〇森の中
ヴィオラ・コーディエ「・・・仮面の戦士!?」
仮面の戦士「・・・学園の魔道士だったのか」
仮面の戦士「あのとき始末しておくべきだったな」
ヴィオラ・コーディエ「え・・・？」
ノエル・エンジェライト「行きましょう プルウィルストーンを探さなければ」
仮面の戦士「無駄だ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「あれは・・・ プルウィルストーン!?」
ノエル・エンジェライト「・・・探す手間が省けましたね」
ノエル・エンジェライト「彼を倒し、プルウィルストーンを入手しましょう」
ヴィオラ・コーディエ「お、おう！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なぜおまえが学園長の妨害するのかは知らないが・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレたちの邪魔をするなら、容赦はしない」
仮面の戦士「哀れな者どもよ・・・」
仮面の戦士「わが剣の錆びにしてやろう！」

〇貴族の部屋
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「あ、陛下・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「なにをしていたのだ？」
ミモザ・クラリティ「特別試験の成功を祈っていました」
ミモザ・クラリティ「それと、シグバート様とヴィオラ様がご無事でありますように、と・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「特別試験のメンバーは３人だったな」
ナギット・フォン・スペサルト「・・・もうひとりは誰なのだ？」
ミモザ・クラリティ「確か・・・同級生の方だったかと お名前は存じ上げないのですが」
ナギット・フォン・スペサルト「そうか ・・・ならばよい」
ミモザ・クラリティ（父上が奥宮殿までいらっしゃるなんて、どうしたのかしら）
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ（シグバート様とヴィオラ様・・・ ケンカしてないかしら）
ミモザ・クラリティ（もうひとりの方が、仲裁してくださるような方だったらいいのだけど・・・）

〇森の中
ヴィオラ・コーディエ「はッ！」
仮面の戦士「甘い！」
ヴィオラ・コーディエ「くっ・・・！」
ヴィオラ・コーディエ「あ・・・ありがと」
シグバート・フォン・ブラッドショット「油断するな！」
仮面の戦士「こちらから行くぞ！」
ヴィオラ・コーディエ（一撃が重くて速い・・・！）
ヴィオラ・コーディエ（剣には自信があったけど・・・）
ヴィオラ・コーディエ（こいつ・・・ あたしより、ずっと強い！）
ヴィオラ・コーディエ（それに・・・ こいつの剣、どこかで・・・）
ヴィオラ・コーディエ「・・・っ！」
仮面の戦士「戦いの最中に考え事とは、ずいぶん余裕だな」
仮面の戦士「今とどめを・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノエル！」
仮面の戦士「くっ・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ちょっと待て！ こいつに聞きたいことが・・・」
仮面の戦士「・・・火精術使いと氷精術使いか」
仮面の戦士「ならば―― わが力、見せてやろう」

〇空

〇空

〇森の中
シグバート・フォン・ブラッドショット「雷精術・・・!?」
ヴィオラ・コーディエ「・・・違う！ 風精術で雨雲を呼んだんだ！」
シグバート・フォン・ブラッドショット（この雨では、オレの火精術は威力を発揮しない！）
シグバート・フォン・ブラッドショット「ヴィオラ！　ノエル！ オレは後ろでサポートする！」
ヴィオラ・コーディエ「おう！」
ノエル・エンジェライト「・・・了解」
仮面の戦士「思い上がるのもここまでだ」
仮面の戦士「さあ、行くぞ！」

〇華やかな裏庭
デアネイ・フォン・スペサルト（姉上・・・ 今ごろポーラに向かってるかな）
デアネイ・フォン・スペサルト（晴れてきたし、散策でもしようかな・・・）
「・・・聞いた？ ミモザ様のこと」
「あのウーウァ王子に嫁ぐのよね お可哀想に・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト（・・・だいじょうぶ 姉上は城を出たんだから）
「明日にはプレーンへ向かうそうよ」
「あの王子にどんな扱いをされるのかしらね・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト（・・・まさか！ 見つかって連れ戻されたの!?）
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上・・・！」

