混ざらない血

ドギガ

エピソード1(脚本)

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〇古風な和室(小物無し)
  ここは古い一軒家。
  ここにはちょっと変わった家族が住んでいる。
  そんな家族の始まりの物語。

〇古いアパート
  少し前のこと。とあるアパート。
  オーナーの好意や車のない人間にはアクセスがあまり良くないところなどもあり、格安。
  オーナーはとても人がよくルールも緩い。
  故に色んな人が住んでいる。
  売れない芸能関係の人間に、金銭に困る人に、それから・・・
  あまり身分を知られたくない人まで

〇古いアパートの一室
  この日アパートの2階に新しい住人が来た。
引越し作業員「・・・これで最後の荷物ですね。 それではサインを」
三島「おう、ありがとうな」
引越し作業員「またのご利用と、アンケートをお願いします!」
三島「やれやれ・・・ 単身か・・・配偶者がいるかって・・・」
三島「俺が妻子持ちに見えるかよ」
三島(やれやれ、色んな所から足を洗うのも楽じゃねぇな)
三島(こんなんじゃ、また運び屋とかしかないとやっていけないぜ)
三島「やめだやめだ! とにかく仕事を探さないと」
  そのまま引越しの荷解きも半分に夜になっていく。

〇古いアパートの一室
  夜、皆が眠りにつくころ。
三島「あーー!」
三島「うるさくて寝れねぇよ!」
三島「なんで夜に鶏が鳴くんだ!ってかなんで鶏が居るんだよ!」
三島「今度は犬か!?どーなってんだよここは!」
  しかしアパートを出るととんでもないことになっていた。

〇古いアパート
三島「なっ!?」
  揺らめく炎がアパートを包んでいる。
  幸いにも三島の部屋から階段にかけては炎は及んでいない。
三島「くそっ!火事だったのか!?」
  火はアパートの半分に割るように燃えていた。
???「うわあああーん! 助けてー!」
三島「なっ?」
  振り返る三島。
  通路の炎。
  そしてその奥に一人の少女の姿が。
小鳥遊 さより「うわああぁーん! 助けて!」
三島「くぅっ!」
(ちくしょう! あんな顔でなくなよ!)
三島「くそ! 待ってろよ餓鬼!」
  三島は周りを見た。
  廊下は既に火の海。
三島「通路は無理なら!」

〇古いアパートの一室
三島「このアパート部屋の壁は脆いだろう!」
  三島は全力で壁を蹴った。
三島「おい!餓鬼!こっちだ!部屋の方へ来い!」
小鳥遊 さより「・・・さっきのおじさん!?」
三島「グズグズすんな!急ぐぞ!」
小鳥遊 さより「お母さん・・・行こう!」
三島「あ゛っ? 母ちゃんも居るのか!?」
小鳥遊 さより「う、うん!」
三島(火の勢いが増してきやがった! もうヤバいぞ!)
小鳥遊 さゆり「うわっ!なに?」
  三島は強引に自分の脇に小鳥遊を抱えた。
三島「母ちゃんには悪いが!とにかく逃げるぞ!」
???「ワンワン!」
三島「なぁ。犬の声!?」
ダンゴ「ワンワン!」
三島「お前はどっから来たんだよ!?お前も来れるなら来い!」

〇古いアパート
三島「ヤバいぜ!勢いが増している! 急ぐぞ!」

〇古いアパート
  三島と犬は階段を駆け下りて何とかアパートから離れて行った。
三島「はぁはぁ・・・!なんとかなったか!」
ダンゴ「クゥオーン!」
三島「犬に同情されんのか?俺は」
三島「なんで鶏が居るんだよ!?」
小鳥遊 さより「おじさん!あっち!アパートの一階の方!」
  さよりの指先は炎の向こうだ。
  そこに一羽の鶏がゲージに入っていた。
小鳥遊 さより「助けてあげなきゃ!」
三島「おい!待てよ!火に飛び込む馬鹿がいるか!?」
小鳥遊 さより「でも!」
ダンゴ「クォーン」
三島「分かった、分かったから!俺が行くからまってろ! おい、ワンコ! 餓鬼を見てろ!」

〇古いアパート
三島「おらー!」
三島「おらよ!こい!鶏!」
ちゃこ「コケコー!」
  鶏は大人しく三島に抱かれた

〇古いアパート
三島「まったく!」
三島「お前ら無事か!?」
ちゃこ「コケコー!」
ダンゴ「ワンォン!」
ネズミ「ちゅー!」
三島(なんか増えてる)
小鳥遊 さより「おじさん、ありがとう!」
三島「あ、あぁ、良かった・・・な・・・?」
三島(確か・・・母ちゃんがいるって・・・)
小鳥遊 友加里「ありがとう、さよりを助けてくれて!」
小鳥遊 さより「お母さんも『ありがとう』って言ってるよ!」
三島「お、・・・おぉ?そうか?」
小鳥遊 友加里「ありがとう、さよりを助けてくれて!」
三島(なんか怖いな・・・怖い目にあったからか?)
三島(まぁ、とにかく・・・この餓鬼を保護してもらわないと・・・)
三島「お、とにかく! これで一段落つきそうだ!」

