10,000,000,000 ‐ヴィリヲン‐

在ミグ

第18話 食育(脚本)

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〇黒背景
アメタ(此処は何処なんだ・・・・・・)
アメタ(目隠しされている上に、音も聞こえない・・・・・・)
アメタ(手足も拘束されている・・・・・・)
アメタ(縛られるのは嫌いじゃないが・・・・・・)
アメタ(どれだけ経った?)
アメタ(時間の経過がわからない・・・・・・)
アメタ(つまりこうして理性を奪うんだな・・・・・・)
アメタ「・・・・・・」
アメタ(この匂いは・・・・・・)
アメタ(カモミール、ベルガモット、ペパーミント・・・・・・)
アメタ(どれも食欲増進に効果のある匂いだ)
アメタ(くそっ・・・・・・ 嫌でも腹が減ってくる・・・・・・)
アメタ(成程。我慢しろ、と)
アメタ(で、食欲をコントロールしろ、と)
アメタ(上等だ。幼い頃から母さんに鍛えられた成果を見せてやろうじゃないか)

〇果物
アメタ(ダメだーーーーーーーーーーーーッ!!!)
アメタ(視覚と聴覚が遮断されているから、どうしても嗅覚が敏感になってしまう・・・・・・)
アメタ(鼻は閉じれない・・・・・・)
アメタ(遠慮なく良い匂いが攻めてくる・・・・・・)
アメタ(頭の中が食べ物でいっぱいになってしまう・・・・・・)

〇幻想2
アメタ(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・・)
アメタ(生姜の匂い・・・・・・)
アメタ(ニンニクの匂い・・・・・・)
アメタ(小麦の焼ける匂い・・・・・・)
アメタ(醤油が焦げる匂い・・・・・・)
アメタ(嗚呼、喉も渇いてきたぞ〜)
アメタ(ヨダレが止まらない・・・・・・)
アメタ(胃が悲鳴を上げてる・・・・・・)

〇黒背景

〇黒背景

〇黒背景

〇黒背景
アメタ(くそっ!)
アメタ(思ってたより遥かにキツイ!)
アメタ(そう何日も経っていない筈だけど・・・・・・)
アメタ(バイオリズムが狂っているせいで、まったくわからない!)
アメタ(下手すりゃ数時間しか経っていないかも知れない・・・・・・)
アメタ(嗚呼! 血糖値が下がっているのか、イライラしてくる!)
  人は愚かな生き物なのでしょうか?
アメタ(マスター・マザー?)
アメタ(耳栓にスピーカーでも仕込んであるのか?)
マスター・マザー「嘗て戦争がありました」
マスター・マザー「とても愚かな戦争が」
マスター・マザー「その目的は多くの利益、取り分け食糧の為に行われました」
  偉大なる指導者。
  母なる庇護者。
  全世界に存在する飢渇至上主義者の頂点。
マスター・マザー「しかし幾ら大切な食糧でも、争いの種になるならば必要でしょうか?」
マスター・マザー「我々は僅かな空腹の為に他人を傷つけてまで、それを満たそうとする愚かな動物でしょうか?」
マスター・マザー「それとも理性で行動出来る素晴らしい人間でしょうか?」
  1/fゆらぎのリズムを持つ声。
  妙な安心感を覚える。
マスター・マザー「獣と同じ道を歩むなら、人間らしく飢えて死にましょう」
マスター・マザー「不満を漏らしてはなりません。皆が苦しいのです」
マスター・マザー「しかし悲観する必要はありません。私達には百億の同志がいます」
マスター・マザー「けして孤独ではありません・・・・・・」
アメタ(拘束して放置。繰り返される同じ内容の音声・・・・・・)
アメタ(古典的だが効果的な洗脳だ)

〇黒背景
マスター・マザー「人は愚かな生き物でしょうか?」

〇黒背景
マスター・マザー「嘗て戦争がありました・・・・・・」

〇黒背景
マスター・マザー「不満を漏らしてはなりません・・・・・・」

〇黒背景
  嘗て戦争がありましたとても愚かな戦争がその目的は多くの利益取り分け食糧の為に行われましたしかし幾ら大切な食糧
  われわれはわずかなくうふくのためにたしゃをきずつけてまでそれをみたそうとするおろかなどうぶつでしょうかそれと
  けものとおなじみちをあゆむならにんげんらしくうえてしにましょうふまんをもらしてはなりませんみながくるしいので

