恋の成就するお呪い

chinen-m

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〇屋敷の門
  ある朝・・・
  柴園家に珍しく姉弟喧嘩の声が響いていた
柴園春姫「だから!! 一人でいけるってば!!」
  口論は春姫が送迎車を断った事に始まった
  そう、春姫は超方向音痴なのだ
柴園秋侍「そう言って、この前コンビニ行った時も迷子になったよね?」
柴園春姫「うっ!  そ、それはそうだけど・・・ 今回はいつも通ってる場所だし!!」
柴園秋侍「それ、この前も言ってたよ?」
柴園春姫「ほ、本当に大丈夫だから!! ・・・お願い!!」
柴園秋侍(怪しい 急に送迎車を嫌がるなんて)
柴園秋侍(姉さんのことだ 何かくだらない秘密があるんだろう・・・)
柴園秋侍「・・・わかった 一人で登校していいよ」
柴園春姫「さっすが話せば分かる優秀な弟♡」
柴園秋侍「ただし、条件がある・・・」
柴園春姫「じょ、条件!?」
柴園秋侍「もし、今回迷子になったら 二度と一人で登校させないよ いいね?」
柴園春姫「なぁーんだ、そんなことか! 全然オッケー!! 普通に一人で登校できちゃうし~」
柴園秋侍「それじゃ、姉さん、気をつけて行ってくるんだよ」
柴園春姫「うん! いってきまーす!!」

〇屋敷の門
柴園秋侍「・・・行ったか」
柴園秋侍「太助、仁さん」
「はいよ! 坊っちゃん!!」
柴園秋侍「姉さんの尾行を頼みます」
「承知!!」
柴園秋侍「・・・何も無いと良いけど」

〇住宅街の道
柴園春姫「ふふ~ん♪ 今日は校門で挨拶運動があるし さりげなく西東くんと挨拶できるわ!」
柴園春姫(送迎車なんてドン引きされるわ 秘密の初恋、こんな事で終らせたくないし)
柴園春姫「あら? どうしたのかしら? 人がうずくまっている・・・」
?「う、うぅ・・・」
柴園春姫「・・・どうかされました? ものすごい汗ですよ!?」
?「・・・きっと、恋が成就する魔法のチョコを食べたせいだ 気にしないでください」
柴園春姫「恋が成就する魔法のチョコ!?」
?「えぇ、キラキラ光る緑色のチョコです・・・」
柴園春姫「そのチョコまだお持ちですか!?」
?「食べ掛けですが・・・」
柴園春姫(これが恋が成就するチョコ!? なんてキレイなの!!)
柴園春姫(これで西東くんにアタックするのも有りかも!?)
柴園春姫「それ、言い値で買います!! 譲っていただけませんか!?」

〇川沿いの公園
柴園春姫「ふふ♡ まさかタダで譲ってくれるなんて~」
柴園春姫「早速食べてみましょ!」
柴園春姫「あむ!」
柴園春姫「もぐもぐ ・・・なかなか噛みごたえがあるのね」
柴園春姫「ごっくん!」
仁朗「そっちにお嬢いたか!?」
太助「いません!!」
仁朗「お嬢は筋金入りの方向音痴だからなぁ~」
太助「あっち見てみましょう!」
仁朗「おう!」
柴園春姫「いつの間にか尾行されてたのね でも、こんな近くで見落とすなんて、二人とも老眼進んでるんだわ」
柴園春姫「そんなことより、身だしなみチェックしておかないと! ラブラブイベント盛り沢山でしょうし♡」
柴園春姫「・・・うふ」
柴園春姫「って、えぇぇえええー!!!?」

〇華やかな寮
  ーーキーンコーンカーンコーン
西東麗音「今日の挨拶運動は終りにしようか」
  西東、校門のドアを閉める。
  ーーガラララ
柴園春姫「ま、まってぇー!!」
西東麗音「うわっ!!」
  春姫、渾身のタックルで門を潜り
  西東を押し倒す
柴園春姫「あ、西東くん・・・♡」
西東麗音「学校部外者の方は出て行ってください!」
柴園春姫「違うよ! 私、同じクラスの・・・!!」

