんなら冴島に憑くつもりだったけどね!」
マリエ「だから泣かない! 泣いてる暇なんて無いわ!」
マリエ「さあ、ほら、何から始めるの? 今、どういう状況なの? 帳簿を開きなさい、スケジュールも・・・」
  うるさいなあ、本当に・・・。
  仕方ないなあ、もう・・・。
  ・・・うふふ。
マリエ「・・・ウフフ」
  会いたかったよ!
  よし! なんか元気になってきた!
  幽霊は疲れないんだから沢山手伝ってね!
マリエ「はい?」
  ていうか、資料は自分で見れるでしょ?
  成仏前には物も動かせるように
  なってたじゃん?
  私はとりあえずご飯食べちゃうね!
  全部把握したら指示して、やるから!
  ああそうだ、ずっと気になってたんだけど
  マリエに魔法みたいなの教えてくれたり
  その化けて出ていいよ、みたいなさ?
  誰なの? 天使みたいな? 神様?
  あ、日本だし仏様的な?
マリエ「すぐ調子に乗る! こういえばああいう、そういう所よ?!」
マリエ「ゆっくり急いでお上品に食べなさい! なんなの?! もう?!」
  うふふ。
マリエ「・・・」
マリエ「ウフフ」
冴島「さあ、忙しくなりますね」

〇超高層ビル
  おわり。

コメント

  • 完結おつかれさまでした。
    嫁姑問題モノかと思いきや、2人の魅力的なキャラが織りなすハートフルストーリーにすっかり見入ってしまいました。2人の大胆さや細やかさが随所で見て取れる繊細なストーリーに心打たれました。

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