〇黒背景
アメタ(嗚呼、僕はなんて駄目な奴だったのだろう・・・・・・)
アメタ(美味しい物を食べたいだなんて最低だ)
アメタ(なんて下衆で、低俗で、恥知らずな人間なのだろう・・・・・・)
アメタ(本能の赴くまま行動するなんて動物と同じじゃないか・・・・・・)
アメタ(とても理性のある人間とは思えない・・・・・・)
アメタ(母さん・・・・・・ ごめんなさい。僕が間違っていました・・・・・・)
アメタ(食欲とは個の維持を優先する本能であり、)
アメタ(個人的で、閉鎖的で、独善的な欲望です・・・・・・)
アメタ(生きるとは食べる事であり、食べるという事は殺す事であり、人間は罪深い生き物です)
アメタ(ごめんなさい・・・・・・)
アメタ(生きていてごめんなさい・・・・・・)
アメタ「え?」

〇殺風景な部屋
アメタ「あ、ああ・・・・・・」
  突然拘束が解かれたかと思うと、目の前にご馳走が現れた。
アメタ「はぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああqwせdrftgyふじこlp;「’」」
アメタ「っ!?」
アメタ(待てよ?)
アメタ(どうして拘束が解かれたんだ?)
アメタ(何故食糧が用意されているんだ?)
アメタ(おかしいじゃないか)
アメタ(食との決別を図るのに、どうしてこんな事をする必要がある?)
アメタ(こんなの美味いに決まっている)
アメタ(食べたら余計に忘れられなくなる)
アメタ「そうか・・・・・・」
アメタ「これが食育・・・・・・」
アメタ(ここからが本番・・・・・・)
アメタ(これは敗北宣言だ)
アメタ(今食糧を食べる事は、政府への屈服を意味する)
アメタ(食への執着を断ち切るどころか、寧ろ依存を高めてしまう)
アメタ(そうなったらお上に逆らうなんて考えられなくなる・・・・・・)
アメタ(畜生!!)
アメタ(こんなもん、食事に対してキレろって事か!?)
アメタ(つまりそういう事だろっ!)
アメタ(なんてこった!)
アメタ(食べても食べなくても、どっちに転んでも地獄の苦しみを味わう羽目になるなんて)
アメタ(あと何日こんな事を続けなきゃいけないんだ!)
アメタ(耐えられるのか?)
アメタ「・・・・・・いや」
アメタ(こんな馬鹿な事やってられるか!)
アメタ(不真面目なのが僕の取り柄じゃないか!)
アメタ(やってやるぞ!)

〇殺風景な部屋
アメタ(先ず部屋の様子だ)
アメタ(食糧以外には何も置かれていない)
アメタ(トイレすらないって事は、そんなに長時間使用する事は想定されていない)
アメタ(或いは漏らしても構わないのか・・・・・・)
アメタ(勿論ドアは開かない)
アメタ(監視カメラ・・・・・・)
アメタ(・・・・・・定番だけどアレでいってみるか?)
アメタ(使えそうな物は・・・・・・)
アメタ(良し・・・・・・)
アメタ「ぐっ・・・・・・」
アメタ「あああああっ!!」
アメタ「うわーくるしい〜」
アメタ「だれかたすけてくれぇ〜」
アメタ「しんぢゃうよ〜」
???「お、おいっ!?」
シンノウ「おい! 大丈夫かよ!?」
アメタ「何だ。お前か・・・・・・」
シンノウ「え? ちょ・・・・・・ 血は?」
アメタ「ケーキの上に乗ってたイチゴとブリーベリーだよ」
アメタ「自分で言うのも何だけど・・・・・・」
アメタ「こんなので騙されるなよ」
アメタ「こっちが恥ずかしいわ」

次のエピソード:第19話 戰い

コメント

  • マザーの声が僕の中で吉永さゆりさんが声を当てているように聞こえました。
    恐るべし食育。糖尿病の教育入院もこのくらいやってほしいもんです。
    監視カメラの前でパフォーマンスは鉄板ですね。

  • 矯正によって植え付けられ食欲をなくして精神的拒否反応が出る様にもっていくなんて….なんて恐ろしいのでしょう。
    そして、さらっと語ってたけどアメタ縛られるの好きだったんだ…🫢

  • 一見、暴力的でもなく平和的なプログラムに見えますが…極限状態でこれはキツい😇いっそ殺してくれくらいの心境になるでしょうね😨
    アメタは洗脳されずに脱出出来るのか!?
    独房の中で赤い食品を使って看守を欺くのは脱獄の常套手段ですね😂

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