Part1 巨大魔導機関とノア(脚本)
〇時計台の中
ノア「・・・ここに来るのも久しぶりだなぁ・・・」
ノア「魔道機関でもこんなに大きいのはこれくらいだし、きっと掃除のしがいがあるんだろうなぁ!」
???「・・・そこのお前・・・」
ノア「なっ、なになに!?誰かいるの!?」
ジオン「”聖なる器”に気安く触れるでない!」
ノア「ご、ごめんなさい・・・僕はただの清掃員で・・・」
ジオン「たかが清掃員でこのような場所に来るなど怪しすぎるわ!さっさと帰るがよい!」
ノア「あの・・・おじさん・・・?僕は本当に・・・」
ジオン「・・・何度言うても分からんか」
ノア「そ、それと・・・”聖なる器”というのは・・・?」
ジオン「・・・お前のような見ず知らずの者に教えることなどない」
ノア「そう・・・ですか・・・」
ジオン「・・・分かったなら、さっさと帰れ、余所者が」
ノア「・・・・・・あの・・・聞いてくれませんか?」
ジオン「・・・・・・・・・」
〇教会の控室
ノア「はぁ・・・無理やり追い出されちゃった・・・」
ノア「あれで生計立てているのに・・・気安く触るなって・・・」
ノア「・・・でも・・・そっか・・・確かに怪しいよね・・・」
リーナ「・・・失礼するよ」
ノア「あ・・・リーナさん・・・」
リーナ「話は聞いている」
リーナ「どうやら、彼は管理者を名乗っているらしい」
リーナ「気が難しく、余所者を追い払う傾向にあるらしい」
ノア「じゃ、じゃあ・・・どうすれば・・・」
リーナ「そうだな・・・ノア君を信用させる必要があるな」
ノア「でも・・・どうすれば・・・」
リーナ「まず、彼のことについて知る必要がある」
ノア「知る・・・ってどうやってですか・・・?」
リーナ「彼はそれなりに実績のある魔道研究者だ」
リーナ「魔力を大量に収納する巨大な魔道機関は君も見ただろう」
ノア「は・・・はい・・・・・・」
リーナ「あれは操作を間違えれば危険に晒されることは間違いないだろうな」
リーナ「もし、不用意に触ることがあればたまったものではないだろうな・・・・・・」
ノア「だから警戒している・・・と?」
リーナ「その可能性はある」
ノア「では、どうやって信頼を得る必要が・・・?」
リーナ「・・・・・・まず、警戒を解かせるための手段が必要になるな」
ノア「でも・・・あの大きな魔導機関はすぐにでも掃除しなきゃ・・・・・・」
リーナ「・・・お前はそれなりに実力はあると思っている。手先も器用だしな」
ノア「それがどう関係するんですか?」
リーナ「まずお前が実績のあるものだと証明できるものが必要だと思ってな」
リーナ「例えば、過去の実績で言えば・・・「古くからある魔導機関の性能を損なわずに新品同様に綺麗にした」とかな」
リーナ「後輩ながら、よくそんなことをできたな・・・と」
ノア「先輩に言われると・・・なんか・・・・・・照れますね・・・」
リーナ「一応その実績で実際に名前が載っている資料があったはずだ。復元者で調べればすぐに出る」
ノア「僕だってその時できるとは思いませんでしたから・・・」
リーナ「決まったな。証拠はそれだけでも十分証明はできよう」
ノア「えっ、それだけで!?」
リーナ「聞いた話では彼もそのようなものに興味を持っていると聞いた。これを機に機会が伺えるはずだ」
ノア「なるほど・・・!相手が興味を持っているものに関して話をしていけば・・・!」
リーナ「・・・・・・だが、場所は分かるか?」
ノア「僕だってそれくらいは分かりますよ。方向音痴じゃあるまいし・・・・・・」
リーナ「なら、いいんだがな」
ノア「とりあえず・・・その証拠をその方に見せれば納得してくれる、と?」
リーナ「・・・まぁ、まず話を聞いてくれるか、だな」
ノア「で・・・ですよね・・・・・・」
ノア「でも僕・・・1度やってみます!」
リーナ「随分とやる気だな。・・・私はここで待ってるよ」
ノア「はい、行ってきます!先輩ありがとうございます!」
リーナ「ジオン・リモア・・・・・・か・・・」
〇時計台の中
ノア「し・・・失礼します・・・・・・」
ノア「・・・・・・あれ?」
ノア「すみません・・・・・・誰かいらっしゃいませんか・・・?」
???「・・・・・・何故入ってきた」
ジオン「余所者は帰れと言っているだろう!何故来たのだ・・・!」
ノア「わっ・・・」
ジオン「・・・・・・お前は・・・昼間の・・・・・・」
ノア「僕は・・・その・・・・・・魔導機関の整備士で・・・・・・ノア・・・・・・と申します・・・・・・」
ジオン「そんなことはどうでもいい。・・・・・・やはり触れに来たのか」
ノア「その・・・・・・整備士として国の重要機関に着手していた者です・・・・・・」
ジオン「・・・・・・なんだと?」
ジオン「・・・・・・まさか・・・嘘をついているのではあるまいな」
ノア「その・・・・・・見て頂きたいものがありまして・・・これで納得して頂けるといいのですが・・・・・・」
ジオン「・・・・・・偽物ではないだろうな?どれ・・・」
ジオン「・・・・・・なるほど・・・これは真か・・・」
ノア「・・・・・・ですので、何一つ傷を残さず綺麗にするのでどうか、ここは許可いただけないでしょうか・・・・・・」
ジオン「と・・・特別だ!ただし・・・」
ノア「は、はい・・・・・・」
ジオン「私がその間お前のことをしっかり見させていただく。万が一傷がつくようならお前には帰っていただこう」
