ゲーマー家族 〜神々の遊戯〜

わらやま

第一話 まずはメダルゲームより始めよ(脚本)

ゲーマー家族 〜神々の遊戯〜

わらやま

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〇一軒家

〇おしゃれなリビングダイニング
夕木 茉莉「みんな」
夕木 茉莉「ご飯よ」
夕木 伽座「ごちそうさま」
夕木 茉莉「伽座(ぎゃざ) まだ残ってるわよ」
夕木 伽座「もう時間ないから」
夕木 茉莉「またカードゲーム?」
夕木 伽座「そうだよ」
夕木 伽座「じゃっ」
夕木 獏斗「ワシらも出かけるよ」
夕木 茉莉「お義父さん、お義母さん」
夕木 茉莉「碁会所とゲームセンターですか?」
夕木 獏斗「ああ」
夕木 虚子「それじゃ」
夕木 茉莉「あ、大亜(だいあ) おは──」
夕木 灰人「うーす」
夕木 茉莉「灰人(かいと)、またゲームしなが──」
夕木 灰人「しょうがないだろ」
夕木 灰人「イベント中なんだ」
夕木 茉莉「ねぇ、灰人 今日は一緒に──」
夕木 灰人「イベント最終日だから無理」
夕木 茉莉「そう」
夕木 灰人「欲しいものあるなら」
夕木 灰人「これでなんか買ったら?」
夕木 灰人「ごっそさん」
夕木 茉莉「・・」
夕木 茉莉「どうして」
夕木 茉莉「こんな風になっちゃったの」

〇おしゃれなリビングダイニング
夕木 茉莉「ご飯できたわよ」
夕木 伽座「わーい」
夕木 茉莉「いただきますは?」
夕木 伽座「いただいてまーす」
夕木 大亜「母さん、ありがとう」
夕木 大亜「美味そうだね」
夕木 茉莉「うふ、ありがとう」
夕木 茉莉「大亜も大学生になったのに、一緒にご飯食べてくれて嬉しいわ」
夕木 大亜「そんなの改めて言うなよ」
夕木 獏斗「微笑ましいのう」
夕木 虚子「伽、大亜は昔から優しい子だもの」
夕木 灰人「一瞬伽座と言い間違えただろ笑」
夕木 灰人「ボケてきた?」
夕木 虚子「あらやだ恥ずかしいわ」
夕木 虚子「ボケ防止に何か始めようかしら」
夕木 獏斗「虚子(うろこ)はお茶目じゃな」
夕木 獏斗「ワシもボケんように」
夕木 獏斗「碁会所でも通うかの」
夕木 伽座「じいちゃん!僕とも遊んでよ!」
夕木 獏斗「勿論だとも」
夕木 茉莉(騒がしい朝だわ)

〇おしゃれなリビングダイニング
夕木 茉莉「・・」
夕木 茉莉(今日、私)
夕木 茉莉(誕生日なんだけどな)
???「ふむ」
???「ゲーマーの波動に導かれ観測したが」
???「酷い惨状だ」
???「そうですね」

〇幻想空間
???「この家族仲は戻らないでしょう」
???「ふむ」
???「・・いや」
???「我はそうは思わぬ」
???「希望はある」
???「あり得ないですね」
???「厳しい物言いだな」
???「ではゲームをしようではないか」
???「其方と我で」
???「この家族の命運を賭けて」
???「面白いですね」
???「受けてたちましょう」

〇一軒家

〇ホテルの部屋
夕木 茉莉「先に寝るね」
夕木 灰人「んー」
夕木 茉莉「おやすみ」

〇黒

〇幻想空間
夕木 茉莉「・・ん?」
夕木 茉莉「ここどこ!?」
???「目覚めたか」
夕木 茉莉「な、何!?この声!?」
???「4次元多様体は視認出来ないか」
???「次元を落とそう」
夕木 茉莉「ひっ」
ケイオース「我はケイオース」
ケイオース「混沌の神」
夕木 茉莉(こんな夢を見るなんて 私、追い込まれているのね)
ケイオース「これは夢ではなく現実だ」
「はぁ・・変な夢」
夕木 茉莉「えっ」
ケイオース「この空間では君の思考は完全に読める」
ケイオース「夢じゃないと理解したか?」
夕木 茉莉「ま、まぁ一応信じるとして」
夕木 茉莉「混沌の神とやらが何の用?」
ケイオース「君の家族を見させてもらった」