〇貴族の部屋
ミモザ・クラリティ（雲が晴れた・・・）
ミモザ・クラリティ（ヴィオラ様たち、今ごろどの辺りにいるのかしら）
ミモザ・クラリティ（・・・学園にいたはずなのに わたし、どうして城に？）
ミモザ・クラリティ（シグバート様とヴィオラ様が特別試験の受験資格を与えられたって聞いて）
ミモザ・クラリティ「そのあと・・・は・・・」
ミモザ・クラリティ「あっ・・・ああ・・・！」
ミモザ・クラリティ「あ、頭が、割れる・・・！」
デアネイ・フォン・スペサルト「どうしたの!?」
ミモザ・クラリティ「ううっ・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「だいじょうぶ!?」
ミモザ・クラリティ「あ、ありがとうございます デアネイ様・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・えっ」
ミモザ・クラリティ「あの・・・今日はどうして奥宮殿にいらっしゃるのですか？」
デアネイ・フォン・スペサルト「あ・・・姉上？」
ミモザ・クラリティ「姉上だなんて・・・」
ミモザ・クラリティ「庶子のわたしがデアネイ様の姉だなんて恐れ多いです」
ナギット・フォン・スペサルト「そのとおり」
ナギット・フォン・スペサルト「出立の準備はできているのか？」
ミモザ・クラリティ「はい・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「レオナが死んだ」
デアネイ・フォン・スペサルト「レオナ様が!?」

〇流れる血
ナギット・フォン・スペサルト「ヘンリーは息子と娘を和解させるという名目で会談を調えたらしい」
ナギット・フォン・スペサルト「ところが、晩餐のワインに毒が盛られていたのだ」
ナギット・フォン・スペサルト「それを知らず、レオナはワインを飲んだ・・・」

〇貴族の部屋
ナギット・フォン・スペサルト「哀れな娘だ 母親と同じ死に方をするとはな」
デアネイ・フォン・スペサルト「そんな・・・レオナ様・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「ヘンリーが望む後継者はウーウァだと知っていただろうに」
ナギット・フォン・スペサルト「父親が娘を殺すはずがないと思い上がっていたのだろうな」
ナギット・フォン・スペサルト「レオナがいない今、ウーウァに取り入るのも容易になったな」
ナギット・フォン・スペサルト「ミモザ、この意味がわかるな？」
ミモザ・クラリティ「はい・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「待ってよ！ ボクは納得してない！」
ナギット・フォン・スペサルト「いつまで子どもじみたことをいっているのだ」
ナギット・フォン・スペサルト「王族の婚姻など、国益になるか否か」
ナギット・フォン・スペサルト「オペラは周囲の反対を押し切り自国の騎士と結婚したが」
ナギット・フォン・スペサルト「わたしはそのようなわがままは許さぬ」
デアネイ・フォン・スペサルト「わがままは父上です！」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上たちを追い出しておいて、都合が悪くなったら呼び戻して・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「王女として扱いもしないのに、王族の心得を説かないで！」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上はノエルさんと一緒にいたいって──」
ミモザ・クラリティ「ノエル・・・？」
ナギット・フォン・スペサルト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「あの・・・ ノエル様というのはどなたですか？」
ミモザ・クラリティ「デアネイ様のお知り合いでしょうか？」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・父上！ 姉上になにをしたの!?」
ナギット・フォン・スペサルト「わたしはなにも」
ナギット・フォン・スペサルト「とにかくこれは決定事項だ よいな、ミモザ」
ミモザ・クラリティ「はい・・・」
ミモザ・クラリティ「プレーンの内乱がこんな形で終わるなんて・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「どうしよう・・・ どうしたらいいの!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上、ほんとにノエルさんのこと覚えてないの!?」
ミモザ・クラリティ「特別試験に挑むシグバート様たちをお見送りしたことは覚えているのですが」
ミモザ・クラリティ「それから今までのことが思い出せないのです」
ミモザ・クラリティ「そのときに出会った方でしょうか・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「どうして・・・！」
ミモザ・クラリティ「・・・デアネイ様？」
デアネイ・フォン・スペサルト「ひどい・・・！ こんなのひどいよ！」
ミモザ・クラリティ「デアネイ様・・・」
ミモザ・クラリティ（わたし・・・ なにを忘れてしまったの？）
ミモザ・クラリティ（きっと大事なことなのに、思い出せない・・・）