ノア「わ・・・・・・わかりました・・・!承知の上やらさせていただきます・・・!」
ジオン「・・・・・・ふん」
ノア「・・・・・・あのおじさん・・・やっぱり、疑ってるんだろうなぁ・・・・・・」
ノア「よし、まずは痕がつかないように手袋・・・と・・・・・・あとはホコリを払うために・・・・・・」
ノア「・・・・・・ホコリは・・・慎重に・・・・・・丁寧に・・・・・・」
ノア「・・・・・・溝にもまだ入ってるけど無理に出そうとすれば傷がついちゃうし・・・・・・」
ノア「あぁ、内部にも溜まってる・・・・・・滅多に開けないところだと結構溜まるよなぁ・・・・・・」
ノア「そうだ・・・・・・図面があれば・・・・・・でも・・・」
ノア「・・・・・・あのおじさんに頼んでも渡してくれないか・・・でも壊してしまったら怒られるし・・・・・・」
ジオン「・・・・・・何をボソボソ言っている。さっさと手を動かさんか」
ノア「あ・・・・・・申し訳ありません・・・・・・」
ノア「その・・・・・・この魔導機関の図面はありますか・・・?それか、構造が書かれた書などがあれば・・・・・・」
ジオン「・・・・・・ない」
ノア「そうですか・・・・・・すいません・・・・・・」
ジオン「・・・・・・」
ノア「・・・・・・どこが開くかとか分からないと大変だ・・・・・・」
ノア「わっ!・・・びっくりした・・・・・・」
ノア「なになに・・・『魔導機関ー資料ファイルNo.02』・・・」
ノア「・・・・・・これは・・・今見ている魔導機関の資料だ・・・・・・って、公認委員会!?どういうこと!?」
ジオン「・・・・・・全く・・・いきなり声を出すでない・・・」
ノア「すみません・・・でした・・・・・・」
ノア「引き続き清掃させていただきますので・・・・・・」
ジオン「して・・・公認が何とかと今、言わなかったか?」
ノア「・・・・・・魔導機関委員会ですね」
ジオン「・・・・・・そうか・・・」
ジオン(魔導機関委員会といわば・・・コネがある人物か?・・・どう言った関係があるのかは分からんが・・・)
ノア「・・・・・・すみません。どうかお気になさらないように」
ジオン「わ・・・・・・分かった・・・・・・」
ノア「・・・・・・ええと・・・ファイルの方を開いて・・・・・・ふむふむ・・・・・・」
ジオン(実は機関の図面なら元所有者に譲って貰っていたのがあったが、やはり信用できぬものに渡すのは・・・・・・)
数時間後
ノア「ええと・・・・・・終わりました・・・・・・」
ジオン「・・・・・・思ったよりも早いではないか」
ノア「早い・・・・・・でしょうか?」
ジオン「・・・・・・見させてもらってもよいか?」
ノア「あっ、え・・・・・・えぇ・・・・・・どうぞ・・・・・・」
彼は魔導機関の前に立ち──
ジオン「・・・・・・・・・・・・」
ジオン「・・・・・・なかなか・・・やるではないか。・・・・・・観察眼というやつか?」
ジオン「汚れもなく、錆も年月を感じさせないほどに綺麗に取れている・・・・・・」
ジオン「・・・・・・認めてやらんでもない」
ノア「・・・・・・!本当ですか!?」
ジオン「・・・完全に認めた訳では無いからな?」
ノア「ですが・・・・・・実力がこれくらいあるということが分かったかと・・・・・・」
ジオン「ま・・・・・・まぁ・・・・・・悔しいがそうだな・・・・・・」
ノア「ところで・・・・・・」
ジオン「・・・・・・なんだ」
ノア「魔導機関の中からガラスでできたようなものが見つかったのですが・・・・・・」
ジオン「・・・・・・ガラスなら外面に装飾として使われておるが・・・まさか、欠けたと言うまいな?」
ジオン「な・・・・・・それは・・・!」
ノア「すみません!勝手に触ってしまって・・・・・・」
ジオンはノアからガラスの容器を取り上げる
ジオン「い、一体どこにあったと言うのだ!」
ノア「大切なものだったならごめんなさい・・・」
ジオン「・・・・・・特別に魔導機関に触れることは許可したが・・・それに触れても良いとは言っていない」
ジオン「・・・・・・用が済んだのなら帰ることだな・・・」
ノア「・・・せっかく直したのに・・・」
〇古生物の研究室
ジオン「・・・・・・全く・・・」
ジオン「本当に奴が魔導機関委員会と関わりがあるとするならまずい状況だ・・・」
ジオン「もし研究のことが知られれば管理者を剥奪されかねん・・・・・・」
ジオン「ましてやあの薬が不死の薬であることがバレてはいけぬ・・・」
ジオン「・・・・・・とにかく、整備士を名乗る”奴”から研究のことについては勘ぐられてはならない」
ジオン「・・・・・・かの男のためにも研究の成果を上げねばならんが・・・・・・」
次回へ続く
魔法を操る世界でも、物理的な物質に関しては掃除やメンテナンスが必要なんだという発想がユニークですね。魔導機関というワードがカッコいい。最後に出てきた「不死の薬」とは?賞味期限は大丈夫なんでしょうか。
ジオンさんの頑固キャラが少しおもしろかったです!
本当はすごく綺麗に掃除してくれたんだろうけど
最初追い出したり頑なに拒んだ手前、褒めにくかったのかなあと思いました😂
魔導機関という存在がすごく気になります。
ノアたちのキャラクターを深堀りした回など、続きも色々と読んでみたくなりますね。