サンタ狩り

尾長イルカ

第三話 22年の待ちぼうけ(脚本)

サンタ狩り

尾長イルカ

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〇貴族の部屋
  妖怪のような男に、捕まった子供達
  
  空蘭は、死体になっていた
陸翔(りくと)「空蘭を返せ!!」
神楽坂(かぐらざか)「泥棒のくせに偉そうに!!」
陸翔(りくと)「こんなとこに置いとかないぞ! 俺たちの家に、連れて帰る!!」
  空蘭を抱き上げる陸翔
  空蘭の首が床に転がる
海翔(うみと)「く、く、く、く、首が!!」
陸翔(りくと)「首が取れた!!」
神楽坂(かぐらざか)「バカモノ!! 乱暴に扱うな!!」
陸翔(りくと)「ウルセー!! ぬらりひょん!!」
海翔(うみと)「陸翔、こ、コレお人形だよ・・・」
陸翔(りくと)「エッ!!」
  そこへ現れたのは・・・
空蘭(そらん)「うるさいなあ、どうしたの?」
  今度は、妖怪爺が驚く番だった
神楽坂(かぐらざか)「紅玉、紅玉(こうぎょく)じゃないか!? 帰ってきたのか、紅玉!!」
空蘭(そらん)「コウギョク? 私、空蘭よ」
神楽坂(かぐらざか)「お前は紅玉、紅玉じゃ!!」
陸翔(りくと)「空蘭に触るな!! 抱きつくな!!」
  空蘭を抱きしめ、泣き崩れる妖怪爺

〇城のゴミ捨て場
陸翔(りくと)「チクショウ! こんなトコに閉じ込めやがって!」
海翔(うみと)「あの人、やっぱり妖怪かな?」
陸翔(りくと)「ぬらりひょんだ、人じゃねえ! 妖怪の元締めさ!!」
海翔(うみと)「空蘭・・・大丈夫かな?」
陸翔(りくと)「なんとか抜け出さなきゃ あっちのドアはどうだ?」
海翔(うみと)「ダメだね・・・閉まってる でも・・・フフフ」
陸翔(りくと)「ぬらりひょんメ、退治してやるゾ!!」
陸翔(りくと)「アレ? 海翔どこ行った? 海翔?」
  海翔が消えた
陸翔(りくと)「海翔!! クソ! 妖怪に喰われたか!?」
  正面にあるドアが開く
  警戒する陸翔
  現れたのは・・・
海翔(うみと)「ジャジャ~ン、僕だよ!!」
陸翔(りくと)「???」
海翔(うみと)「さっきのドアは閉まってたけど 下の部分にアレがあったの!」
陸翔(りくと)「あれ?」
海翔(うみと)「玄関にもあった、ワンコのやつ」
陸翔(りくと)「犬用ドアか!!  どうしよう猛犬だったら、ヤベェ!!」

〇貴族の部屋
空蘭(そらん)「なんだか苦しそう・・・」
神楽坂(かぐらざか)「人間でいえば100歳近い・・・ ジョンは、かなりの老犬だ」
空蘭(そらん)「そんなに、おじいちゃん・・・」
神楽坂(かぐらざか)「ワシより年寄りだ この歳まで生きてるのは奇跡じゃ」
ジョン「ゥゥゥ」
空蘭(そらん)「大丈夫かしら? 苦しそう・・・」
神楽坂(かぐらざか)「お前は大丈夫なのか? 熱は?」
空蘭(そらん)「すっかり元気よ、薬ありがとう! でも、ジョンは・・・」
神楽坂(かぐらざか)「今夜あたり・・・覚悟はしている だが・・・」
神楽坂(かぐらざか)「ジョンは待ってるんだよ」
神楽坂(かぐらざか)「娘の帰りをもう、22年も待ってるんだ」
神楽坂(かぐらざか)「もう一度、娘に抱かれるまで・・・ 執念だ」
ジョン「クウ~ン」

