10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在ミグ

第19話 戰い(脚本)

10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在ミグ

今すぐ読む

10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇殺風景な部屋
シンノウ「脱出するぞ」
シンノウ「動けるか?」
アメタ「相変わらず上官に対する口の利き方じゃないな」
  助けられておいて何だが、こいつに貸しを作るのは物凄く不本意だ。
アメタ「体の方は問題ない。が・・・・・・」
シンノウ「装備だな」
シンノウ「男の裸じゃ俺も嬉しくない」

〇薄暗い廊下
シンノウ「こっちの部屋だ」
シンノウ「纏めておいた」
アメタ「良し。これでいい」
アメタ「それで・・・・・・」
アメタ「お前の目的は何なんだ?」
シンノウ「おいおい。助けて貰った礼がそれかよ」
アメタ「僕を助けた理由は何だ?」
シンノウ「何だって言われてもな・・・・・・」
アメタ「お前、血の臭いがするぞ」
シンノウ「犬かよ、あんた・・・・・・」
アメタ「ハイヌヴェレ博士を殺したのもお前か?」
シンノウ「どうしてそう思う?」
アメタ「タイミングが良すぎる」
アメタ「僕が中国を発った直後だった」
アメタ「あの段階で僕が博士に会っていたのを知っていたのはお前だけだ」
シンノウ「成程・・・・・・」
アメタ「告発しておいて、何故助ける?」
シンノウ「ケレス代表の暗殺犯になってもらう為」
アメタ「お前・・・・・・」
アメタ「ウェスタか!」
シンノウ「そう。改革派だ!」
アメタ「・・・・・・っの野郎!」
  しかしまったく、やれやれだ。
  恐らく始めから博士殺害の罪を被せる為に、僕に情報を流したのだろう。
  更に事前に入手していた汚職の証拠で、僕を食育送りにする。
  で、逆恨みした僕がケレス代表を暗殺する。
  そんなシナリオだったか。
アメタ「そうは行くかよっ!」

〇組織の廊下

〇近未来施設の廊下

〇研究機関の会議室
アメタ「ここは・・・・・・ FAO?」
アメタ「ケレス代表!」
ケレス「アメタ・・・・・・ か・・・・・・」
ケレス「奴が・・・・・・」
ケレス「シンノウが・・・・・・」
アメタ「はい。ウェスタの改革派だった様です」
ケレス「私とした事が・・・・・・」
ケレス「しくじった、様だ・・・・・・」
ケレス「古いデータだが、持っていけ・・・・・・」
アメタ「代表!」
ケレス「お前に、すべてを・・・・・・」
ケレス「託す・・・・・・」
アメタ「・・・・・・」

