偽りのトリアーダ

草加奈呼

エピソード15 思い出の場所(脚本)

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草加奈呼

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〇モヤモヤ
テオドール「夜が明ける・・・」
テオドール「母さん・・・」
テオドール「母さんは、 この景色が見たかったんだね・・・」

〇草原

〇草原

〇朝日

〇断崖絶壁
「綺麗だね・・・」

〇本棚のある部屋
「先生、どうしましょうか!?」
ポポロム(まさか、アルフさんとリアさんの ところに・・・!?)
ポポロム(いや、落ち着け・・・テオさんには、 こういう時のためにGPSをつけてある)
ポポロム「GPSの画像と、 該当する住所を送ってください」
ポポロム「僕と、テオさんのご家族で追いかけます」
「は、ハイ・・・!」
ポポロム「・・・・・・」
ポポロム「ここは・・・まさか・・・」

〇本棚のある部屋
カルステン「う、うん・・・? なんだ・・・?」
ポポロム「叔父さん、テオさんが逃げ出したそうです」
カルステン「えっ!?」
ポポロム「今からアルフさん達と追いかけます!」
カルステン「俺も連れて行ってくれ。 場所は・・・!?」
ポポロム「ヘイロ岬・・・」
ポポロム「・・・自殺の名所と言われている 場所です!」

〇豪華なベッドルーム
アルフレッド「はい・・・はい」
アルフレッド「わかりました。 すぐに向かいます」
リア「叔父様から・・・?」
アルフレッド「テオが、逃げ出したらしい」
リア「えっ!?」
アルフレッド「俺たちも、すぐに向かうぞ・・・!」

〇草原
「テオッ!!」
テオドール「ああ」
テオドール「良かった。 みんな、来てくれたんだ」
ディルク(警察官)「ったく、なんで俺まで・・・」
カルステン「一市民の命かかってんだ。 文句言うな」
リア「テオ・・・」
ポポロム「テオさん、病院に戻りましょう」
テオドール「ふふっ」
テオドール「言われて、素直に戻ると思う?」
ポポロム「思いませんね」
ポポロム「でも、僕は医者だ。 あなたを導く義務がある」
テオドール「ねぇ、じゃあさ」
テオドール「なんで俺は、こんなところにいるの?」
ポポロム「え・・・?」
テオドール「俺は、良くなっているはずだよ」
テオドール「先生の言う通り、投薬もして・・・」
テオドール「なのにさ、なんでかな・・・」
テオドール「良くなってると実感するたびに、 母さんが出てくるんだよ・・・」
テオドール「ねえ、先生」
テオドール「俺、まともになってるんだよね・・・?」
テオドール「先生の言う、 “まとも”になってるんだよねぇっ!?」
ポポロム(ああ・・・)
ポポロム(僕は、間違えた・・・!?)
ポポロム(テオさんの心の闇を・・・ 真実をよく知らないまま・・・)
ポポロム(これではダメだ・・・! テオさんは、 ますます壊れてしまう・・・!)
リア「テオ!」
ポポロム「リアさん・・・」
リア「テオ、一緒に帰ろう・・・?」
リア「私は、テオを信じてるよ・・・」
テオドール「姉さんさぁ・・・」
テオドール「「信じる」って、俺のなにを信じてるの?」
リア「え・・・?」
リア「テオは・・・明るくて・・・」
リア「いい子で・・・」
リア「誰とでも友だちになれて・・・」
テオドール「それってさぁ・・・」
テオドール「姉さんの理想の俺でしょ?」
リア「え・・・?」
テオドール「姉さんは、今まで俺の何を見てきたの?」
テオドール「兄さんの、何を見てきたの?」
テオドール「・・・まあ、いいや。 これについて突き詰めるつもりはないし」
テオドール「いいよ」
テオドール「俺、姉さんのお望み通り、」
テオドール「『普通』の、理想通りの義弟になってあげる」
リア「テオ・・・?」
ポポロム「・・・いけない、リアさん!」
ポポロム「テオさんに、いきなり 『普通』を求めてはいけません・・・!」
リア「えっ?」
ポポロム「リアさん、あなたにも覚えがあるはず」
ポポロム「人が我に返った時、まず抱く感情は 羞恥心と・・・・・・」
ポポロム「罪悪感です・・・!」

〇断崖絶壁

〇草原

〇断崖絶壁
テオドール「なんで・・・」
テオドール「なんでなんだよっっ!!」
テオドール「なんで助けるんだよ・・・ なんで兄さんが助けるんだよッッ!!!!」
アルフレッド「おまえは・・・」
アルフレッド「おまえは、自分だけ逃げて一生リアに 罪悪感を植え付けるつもりか!!」
アルフレッド「俺は許さない・・・ 一生許さない!!」
アルフレッド「俺も! おまえも! 一生かけてリアに償うんだ!!」
リア「テオ・・・」
テオドール「姉さん・・・」
リア「辛いなら吐き出して・・・!」
リア「私は、兄弟3人で支え合って生きて いきたい・・・!」

〇草原
テオドール「ここはね、 俺と母さんが来るはずだった場所」
リア「え・・・?」
テオドール「笑っちゃうでしょ? 当時は知らなかったけど──」
テオドール「ここ、 自殺の名所って呼ばれてるんだってね」
テオドール「ああ、母さんは、本当に俺と 心中したかったんだなぁ・・・って」
アルフレッド「どういう、ことだ・・・?」

〇豪華な部屋
レナーテ「テオ、一緒にお出かけしない?」
テオドール「いいよ。どこに行くの?」
レナーテ「母さんの、お気に入りの場所。 とっても景色が綺麗なの」
テオドール「うん、行く!」

〇街中の階段
テオドール「ねぇねぇ、どこまで行くの?」
テオドール「なんていうところ?」
テオドール「母さんは、父さんと行ったの?」
テオドール「景色が綺麗なんでしょ?」
テオドール「楽しみだなぁ」
レナーテ(ああ・・・)
レナーテ(もう、無理・・・)
テオドール「母さん・・・?」
レナーテ「ヘイロ岬まで行こうと思ってたけど、 もう、限界・・・」
テオドール「か、母さん・・・」
レナーテ「お願い、テオ・・・」
レナーテ「私と一緒に死んで・・・」
テオドール「か・・・あ・・・さ・・・」
レナーテ「このままじゃ、 あの子達が不幸になる・・・」

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コメント

  • えらいもんを掘り当ててしまった……Σ(゚口゚;
    これで一件落着かと思ったのに、最後にものすごい爆弾来た……。

  • ひー!重いのきたー!!テオは可哀想だけど好物😇(ゴメンゴメンヨ)
    お母さんがテオを殺そうとした理由って、育児ノイローゼ的なものかと思ったけど、もっと何かありそうですね。
    ダレモシンジラレナイ!な展開になりそうで震えてます😂あの人の「抱けない体」についても明かされたりする??

  • えっ、えっ、、「お父さん」…
    この場で該当しそうな年の頃の人っていったら……
    テオくんから吐き出される心の底、納得さと悲しさと、そして暗い何かも……

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