〇洋館の一室
  部屋を見て回る、陸翔と海翔
  壁のボタンを海翔が押す
  床が動き出した
海翔(うみと)「コワイ!」
  あわてて、もう一度ボタンを押す
  床の振動は止った
  壁には、動物のはく製が飾られていた
  トナカイの大首もある
陸翔(りくと)「閃いた、このトナカイで妖怪退治しよう!」
海翔(うみと)「どうするの?」
陸翔(りくと)「このドライバーと紐でな・・・」
  閉じ込められた物置部屋から
  持ってきた道具を見せる
陸翔(りくと)「ちょっと耳貸せ ゴニョゴニョゴニョ・・・」
海翔(うみと)「うまくいくかなぁ?」
陸翔(りくと)「いくさ、グラグラしてるじゃん さっそく仕掛けよう!!」

〇病室
  今も思い出す
  娘が生まれた日
  夕陽に染まる、あの子のほっぺ
  輝く紅玉(ルビー)のようだった!

〇貴族の部屋
空蘭(そらん)「紅玉さんは、どうして出て行ったの?」
神楽坂(かぐらざか)「あの子は7歳だった 妻が連れて行ったんだよ」
神楽坂(かぐらざか)「ココにいたら、娘が殺されると・・・」
神楽坂(かぐらざか)「もう歩けない・・・ 目も見えない、匂いもわからない それでも・・・」
神楽坂(かぐらざか)「ジョンは、あの子を待っている」
神楽坂(かぐらざか)「ジョンの寿命が来るなら 娘そっくりの、お前の腕の中で 死なせてやりたい・・・ しばらく、ここにいてくれ」
空蘭(そらん)「無理、だってジョンは 紅玉さんじゃないって解ってる」
神楽坂(かぐらざか)「ジョンの方が、しっかりしてる 確かに娘は、とっくに大人だな」
空蘭(そらん)「ジョンだけじゃない お爺さんも待ってるんでしょ? 毎日、人形を見つめて」
神楽坂(かぐらざか)「・・・・・・・」
空蘭(そらん)「どうして奥さんは出て行ったの?」

〇警察署の入口
  ワシは議員買収し、地域を牛耳った・・・
  妻は逆らい、反対勢力の議員を応援した
  その議員を潰してやった、全力でな!
  汚職、不正、不倫とあらゆるキャンダルを
  仕掛けた
  世間なんて、コロッと騙される
  所が、不倫相手がワシの妻という噂が・・・
  誰かが、ワシも罠にかけたのだ
  世間は、これまたコロッと信じた
  長年かけての地域支配が崩れそうだった
  妻を責め立てた、そしたら・・・
「奥さんが、娘さんを連れて出て行ったのね」
  妻は、どこかの施設に娘を預け
  自殺した
  そのことを知ったのは、つい先日だ
  今更、探しようがない
  妻は不倫などしていなかった!!
  議員をハメる罠に、妻がハメられたのだ
  いや、罠にハマったのはワシだ・・・
  自分で自分の仕掛けた罠に
  かかってしまったのだ!!
  妻も娘も、ワシが殺したようなもの
  きっと娘も、生きてはいない・・・