〇ゲームセンター
ケイオース「各々がゲームに没頭し」

〇古風な和室(小物無し)
ケイオース「余暇時間の全てを注いでいるようだな」

〇大会議室
ケイオース「他者より優位に立つ事」

〇汚い一人部屋
ケイオース「他者を打ち負かす事」

〇ホテルの部屋
ケイオース「日中夜その事ばかりを考えている」

〇幻想空間
ケイオース「まさに『家庭崩壊』だ」
夕木 茉莉「そんな事、初対面のアンタに言われなくても」
夕木 茉莉「分かってるわよ」
夕木 茉莉「でも」
夕木 茉莉「もう無理なのよ」
ケイオース「我はそうは思わぬ」
夕木 茉莉「えっ!?」
ケイオース「君の家族はゲームの持つ魔力に魅了されているだけだ」
ケイオース「我は君の家族の絆は戻ると思っている」
夕木 茉莉「・・ケイちゃん」
ケイオース「ケイちゃん!?まぁいい」
ケイオース「本題に入る」
ケイオース「単刀直入に言うが、我とコスモースでゲームをすることとなった」
夕木 茉莉「コスモース?ゲーム?」
ケイオース「コスモースは秩序の神」
ケイオース「そして、これがゲームのルール」

〇幻想空間
夕木 茉莉「は?」
夕木 茉莉「ナニコレ」
ケイオース「ルールだ」
ケイオース「そしてこれは神のゲーム」
ケイオース「条件が達成出来ない場合」
ケイオース「家族仲は2度と回復する事はない」
夕木 茉莉「ハァ!?」
夕木 茉莉「ばかばかしい」
夕木 茉莉「何がゲームよ」
夕木 茉莉「ふざけないで」
ケイオース「諦めるのか?」
夕木 茉莉「私はゲームが大嫌いなの」
ケイオース「悔しくないのか?」
夕木 茉莉「は!?」
ケイオース「君の家族は、絆は」
ケイオース「君の嫌いなゲームに劣るということが」
夕木 茉莉「悔しいに決まってるじゃない」
ケイオース「ならば抗おうぞ」
ケイオース「少なくとも我は」
ケイオース「君の味方だ」
ケイオース「いずれにせよこのままでは結末は一緒だ」
夕木 茉莉「・・」
夕木 茉莉「わかったわ」
夕木 茉莉「やってやろうじゃない」
夕木 茉莉「で、何か策はあるの?」
ケイオース「無論だ」
ケイオース「ゲームで失った絆は」
ケイオース「ゲームで取り戻す!!」
夕木 茉莉「はぁ!?」

〇一軒家

〇おしゃれなリビングダイニング
夕木 虚子「じゃあね」
夕木 茉莉「・・」
夕木 茉莉「お義母さん」
夕木 虚子「な、何!?」
夕木 茉莉「私も一緒に連れてって下さい」
夕木 虚子「べ、別にいいけど」
夕木 虚子「どうして?」
夕木 茉莉「お義母さんが楽しそうにしているから」
夕木 茉莉「興味が湧いてきて」
夕木 虚子「あ、あらそう」
夕木 虚子「では行きましょうか」
夕木 茉莉「ええ」
ケイオース「第一関門クリアだな」
夕木 茉莉「いきなり出て来ないでよ」
ケイオース「手筈通りに行くぞ」

〇ゲームセンター
夕木 虚子「ここが私のホームよ」
夕木 茉莉(ホーム?)
ケイオース「メダルゲーマーの用語で最もよく行く店舗の事だ」
ケイオース「家ではなくホームに入り浸るとは」
ケイオース「皮肉なモノだ」
夕木 虚子「預けも20万枚あるから安心して」
夕木 茉莉(多いかどうかも分からないわ)
ケイオース「相当だぞ」
夕木 茉莉(本当にこんな事で仲良くなれるの?)