〇ニューヨーク・タイムズスクエア
アメタ(あの野郎、何処へ行った!?)
  格下とは言え、シンノウも同じ食糧監察官だ。
  追跡は簡単じゃない。
アメタ(ARの情報に頼るな)
アメタ(臭いを追え・・・・・・)
アメタ「ちっ!」
シンノウ「アンタを仲間に引き入られない場合、」
シンノウ「或いは、ケレス代表の暗殺犯に仕立て上げられない場合、」
シンノウ「殺害しろ、との命令だ」
アメタ(声はすれど姿は見えず)
アメタ(気配はすれど影さえ見えず)
アメタ(忍者か何かかよ!)
アメタ「お前達の目的は何だ?」
シンノウ「日本でも言っただろう」
シンノウ「革命だよ」
アメタ「幼児退行なんて知らないと言ったじゃないか!」
シンノウ「上の連中が勝手にやった事だ」
シンノウ「俺みたいな下っ端には何も知らされなかったんだよ」
アメタ(血の臭い。声のする方角。銃の弾道・・・・・・)
アメタ(見極めろ!)
アメタ「じゃあ何故ハイヌヴェレ博士を殺した!」
アメタ「ケレス代表も!」
シンノウ「そう命令されたからだ」
シンノウ「ハイヌヴェレは裏切り者」
シンノウ「ケレスは対立する保守派だったから」
アメタ「邪魔者は排除する必要があった・・・・・・」
アメタ「つまり幼児退行は止められるという事か!」
アメタ「やはりLLPAWMがトリガーになっている?」
シンノウ「幼児退行の止め方は俺も知らない・・・・・・」
シンノウ「LLPAWMがトリガーになっているのは間違いないだろうが・・・・・・」
シンノウ「二人をやったのはケジメさ」
シンノウ「革命は完璧でなければならない」
アメタ(捉えた!)
アメタ「革命とは何だ!?」
シンノウ「人類の滅亡はもう止められない」
シンノウ「人口爆発によって食糧は足りなくなった」
シンノウ「近い将来、世界の人口は激減するだろう・・・・・・」
シンノウ「そうなった時が破滅の始まりだ」
シンノウ「経済は混乱し、治安は悪化し、文明は先史時代まで逆行するだろう・・・・・・」
アメタ「くっ・・・・・・」
シンノウ「ではより良い結末を迎えるには、どうしたら良い?」
シンノウ「幸福な最後。人の幸せとは何だ?」
シンノウ「美味い食事をしている時?」
シンノウ「イイ女を抱いている時?」
シンノウ「それともライバルに勝利した時?」
シンノウ「答えは人によって違うだろう・・・・・・」
シンノウ「だが共通しているものもある」
シンノウ「それも全人類が・・・・・・」
シンノウ「人種も、性別も、職業も関係なく、」
シンノウ「絶対的に幸福だといえる時が!」
アメタ「・・・・・・そうか」
アメタ「そういう事か・・・・・・」
アメタ「それが真のハングリィ計劃・・・・・・」
シンノウ「そう・・・・・・」
シンノウ「赤子になって母親の胸に抱かれている瞬間」
シンノウ「それはすべての人間が共有する幸福の時だ」
シンノウ「自分よりも大きな存在に包まれ、」
シンノウ「あらゆる義務から開放されて、」
シンノウ「ただ、そこに息づいていれば良い」
シンノウ「自ら行動する必要はない」
シンノウ「何もしなくて良い」
シンノウ「ただ只管、泣けば良い」
シンノウ「それこそが究極の幸福なんだ」

〇渋谷の雑踏
  まさに今の状態じゃないか。
  山程の問題を抱えながら、何とかなると思っている。
  どっかの誰かが、何とかしてくれると思っている。
  自分には無理だ。
  考えたくない。
  でも怖くない。
  だって・・・・・・
  ママがいるから・・・・・・
  思考を止めて、生活を他人に任せておけば、不安を感じる事もない。
  そうやって最後を迎える。
  悲観しなくて良い。だって幸せなのだから。

〇ニューヨーク・タイムズスクエア
アメタ「幸せの絶頂で・・・・・・ 死ぬ・・・・・・」
アメタ「それが真のハングリィ計劃・・・・・・」
  ケレス代表は食糧危機に備える為のもの、と言っていたが、
  備える、とはつまり人類の滅亡を回避するという意味ではなく、どうやって死を迎えるか、という意味だった。
シンノウ「人は永遠に生きられない」
シンノウ「人類も永遠には繁栄出来ない」
シンノウ「進化をやめた人類が滅びるのは必然なんだよ」
アメタ「しかし・・・・・・」
アメタ「物理的に、強制的に幼児退行させて、それで本当に幸せだと言えるのか?」
シンノウ「飢渇至上主義というかたちで下地はあった筈だ」
シンノウ「マスター・マザーに心酔している信者なんて、子供そのものじゃないか」
アメタ「だからなのか? 幼児退行がハングリストに多いのは」
シンノウ「恐らくな」
シンノウ「飢渇至上主義に傾倒し、」
シンノウ「政府の配給品や人工肉を摂取し、」
シンノウ「体内にインストールされたLLPAWMを起動させる」
シンノウ「これが幼児退行化現象発症のメカニズムだ」
アメタ「・・・・・・」
アメタ「僕を仲間に引き込もうとした理由は?」
シンノウ「命令されていたからだ」
アメタ「ウェスタにか?」
シンノウ「そう・・・・・・」
シンノウ「ニン・アン・ナ」
シンノウ「ウェスタ改革派の代表だ」
アメタ「何処にいる」
シンノウ「言うと思うか?」
アメタ「っ!」
  拙い。
  万全の状態ならまだしも、食育のせいで体力を消耗し過ぎている。
シンノウ「遅いな」
アメタ「ぐ・・・・・・ ぁ・・・・・・」
シンノウ「これで終わりだ」
アメタ(畜生・・・・・・)
アメタ(済まない・・・・・・)
アメタ(ウカ・・・・・・)
アメタ(みんな・・・・・・)
シンノウ「・・・・・・ニ階級特進おめでとう」
シンノウ「アメタ壱級監察官・・・・・・」
シンノウ「なん・・・・・・ だと・・・・・・ ?」
アメタ「一体・・・・・・ 何が・・・・・・」
ムルア「アメタッ!」
アメタ「ムル・・・・・・ ア・・・・・・」

