第14章 明かされる真意(脚本)
〇黒背景
???「・・・・・・」
???「邪悪なる者が<虹>を架ける日は近い・・・」
???「今のわたくしには、どうすることもできない・・・」
???「誰か・・・ わたくしの声に応えて・・・」
〇豪華なクルーザー
〇クルーザーのデッキ
ヴィオラ・コーディエ「今日は雨じゃなくてよかったな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ああ」
「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノエル、だいじょうぶかな ずっと部屋にこもってるけど」
シグバート・フォン・ブラッドショット「まさかあれほどショックを受けるとは」
ヴィオラ・コーディエ「そりゃ、シグバートに言われちゃったらな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレが声をかけてもほとんど反応しない」
ヴィオラ・コーディエ「あたしも全然ダメ」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザがいてくれればなぁ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・なんにせよ、ポーラに着くまでには心の整理をしておいてほしいものだ」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルはさ・・・ ミモザのこと、いつから好きだったんだろ?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「基礎課程の頃はわからないが、少なくとも去年の秋には・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ちょっと待った! そんなに前から!?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園にいたとき、たまにミモザのことを目で追っていた」
シグバート・フォン・ブラッドショット「あの様子だと、本人は無自覚だったようだが」
ヴィオラ・コーディエ「なんでシグバートは知ってるんだよ?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「見ていればわかる」
ヴィオラ・コーディエ「じゃあ・・・ ミモザの気持ちにも気づいてるのか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・まあな」
ヴィオラ・コーディエ「なら、なんでデアネイに婚約解消する気はないって言ったんだよ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
〇宿舎の部屋
ノエル・エンジェライト(気分が悪い・・・)
ノエル・エンジェライト(父さんも、ヴィオラさんもシグバートさんも・・・)
ノエル・エンジェライト(なぜ・・・ぼくの気持ちを決めつけるんだ)
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト(ミモザさん・・・)
〇貴族の部屋
ミモザ・クラリティ(みんなはもう、カナリーを発ったかしら)
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ(思い出があれば、この先なにがあっても生きていける)
ミモザ・クラリティ(そう思ってたはずなのに・・・)
ミモザ・クラリティ「どうして・・・こんなに苦しいの」
ミモザ・クラリティ(父上はきっと、わたしを学園に戻さないわ)
ミモザ・クラリティ(ヴィオラさんにもノエルさんにも・・・ もう二度と会えないかもしれない)
ミモザ・クラリティ「本当に・・・このままでいいの?」
〇クルーザーのデッキ
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザが望むなら、婚約を解消してもいい」
ヴィオラ・コーディエ「え、けどデアネイには・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザから言われなければ意味がない」
ヴィオラ・コーディエ「けど・・・ミモザから婚約解消なんて 言い出しづらいんじゃないか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「だからこそ、だ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「望むものがあるなら 自ら手を伸ばさなければ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「特別試験が成功すれば、ブラッドショットとスペサルトの名声も高まる」
シグバート・フォン・ブラッドショット「単独でプレーンに対抗するのも難しい話ではなくなるだろう」
ヴィオラ・コーディエ「・・・もしかして 特別試験を受けるって言ったのは」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「なんか・・・ごめん」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なぜ謝る?」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートは・・・ ミモザにあんま関心がないのかと思ってて」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「幼い頃、オレの身近にいた女性といえば母上だけだった」
ヴィオラ・コーディエ「うん?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ある程度大きくなってからはデアネイとレオナ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園に入学し、専門課程に入ってからはおまえとも関わりができたな」
ヴィオラ・コーディエ「・・・それで?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・笑うなよ」
ヴィオラ・コーディエ「うん・・・?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザは・・・ オレが言い過ぎても、言い返したりしないだろう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それで・・・だな 不用意な発言を控えようとすると、どうしても・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・つまり、どう接していいかわかんなかったってこと?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「なーんだ、そうだったんだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「笑うなと言っただろうが!」
ヴィオラ・コーディエ「ごめんごめん」
ヴィオラ・コーディエ「けどさ、シグバートは婚約が解消になってもいいのか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「まあ、母上が新たな相手を見つけるだろう」
ヴィオラ・コーディエ「それでいいのかよ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「王にとって、もっとも守るべきものは国と民だ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・オレは、ミモザを一番に守ってやることはできないからな」
ヴィオラ・コーディエ(そういえばノエルは、ミモザを守るって言ったんだよな)
ヴィオラ・コーディエ(ちょっと・・・ いや、すげー意外だけど)
〇ファンタジーの教室
〇クルーザーのデッキ
ヴィオラ・コーディエ「・・・?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「どうした?」
ヴィオラ・コーディエ「シグバート・・・ ノエルの魔法で学園が凍ったこと、覚えてる?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ああ 入学試験のときだろう」
ヴィオラ・コーディエ「あれって・・・ ほんとに入学試験のときだったっけ?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・どういうことだ?」
ヴィオラ・コーディエ「なんか引っかかって・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ノエル・・・」
〇城の廊下
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