〇空

〇森の中
ヴィオラ・コーディエ「はあ、はあ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「しっかりしろ！」
仮面の戦士「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット（なっ・・・速い！）
仮面の戦士「光精術使いを残しておくと面倒だ おまえから斬らせてもらう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「くッ・・・！」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
仮面の戦士「・・・凄まじい魔力だ」
仮面の戦士「その力、利用させてもらう！」
ヴィオラ・コーディエ「うわったった！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「燃えろ！」
ヴィオラ・コーディエ「つららが飛んできた!?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエルの氷精術を、風精術で飛ばしたのか！」
ノエル・エンジェライト「・・・厄介ですね 氷精術と火精術では分が悪い」
ヴィオラ・コーディエ「あたしにまかせろ！」
ヴィオラ・コーディエ「雷精よ！」
仮面の戦士「させるか！」
仮面の戦士「まずはおまえからだ！」
ノエル・エンジェライト「シグバートさん！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエル!?」
ノエル・エンジェライト「・・・！」
ノエル・エンジェライト「凍てつけ！」
シグバート・フォン・ブラッドショット（自分の腕を凍らせて剣を受け止めた・・・!?）
ヴィオラ・コーディエ「絶対負けない！」
ヴィオラ・コーディエ「＜虹＞を架けて、父さんに会うんだ！」
仮面の戦士「・・・っ!?」

〇黒背景
「また負けたー！」
「まあアイオ 少しは手加減してあげてって言ってるのに」

〇寂れた村
？？？「やっぱりとうさんは強いね」
？？？「あたしもいつか、とうさんみたいな強い剣士になるんだ！」

〇森の中
仮面の戦士「おれ・・・は・・・！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・動きが止まった!?」
ノエル・エンジェライト「凍てつけ」
仮面の戦士「くっ・・・！」
仮面の戦士（足元を凍らされた!?）
シグバート・フォン・ブラッドショット「ヴィオラ！　今だ！」
ヴィオラ・コーディエ「雷精よ！ わが叫びを聞け！」

〇空

〇森の中
仮面の戦士「ぅ・・・ぐっ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「終わった・・・？」
仮面の戦士「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「悪いけど、プルウィルストーンはもらってくよ」
ヴィオラ・コーディエ「あったあった」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ん？」
ヴィオラ・コーディエ「この花・・・」
ノエル・エンジェライト「とどめをさすべきでしょうか」
シグバート・フォン・ブラッドショット「放っておけ あの傷ではもう助からないだろう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それよりノエル、腕を出せ」
ノエル・エンジェライト「・・・はい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレの光精術では完治は難しいな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「スペサルトに戻ったらミモザに治してもらえ」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・すみません、シグバートさん」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なぜ謝る？」
ノエル・エンジェライト「ここで死ぬんだと思ったとき・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさんのことを思い出しました」
ノエル・エンジェライト「また会って、声を聞きたい・・・と」
ノエル・エンジェライト「・・・貴方が彼女を幸せにするのではなく」
ノエル・エンジェライト「・・・ぼくが、幸せにしたいと・・・」
ノエル・エンジェライト「そんな、分不相応なことを考えてしまって・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「母さんの墓に供えられてたのと同じだ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「なんでこいつが・・・」
仮面の戦士「・・・ィ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・!?」
ヴィオラ・コーディエ「う、嘘だ・・・！」
シグバート・フォン・ブラッドショット「できるだろう これからいくらでも」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おまえが手を伸ばせば、な」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「一度しか言わないからよく聞け」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレはミモザとの婚約に不満を持ったことはない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それはミモザがブラッドショットに不利益をもたらさないと判断したからだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「立場上、オレは結婚しないわけにはいかないが・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「国のためになるなら、相手はミモザではなくてもいいんだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエル、おまえは違うのだろう？」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレは、国益と切り離して考えることができない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「利害を超えた好意を持てる者が、少しはうらやましくもある」
ノエル・エンジェライト「シグバートさん、ぼくは・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ただひとつ望むものがあるのなら、すべてを捨てる覚悟をしろ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それと、さっきの言葉は本人に言ってやるべきだな」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ヴィオラ！ 治してやるから早く来い」
ヴィオラ・コーディエ「・・・と」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ヴィオラ？」
ヴィオラ・コーディエ「・・・父さん・・・！」