ダーク・ボール~狂気のGM~

YO-SUKE

第四話「6月、交流戦」(脚本)

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〇野外球場
  ライナーズSが試合をしている。
  清宮がベンチでそれを見ている。
清宮泰助(開幕して二か月・・・ここ数年にはない ほどチームは順調な滑り出しができた。 だが来週からはいよいよ交流戦だ)
  交流戦。別リーグのチームと
  対戦する日々が約一ケ月続く
  ここでチームが加速するか、失速するか。
  ペナントの行く末を決めるターニング
  ポイントになる
  相手チームの二階堂敏久
  (にかいどうとしひさ)が打席に立つ。
清宮泰助(頼む・・・ここのところ連敗続きだ。 ここは押さえてくれ)
  だが大きな歓声が上がり、
  二階堂がガッツポーズをする。
  サヨナラホームランを打ったのだ。
清宮泰助(負けた・・・うちにも二階堂みたいな 長打力のあるバッターがいればな──)

〇霊園の駐車場
  試合後の清宮が歩いている。
清宮泰助(今の状況で来週からの交流戦を 乗り切れるはずがない。 どうすれば・・・)

〇車内
  清宮が車に乗り込むと、
  助手席に花ケ崎が座っていた。
清宮泰助「! あんたここで何してるんだ!?」
花ケ崎健治「チームの調子は下降気味だ。 今のままでは交流戦で惨敗だ」
清宮泰助「やはり・・・あんたもそう思うか」
花ケ崎健治「起爆剤が必要だ。二階堂敏久を うちのチームに引き入れたい」
清宮泰助「なに?」
花ケ崎健治「二階堂敏久。二年連続40本塁打を 記録しているチームベッツの主砲」
花ケ崎健治「ちなみにあまり知られていないが、 極度のギャンブル好きだ」
清宮泰助「確かにあいつはうちにはいないタイプの 長距離バッターだ」
清宮泰助「おまけに球場の雰囲気を 一気に変える力もある」
花ケ崎健治「キャプテンにスカウトを頼みたい」
清宮泰助「なっ! できるわけないだろっ!」
花ケ崎健治「やってもらう。GM権限だ」
清宮泰助「無理だ。相手はスター選手だぞ」
花ケ崎健治「ドーピング検査の件で、キャプテンには 一つ貸しがあったはずだが、違うか?」
清宮泰助「・・・っ!」

〇パチンコ店
  二階堂がパチンコを打っていると、
  清宮が隣りに座る。
清宮泰助「隣り、いいか?」
二階堂敏久「お前は・・・清宮?」
清宮泰助「地方遠征で休みの時は、 よくここに来るらしいな」
二階堂敏久「なんの用だ? まさか昨日の ホームランを根に持ってるのか?」
清宮泰助「単刀直入に言う。スカウトに来た。 うちのチームに入らないか?」
二階堂敏久「はっはっは! お前、冗談を言うタイプだったんだな」
清宮泰助「ち、違う。俺は──」
二階堂敏久「結構結構。パチンコで負けて イライラしてたが、少し吹き飛んだよ」
  笑いながら立ち去っていく二階堂。
清宮泰助「くそっ・・・! やっぱりこんなの無理に決まっている」
  そこに花ケ崎がやってくる。
花ケ崎健治「まあこれくらいは想定内だ」
清宮泰助「俺はもう降りるっ!」
花ケ崎健治「肝心なのはここからだ。ギャンブル狂の 男など、いくらでも落とし方はある」

〇雀荘
  二階堂が仲間たちと麻雀を打っている。
  だが仲間たちが立ち上がる。
二階堂敏久「おい。なんだよ。もう半荘やろうぜ。 返済分だけでも稼がせてくれ」
仲間「勘弁してくれ。お前の借金返済に 付き合っているヒマはない」
  仲間たちが立ち去る。
  入れ替わりに清宮がやってくる。
清宮泰助「・・・なら、俺と勝負をするか?」
二階堂敏久「またお前か。いい加減にしろ。だいたい 麻雀は4人いないとできないんだよ」
清宮泰助「こんなものより、 もっと面白いギャンブルがある」

〇闇カジノ
  豪華に装飾された室内が、
  多くの人で賑わっている。
二階堂敏久「ここはカジノか・・・!?」
清宮泰助「そうだ」
二階堂敏久「しかも、ただのカジノじゃないな? 財界人や芸能人がたくさんいる・・・ ここは闇カジノだろう?」
清宮泰助「あ、ああ・・・」
清宮泰助(くそ。 闇カジノだなんて俺は聞いてないぞ)
清宮泰助(ただここに二階堂を連れてこいと 言われただけで──)
  二人の前にピエロの仮面を被った
  ディーラーが現れる。
ディーラー「お待ちしておりました。 VIPのお客様はこちらへ」
  ディーラーは先に二階堂を案内すると、
  清宮に近づいて耳打ちする。
ディーラー「しばらくは普通にギャンブルをしろ。 途中でこちらから仕掛ける」
清宮泰助「この声は・・・! GM!?」
ディーラー「仕掛けのタイミングで移籍の話を持ち出せ」
ディーラー「いいな? 従わなければ、 お前がここに来たことを球団に伝える」
清宮泰助「・・・っ! だがこんなところで──」
ディーラー「安心しろ。 ここでは何が起こっても黙殺される。 そう話を通しているんだ」
清宮泰助(こ、こいつ・・・ 闇カジノとも繋がっているのか・・・?)

〇闇カジノ
  ディーラーを挟んで、
  ルーレットの前に座る清宮と二階堂。
二階堂敏久「くそっ! また外れた・・・!」
清宮泰助(こんなギャンブルをやってて、 スカウトなんてうまく行くのか)
ディーラー「次の勝負はいかがしますか?」
二階堂敏久「清宮、金を貸してくれ」
清宮泰助「バ、バカ言うな。そんな金はない」
二階堂敏久「負けを一気に取り戻したいんだよ!」
ディーラー「お金なら、ご用意できます」
  ディーラーが合図をすると、スタッフが
  2つのアタッシュケースを持ってくる。
  中には現金の束が敷き詰められている。
清宮泰助「なっ! なんだこの金は!」
ディーラー「お一人、一億円までお貸しできます」
二階堂敏久「なんだと?」
ディーラー「ただし、お貸しするには条件があります。勝負は一回きり、そしてお二人が戦う形で勝負を受けて頂くことが必須です」
二階堂敏久「勝負? どういうことだ?」
ディーラー「簡単です。次のボールが赤か黒、 どちらに落ちるか決めてください」
ディーラー「勝ったほうが負けたほうの 一億円を持って帰って頂きます」

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