〇ニューヨーク・タイムズスクエア
ムルア「何だよこいつ・・・・・・」
ムルア「笑ってる?」
シンノウ「ふふ・・・・・・」
シンノウ「もう・・・・・・ 何もかも・・・・・・」
シンノウ「手遅れだ・・・・・・」
シンノウ「幼児退行はとめられない・・・・・・」
シンノウ「人るいはめつ亡するんだ・・・・・・」
シンノウ「幸せの絶ちょうで・・・・・・」
アメタ「お前はそれで満足なのか?」
シンノウ「うん・・・・・・」
シンノウ「しぁわせ・・・・・・ だよ・・・・・・」
シンノウ「だって・・・・・・」
シンノウ「ママが・・・・・・ みてぅ・・・・・・」
「・・・・・・」
ムルア「さっさとずらかった方が良さそうだな」
ムルア「動けるか?」
アメタ「・・・・・・何とか」

〇ホテルの部屋
ムルア「おい、傷も治ってないんだから、あんまり無茶するなよ・・・・・・」
アメタ「・・・・・・時間がないんだ」
アメタ(ケレス代表から貰った情報だ)
アメタ(無駄には出来ない)
アメタ(それに・・・・・・)
  わざわざシンノウが僕を殺しに来たという事は、それだけ真相に近づいている、という意味だろう。
  そうでなければ放っておけば良いのだから。
ウリコ「おじさん・・・・・・」
  幼児退行は止めてみせる。
  ウカは必ず助ける。
アメタ「これは・・・・・・」
ムルア「どうした?」
アメタ「ウェスタの代表、ニン・アン・ナの居場所がわかった」
アメタ「今もそこにいれば、の話だが」
ムルア「何処なんだ?」
アメタ「アラムスタンだ・・・・・・」

次のエピソード:第20話 ニン・アン・ナ

コメント

  • 私の幸せはあなたの幸せ…最初は他人を思いやる小さな波(行動)をしていた人達が、いつしか全人類を巻き込む幼児退行という大きな津波(行動)に変化しコントロール出来なくなってしまったのでしょうか…🥺そんなことを考えながら読ませていただきました

  • ケレス、黒幕かとも思ったが、結局味方だったんだなぁ…
    やっぱオッサンしか勝たん!☺️

    そして最終章突入、四人のヒロイン(マザー含む)のうち、アメタは誰を選ぶのか?
    そういう話では無さそうだけど、そういう視線でも見守らねば…

  • 幼児退行化現象の目的、納得です! 自分なら素敵な女の子の腕の中で死ぬパターンもありなので、ナノマシンに是非異なるプログラムのインストールをしてほしい。笑
    戦闘シーンも迫力あってよかったです。特にムルアちゃんの一発は、時が止まったように感じられ、たまらんかっこよさでした^^(そしてしっかり説明して倒れるシンノウさん…大好き!)

コメントをもっと見る(8件)

成分キーワード

ページTOPへ