〇幻想空間
ケイオース「ゲーマーの多くは楽しみを共有したいのだ」
ケイオース「勿論、俄仕込みでは逆効果だがな」
夕木 茉莉「でも私ゲームなんて」
ケイオース「案ずるな」
ケイオース「メダルゲームであれば比較的シンプルだ」
夕木 茉莉「まずはお義母さんからってことね」
ケイオース「知識面は我がフォローする」
ケイオース「それに『遊技』もある」
夕木 茉莉「ルールにあったやつね」
ケイオース「問題はコスモースの妨害だな」
ケイオース「何を仕掛けてくるか」

〇ゲームセンター
夕木 虚子「どの台で遊ぼうかしら」
???「虚子さん」
瀬川「お一人じゃないのは珍しいですね」
夕木 虚子「あ、瀬川さん」
夕木 虚子「嫁の茉莉さんよ」
夕木 茉莉「こ、こんにちは」
瀬川「いつも虚子さんとは仲良くさせてもらっているんだ」
夕木 茉莉「そうですか」
夕木 茉莉「年配の方、多いのね」
夕木 茉莉「お義母さんが特殊なのかと思ってたわ」
ケイオース「ギャンブルより安価で、適度な刺激になるという点で」
ケイオース「シニアのメダルゲーマーは多い」
瀬川「ところで虚子さん」
瀬川「今日は私と一緒に遊びませんか?」
夕木 虚子「えっ!?」
夕木 虚子「でも今日は茉莉さんと来てますし」
瀬川「どうしても」
瀬川「虚子さんと遊びたくて」
夕木 茉莉「ちょ!」
ケイオース「男女が絡むとこういう話はありえるが」
ケイオース「メダルゲーマーは隣で遊ぶ事はあっても」
ケイオース「一緒にはあまりしない」
ケイオース「これは」
ケイオース「やはりコスモース、其方の仕業か」
コスモース「ルール通りの他干渉ですよ」
コスモース「何か問題でも?」
ケイオース「当然、問題はない」
夕木 茉莉「問題はないっていっても」
夕木 茉莉「お義母さん、あの人と遊ぶ気になってるわよ!」
ケイオース「ふむ、ここは」
ケイオース「『遊技』の出番だな」
ケイオース「刮目せよ」
ケイオース「大気に溢れる期待 (エクスペクテッド・アイ)」

〇ゲームセンター
夕木 茉莉「数字が見える!?」
ケイオース「ゲームは各種複雑な事情が絡み期待値が算出される」
ケイオース「この遊技はそれを可視化する」
ケイオース「さあ、最高の台を選べ」
夕木 茉莉「ええ」
夕木 茉莉「お義母さん」
夕木 虚子「茉莉さん、せっかく一緒に来てもらったけど──」
夕木 茉莉「あの台で一緒に遊びませんか?」
夕木 虚子「え?」
夕木 虚子(こ、これは)
夕木 虚子(理想の状況だわ)
夕木 虚子(非の打ち所がない)
夕木 虚子(しかも私がJPを取ったことがない機種)
夕木 虚子(この台を一目見ただけで)
瀬川「虚子さん?」
夕木 虚子「お誘いありがたいですが」
夕木 虚子「今日は茉莉さんと遊びます」
瀬川「そ、そうですか」
夕木 茉莉(ヨシ)
夕木 虚子「すみませんね、茉莉さん」
夕木 虚子「では遊びましょう」
夕木 茉莉「はい」

〇美しい草原
  20分後
夕木 虚子「よし!ここからよ!」
夕木 虚子「来たわねラスボス」
夕木 虚子「勝利条件が抽選されるわ」
  当たりチャッカーへの投入の3連続成功
夕木 虚子「え!?」

〇ゲームセンター
夕木 茉莉「どうしました!?」
夕木 虚子「こんな難しい条件見た事ないわ」
夕木 虚子「チャッカーは10ヶ所で当たりは1ヶ所・・」
夕木 虚子「成功率0.1%よ!!」
夕木 茉莉「え!?」
夕木 虚子「おかしいわ、台の挙動的に放出期のはずなのに」
夕木 茉莉「ケイちゃん!」
ケイオース「コスモースの仕業だろう」
ケイオース「だが、案ずるな」
ケイオース「支配せよ」
ケイオース「今がその時(ジャスタタイム)」