〇貴族の部屋
空蘭(そらん)「なぜ奥さんは、反対勢力の応援を?」
神楽坂(かぐらざか)「妻の父親が、地元の有力者だった ワシは、その勢力を奪うために 妻と結婚したのだ」
神楽坂(かぐらざか)「一度も人間扱いされなかった・・・ そう言って恨んでいたらしい」
神楽坂(かぐらざか)「決定的だったのは、紅玉が怪我したこと ワインセラーに落ちて・・・」
陸翔(りくと)「やっぱりな、人間じゃないんだ! 聞いたぞ!!」
空蘭(そらん)「陸翔!? どこ行ってたの?」
陸翔(りくと)「食事が用意してあるって・・・ 行ったら、ドアに鍵掛けやがった!! ガラクタ部屋に閉じ込められたんだ!!」
神楽坂(かぐらざか)「ドアを壊したのか? このガキ!」
陸翔(りくと)「やるかジジイ!!」
空蘭(そらん)「やめて!!」
ジョン「ワン!!」
  ジョンがヨタヨタと立ち上がり
  這うように部屋を出て行く
神楽坂(かぐらざか)「ジョ・・・ジョンが歩いた? 歩いた!?」
陸翔(りくと)「犬が歩くのが、何がおかしいんだ??」
神楽坂(かぐらざか)「寝たきりのジョンが・・・ お、おい、危ないぞ、動くなジョン!!」
  玄関の方へ、足を引き摺り進むジョン
空蘭(そらん)「紅玉さんが・・・帰ってきたんじゃない!?」
神楽坂(かぐらざか)「まさか・・・」
陸翔(りくと)「何の話だ?」
空蘭(そらん)「私、行ってみる!!」
  飛び出していく空蘭
陸翔(りくと)「どこ行くんだ!?」
海翔(うみと)「空蘭、置いてかないで!!」
神楽坂(かぐらざか)「待ちなさい! お前らみたいな、汚い孤児が あの子に近づいたらイカン!!」
陸翔(りくと)「なんだと!! 妖怪ジジイ!!」
神楽坂(かぐらざか)「孤児だろ? 聞いたぞ まともな教育も受けず、下品なガキだ 紅玉に近寄るな!! あの子はワシが面倒見る」
陸翔(りくと)「人間ナメんな!! ぬらりひょん!!!!」
海翔(うみと)「ナメんな ぬらりひょん!!」
神楽坂(かぐらざか)「お前らみたいな汚いガキを 舐めれるか、笑わせるな ハハハハハ!!」
  空蘭の悲鳴が

〇洋館の玄関ホール
  駆けつけた陸翔、そこで見たものは
  空蘭の吸入器だった、そして
  ジョンが倒れていた
神楽坂(かぐらざか)「ジョンジョン!」
海翔(うみと)「ワンコ、どうしたの?」
  泣く老人
神楽坂(かぐらざか)「22年も待って・・・そんな・・・」
神楽坂(かぐらざか)「ジョン、目を開けてくれ」
陸翔(りくと)「一体誰が?」
海翔(うみと)「空蘭は?」
陸翔(りくと)「そうだ! 空蘭は?」
  その時、ドアが開いた
卓也(たくや)「通報ありがとうございます 施設を逃げ出した子供達がいると?」
神楽坂(かぐらざか)「そこのガキ二人だ、連れてってくれ!」
陸翔(りくと)「ジジイ! 警察に俺を売ったのか!!」
卓也(たくや)「来なさい、君たちを保護する」
陸翔(りくと)「離せ、この野郎」
神楽坂(かぐらざか)「早く連れて行け、二度と顔を見せるな!!」
海翔(うみと)「おまわりさん! 空蘭、空蘭探してよ!!」
陸翔(りくと)「離せよ、この妖怪を捕まえろよ! インチキ警察!!」
卓也(たくや)「大人しく来なさい!」
陸翔(りくと)「空蘭、空蘭! どこにいるんだよ!!」
  連れて行かれる子供達

〇警察署の入口
  ニュース速報
  
  連続殺人犯、烏頭狗 陽介が
  クリスマスの街に逃走しました
  警察は現在
  大捜査網を敷いて犯人の行方を・・・
  空蘭は無事なのか?
  子供たちはどうなるのか??
  
  次回、いよいよ最終話お楽しみに!!

次のエピソード:最終話 殺人サンタ

コメント

  • スチルのインパクトが凄いですね。とっても効果的で!
    そして、この多種多様な登場人物が次回でどう結びつくのか(特に殺人犯)、最終回が楽しみになります!

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