スペサルト兵「姫様、どうされました?」
ミモザ・クラリティ「あの・・・ デアネイに会いたいのですが・・・」
スペサルト兵「なりません 陛下がお許しになるはずがありません」
ミモザ・クラリティ「・・・姉が妹に会いたいと思うのはおかしいですか?」
スペサルト兵「姫様、わがままも大概になさいませ!」
スペサルト兵「姫様はお父上の言うことに従っていればよいのです」
スペサルト兵「そもそも、庶子のあなたが殿下を妹だなどと身の程知らずにも・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上!」
スペサルト兵「殿下!? なぜ奥宮殿に・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「妹が姉に会いに来たらおかしい?」
スペサルト兵「い、いえ!」
デアネイ・フォン・スペサルト「去りなさい」
スペサルト兵「し、失礼いたします!」
〇クルーザーのデッキ
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエル・・・ 具合はもういいのか?」
ノエル・エンジェライト「・・・離れていても、考えてしまうものなのですね」
ヴィオラ・コーディエ「え?」
ノエル・エンジェライト「彼女はいつも、なにかを耐えるように悲しげで・・・」
ノエル・エンジェライト「それが気になって・・・ 何度も余計なことを言ってしまった」
ノエル・エンジェライト「ヴィオラさん 貴方も同じでしょう」
ヴィオラ・コーディエ「う・・・うん?」
ノエル・エンジェライト「ぼくも・・・ 友人として、彼女を心配しているだけです」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ノエル・・・本気で言っているのか?」
ヴィオラ・コーディエ「あたしだってミモザのこと、心配してるけど・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「そうやって言い訳を並べ立てている時点で、自分の気持ちを認めているようなものだ」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・ ありえない・・・」
ヴィオラ・コーディエ「なんでそんなに意地張るんだよ?」
ノエル・エンジェライト「父さ・・・いえ 学園長が言っていました」
ノエル・エンジェライト「感情を律して、魔力を制御しなければならないと」
ノエル・エンジェライト「そうでなければ・・・ また、多くの人間を殺してしまう・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・また?」
〇貴族の部屋
ミモザ・クラリティ「デアネイ ・・・ごめんなさい」
デアネイ・フォン・スペサルト「どうして謝るの?」
ミモザ・クラリティ「わたし・・・ 城を出ようと思うの」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラさんやシグバート様の力になりたいし・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・ノエルさんのそばにいたいの」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上・・・!」
ミモザ・クラリティ「なにもしないで待つのはもう嫌・・・ けど、あなたに迷惑が・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「ううん! 姉上がそう言ってくれてよかった」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボクも、姉上に城を出るように言いに来たの」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・レオナ様がウーウァ王子を告発したの」
ミモザ・クラリティ「え・・・!?」
デアネイ・フォン・スペサルト「お母上を毒殺した証拠があるって」
ミモザ・クラリティ「そんな・・・ ウーウァ王子の戴冠式は間近なのに」
デアネイ・フォン・スペサルト「だからこそ、告発したんだと思う」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・肉親殺しの兄上に国を任せられないって」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「もしかしたら内乱になるかもしれない」
デアネイ・フォン・スペサルト「父上がどう出るかはまだわからないけど・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「プレーンに取り入るために、姉上をウーウァ王子に嫁がせるかもしれない」
ミモザ・クラリティ「けどわたしは、シグバート様の婚約者で・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「姉上、知ってるでしょ!? 父上は、それぐらいのことは平気でする!」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「だから姉上、城を離れて そして二度と戻ってこないで」
デアネイ・フォン・スペサルト「ヴィオラさんやノエルさんが、きっと姉上を守ってくれるから」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・シグバート様もね」
デアネイ・フォン・スペサルト「ボクが姉上を守れるのは、この城の中だけだから・・・」
ミモザ・クラリティ「デアネイ、ごめんなさい・・・ わたしのわがままで・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「もともと姉上は、市井で自由に生きるべき人だった」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・でも 姉上がボクの姉上になってくれて、うれしかった」
ミモザ・クラリティ「わたしも、あなたが妹になってくれて本当によかった・・・」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・今夜にでも城を出て、カナリーへ向かって」
デアネイ・フォン・スペサルト「ヴィオラさんたちと合流できれば、どうにでもなるから」
デアネイ・フォン・スペサルト「・・・姉上 ボクたち、離れていても、姉妹でいられるよね?」
ミモザ・クラリティ「もちろんよ、デアネイ・・・」
〇クルーザーのデッキ
ヴィオラ・コーディエ「ノエル、でもさ・・・ ミモザだっておまえのこと」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ヴィオラ!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレたちが今、なにを言っても無駄なようだな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「自覚するまで待つしかない 話題を変えろ」
ヴィオラ・コーディエ「あたしがかよ!?」
ヴィオラ・コーディエ「えーっと・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルって学園長の養子だったんだな 知らなかったよ」
ヴィオラ・コーディエ「てことは・・・ 学園長の苗字ってエンジェライト?」
ノエル・エンジェライト「・・・いえ」
ノエル・エンジェライト「学園長は、孤児のぼくに苗字をくださったのです」
ノエル・エンジェライト「学園長の養子としてではなく、ひとりの魔道士として魔道を学ぶようにと」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なるほどな」
ノエル・エンジェライト「・・・ポーラに到着しましたね 行きましょう」
ヴィオラ・コーディエ「なんであんなに自分の気持ちを否定したがるんだろ?」
ヴィオラ・コーディエ「うちの男って、頑固な奴ばっかりだな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おい それはオレも入っているのか」
ヴィオラ・コーディエ「・・・さ! プルウィルストーンを探すぞー!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「待てヴィオラ!」
〇岩の洞窟
仮面の戦士「プルウィルストーンはわが手中に」
仮面の戦士「これで・・・ <虹>が架かることはないだろう」
ノエルは気持ちを押し殺していて、シグバードは王になる身として自分を律していて。ヴィオラの言う通り、男どもは頑固ですね(笑)ミモザの健気な恋心も、政略結婚が絡んで大変な事態に……デアネイがいい子で良かったです、本当に。今後はプルウィルストーンを巡って仮面の男と戦うのでしょうか……?
お話が複雑に絡んできて、ますます面白くなってきました〜! 仮面の男の正体も、冒頭の謎の少女も気になります!