〇時計
夕木 茉莉「これは!?」
ケイオース「これで」
ケイオース「当たりチャッカーに通る投入タイミングが見えるはずだ」

〇ゲームセンター
夕木 虚子「こんなの無理よ」
夕木 茉莉「お義母さん」
夕木 茉莉「私に任せてください」
夕木 虚子「え!?」

〇美しい草原

〇ゲームセンター
夕木 虚子「2連続成功・・!」
夕木 虚子「すごい」

〇時計
夕木 茉莉「さあ!ラストよ!」
夕木 茉莉「ん!?」

〇ゲームセンター
夕木 茉莉「あれ?」
ケイオース「どうやら使用限界のようだ」
夕木 茉莉「そ、そんなぁ」
夕木 虚子「茉莉さん!凄いわ! 最後も決めちゃって!」
夕木 茉莉「ええ」
夕木 茉莉(無理よこんなの)
ケイオース「茉莉」
ケイオース「恐れず進め」
ケイオース「君は今極度の緊張下にあると思うが」
ケイオース「ゲームとは得てしてそういうものだ」
夕木 茉莉「ケイちゃん」
ケイオース「君は冷め切った家族の絆を取り戻そうという厳しい戦いに挑んでいる」
ケイオース「10%くらいどうということはない」
ケイオース「君の力で手繰り寄せろ」
ケイオース「運命を」
夕木 茉莉「ええ」
夕木 茉莉「やってやるわ」

〇美しい草原
夕木 茉莉「ここ!」

〇黒
夕木 茉莉「お願い」
夕木 茉莉「入って」

〇美しい草原

〇ゲームセンター
夕木 虚子「やったわ」
夕木 虚子「凄いわ茉莉さん」
夕木 茉莉「お義母さん、そんな泣かなくても」
夕木 虚子「・・あなただって」
夕木 茉莉「え!?」
ケイオース「茉莉」
ケイオース「見事だ」
夕木 茉莉「ケイちゃん」

〇住宅地の坂道
夕木 虚子「今日は楽しかった」
夕木 虚子「ありがとう」
夕木 茉莉「こちらこそ」
夕木 虚子「それでね、さっき思い出したんだけど」
夕木 虚子「昨日誕生日だったわね」
夕木 虚子「一日遅れで申し訳ないけど」
夕木 虚子「おめでとう」
夕木 茉莉「ありがとうございます」
夕木 虚子「今日の夕飯は私が作るわ いつもごめんね」
夕木 虚子「スーパー寄って帰るから」
ケイオース「一歩前進だな」
夕木 茉莉「そうね」
夕木 茉莉「悔しいけどあなたが言った通りだったわ」
ケイオース「君はゲームの負の面ばかりを見過ぎた」
ケイオース「本来、ゲームとは他者と喜びを分かち合うためにある」
ケイオース「それに・・どうだ?楽しかっただろ?」
夕木 茉莉「べ、別に」
夕木 茉莉「ゲームなんて大嫌いなんだから」
ケイオース「ふっ、素直じゃないな」
ケイオース「だが本当に大変なのは」
ケイオース「これからだ」

〇古風な和室(小物無し)
夕木 獏斗「まさかワシ以外の『五碁帝(ごごてい)』を倒したのが茉莉さんだったとはな」

〇おしゃれなリビングダイニング
夕木 伽座(くっ!カードゲーム勝負の内容が)
夕木 伽座(『上毛かるた』だったなんて)

〇汚い一人部屋
夕木 大亜(この『matsuribayashi』ってアカウント)
夕木 大亜(俺への攻撃を全部防いでくれる)
夕木 大亜(まるで雛を守る親鳥みたいに)

〇ホテルの部屋
夕木 灰人「結婚式のケーキ入刀を思い出すな」
夕木 茉莉「そうね」
夕木 灰人「今一度」
夕木 茉莉「始めましょう」
「2人の共同作業を!!」
  To be continued.

コメント

  • 面白いですね! ゲームで引き裂かれた絆をゲームで取り返す👍
    世代によって色々楽しめるゲームがあって、結構深いんですね、 ゲームの世界は…
    ゲームはすでに人類に定着してる感じがしました!! 予告編が面白かったです😄

  • 非ゲーマーがゲームで家族の絆を取り戻す…アツいですねェ!😆ゲームは星の数ほどあるのでネタは尽きなそうですね
    メダルゲーのマニアック知識盛り盛りで、わかるー!と笑いました😂ラスト1枚は、わらやまさんの旧作「輪投げ」のラスト1投を思い出しました
    僕もビデオゲームなら公式作品の題材にしようかとちょっと思ったくらい語りたがりですが、あえてジャンケンとかも面白そう🤭
    誕生日思い出してもらえてよかった✨

  • 案外こういう家族が増えているかもですね🤔
    僕の知り合いでも体壊すほどモ○ハンにのめり込むオジさんがいますし、近所でも朝から○チンコ店に並ぶジジさん達をよく見掛けます。
    お母さんとケイオースの取る解決法が家族からゲームを引き離すのではなく、健全化までという点がフロムゲー信者の僕にも安心して応援できるところです☺️

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