〇ハート
柴園春姫「私、同じクラスの・・・」

〇華やかな寮
西東麗音「ぽーっ」
柴園春姫「さ、西東くん?」
柴園春姫「どうしちゃったの?」
恋の女神「それが、恋が成就するチョコの効果ですのよ」
柴園春姫「あのチョコの!? というか、貴女誰!?」
恋の女神「私は恋の女神 あのチョコの創り主ですの」
柴園春姫「貴女が? この身体になったのも貴女の力なんですか?」
恋の女神「いえ・・・初の人体実験でしたので、そんな効果思いもよりませんでしたわ!」
柴園春姫「じゃあ、戻り方は・・・?」
恋の女神「残念ながら・・・ ただ、考えられなくもありませんわ」
柴園春姫「このままじゃ、私、西東くんとイチャイチャできません!! すぐに元の身体に戻す方法を教えてください!」
恋の女神「・・・貴女、思ってる以上に迫力がありましてよ」
恋の女神「単純明快な方法をお伝えしますわ」
恋の女神「・・・ごにょごにょごにょ」
柴園春姫「なるほど!?」

〇学校の廊下
柴園秋侍「無事姉さんを確保した連絡もあったし、やっと一安心だ・・・」
  ーープルルルル
柴園秋侍「え、姉さん?」

〇女子トイレ
柴園秋侍「姉さん? トイレなんか呼び出してどうしたの?」
柴園秋侍「・・・おーい?」
柴園春姫「お願い! 奥の個室まで来て!」
柴園秋侍「具合悪いの?」
柴園秋侍「う、うわ!!!!」
柴園秋侍「誰!?」
柴園春姫「私よ、春姫よ」
柴園秋侍「え・・・?」
柴園春姫「登校途中、恋が成就する魔法のチョコを貰って食べたら、身体が入れ替わっちゃたみたいなの!!」
柴園秋侍「いかにも姉さんらしいけど・・・ そんなファンタジックなことある!?」
柴園春姫「そのチョコを創った女神に完全に排出すれば元の身体に戻れるはずだと言われたわ」
柴園秋侍「・・・ご都合主義のとんでも設定だ」
柴園春姫「ふぇーん・・・ 折角西東くんと良い感じになれたはずだったのに・・・」
恋の女神「諦めるの早くてよ! 元の身体に戻って、相手に効能がある内にアタックすれば・・・」
柴園春姫「オエエエエエエエエ!!!!」
恋の女神「・・・あらまぁ」

〇空
  ──数日後──

〇住宅街の道
柴園春姫「ふふ~ん♪ やっと元の身体に戻れたし、今日から地道に西東くんを攻略するぞー!」
柴園秋侍「姉さん、また変なもの拾い食いしないでよ?」
柴園春姫「大丈夫! 魔法のチョコに頼らなくても、今は組の皆が私の恋の援軍だもん!!」
?「おはようございます!」
柴園春姫「あなたは!?」
?「先日はお世話になりました! 実は今日からそちらで体育教師を勤めることになりまして!」
柴園春姫「まぁ! 縁がありますね!」
西東麗音「おはよう、柴園姉弟! 今日は歩きなのかい?」
柴園春姫「西東くん♡」
西東麗音「あれ、そちらの方は?」
柴園春姫「今日から体育教師を勤める・・・」
?「津月です! よろしく!」
西東麗音「ぽーっ」
柴園春姫「あれ? 西東くん!?」
柴園秋侍「まだチョコの効果が消えてないみたいだね」
「そんなぁー!」
  こうして、春姫の秘密の初恋は
  儚く散りゆくのであった
  <完>

コメント

  • いやいやこれはたまげましたね

  • ぽーってなってるところからすると、そのチョコ効果はあるみたいですね。
    でも、チョコの効果と外見…どちらを取るか、私ならすごく悩んでしまうんですが!
    読んでて楽しかったです。

  • 世の中そう簡単にはいきませんね。人体実験で試した魔法のチョコが失敗作とは想像もしませんでした。でも、これからのストーリーには色んな人体実験が面白そうです。

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