〇古いアパート
  駆けつけた消防車が火を消していった。
三島「ひとまず助かったな・・・。 しかし、明日からどうしようか・・・」
小鳥遊 さより「おじさん!後ろ!!」
三島「あっ??」
  三島は次の瞬間後ろから何かに押し倒されてしまった。
田口「三島〜。 お前が仕事を辞めたからよー、 俺は3000万分の仕事がパーだよ」
田口「ど〜してくれんだよ! 働いて返してくれよ!」
三島「がぁ・・・、 田口・・・どうやってここ?」
田口「優しいー、引越し作業員が教えてくれたよ」
田口「焼けて死んでるかと思ったけど。 生きてんなら働けよ!」
小鳥遊 さより「お、おじさん!」
三島「か、・・・餓鬼はどっか行ってろ!」
田口「──あ~? お前・・・いつからお前・・・」
田口「まぁ・・・丁度いい担保にしてやるよ」
三島「止めろよ!・・・餓鬼は・・・関係」
三島「ぐふぅ・・・」
田口「・・・お嬢ちゃん。悪いね。 仕事の出来ない男と一緒になると大変だね」
小鳥遊 さより「おじさんが・・・いきなり叩いているだけだよ!」
田口「餓鬼が口答えすんな!」
ダンゴ「グウウウウゥッ!!」
田口「なんだぁ?こいつ! 頭の悪い犬だな!」
  田口のナイフが光る。
  その時。
  鶏は大声で叫び喚く。
  その甲高い声は遠くまで届き人を引き寄せる。
警官2「なんだ?鶏?」
警官1「あっちの方からしたぞ?行ってみるか?」
田口「くそっ、このチキンが騒ぎやがって!」
田口「一旦ずらかるぜ!」
  そう言い田口はポケットに手を伸ばす。
  仲間に連絡を取るはずのスマホだが・・・
ネズミ「ちゅー!」
田口「なんだ!?このネズミ! こらっ!返せ!」
ネズミ「ぢゅーっ!」
田口「おい・・・クソネズミ!」
警官2「こらっ!クソネズミとは何だ!?」
田口「やべ!」
警官2「ナイフなんて持って・・・ とにかく詳しく話を聞かせてもらおうじゃないか!」
警官1「ほらっ!大人しくしろ!」

〇古いアパート
小鳥遊 さより「おじさん・・・大丈夫だった?」
三島「あぁ、・・・ありがとうな。 ってかどっか行けよ・・・」
小鳥遊 さより「うーん・・・。 嫌!」
三島「嫌って!」
警官2「あのー」
警官2「あなた達は・・・どういった関係で」
三島「あぁ・・・火事に巻き込まれた・・・」
小鳥遊 さより「お父さんです!!」
  さよりはそう言って三島の腕にしがみついた。
三島「おいおいおい・・・何を?」
小鳥遊 さより「えっと! 犬も鶏もネズミも・・・ 一緒に住んでます。 住んでました!」
三島「んな!?」
警官2「ははははっ、分かりました。 とにかく皆さんを保護します。 ワンちゃんや鶏やネズミさんもね!」
小鳥遊 さより「ありがとうございます!」
小鳥遊 友加里「これは・・・賑やかになるわね」
三島「あのな・・・俺は・・・ もともと犯罪をしてたんだ。 悪い事だ。 そんな俺と居るとろくなことはないぞ」
三島「火事だって俺が居なきゃ起きなかったわけで・・・」
小鳥遊 さより「それは違うよ!」
小鳥遊 さより「火をつけたのは・・・あのおじさんで!・・・お父さんは悪いくない!」
三島「お父さんって・・・」
三島「どうなっても知らないぞ」
小鳥遊 さより「うん!!」

〇古風な和室(小物無し)
  こうして出来た
  元運び屋と
  小学生と
  姿の見えないその母と
  犬と
  鶏と
  ネズミの
  血の繋がりの無い家族が住んでいる。
  この家族はどんなこともイベントだ。
三島「鳥インフルエンザだぁ!?」
小鳥遊 さより「ダンゴの元の飼い主?」
小鳥遊 友加里「遺産?旦那?」
「ネズミが居ない!?」
  今日も賑やかだ。
  その一つ一つが血ではなくとも家族の繋がりを強くしていくようだ。

コメント

  • 家族のメンバーの半分が動物なんですね。動物たちが力を合わせて悪者を撃退したシーンはブレーメンの音楽隊みたいで痛快でした。これからそれぞれの動物にスポットが当たるみたいで楽しみ。

  • 本当に色々な意味で騒がしくなりそうですね笑
    動物とは人間のように言葉を通じてのコミュニケーションは難しいですが、助けてくれた、守ってくれた、そういうことは覚えていたりするものですよね。

  • モブキャラになりがちなシルエットや動物の立ち絵が主要キャラという発想が良いですね!
    運び屋の過去も気になるし、みんな(ネズミも含めて)過去に秘密を抱えてるなんて面白い。

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