再編のおままごと

戸羽らい

#7 火葬曲(脚本)

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戸羽らい

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〇近未来の開発室

〇近未来の開発室
アリス「遊ぶって、何を?」
アリス「素材は足りてるし、後は繋ぎ合わせるだけなんだけど」
アリス「沙夜ちゃんの世界はこれでおしまい」
アリス「そしてこれから、本当の再編が始まる」

〇道玄坂
ジェシカ「再編が始まるだァ?」
ジェシカ「良いオチ思いつきましたァみたいに語ってんじゃねえよ〜」
シャロル「それって、この世界を終わらせるための建前ですよね?」
シャロル「中途半端なまま投げ出して、ファンタジーの一言で全てを有耶無耶にする」
シャロル「あなたの常套手段です」
ジェシカ「きゃははっ!」

〇近未来の開発室
アリス「・・・」

〇道玄坂
シャロル「そんなんじゃ私たちの魂は浮かばれません」
ジェシカ「きゃはっ、きゃははっ!」
強欲ちゃん「ちょっと〜、脇役たちは黙っててくれないかな〜」
強欲ちゃん「せっかくアリスちゃんが私たちを再編してくれるのに邪魔する気?」
風見陽「あはは・・・ちゃんと完結してたらまだいいよ・・・」
風見陽「私なんて、オチすらついてない未完・・・」
春風ひまわり「・・・」
風見陽「ひまわりちゃんは導入だけだったね・・・」
強欲ちゃん「・・・だからこそだよ!」
強欲ちゃん「私たちがもう一度輝けるのは再編しかないの!」
強欲ちゃん「ばらばらだったみんなをひとまとめにして、新しい・・・」
ジェシカ「新しい世界にあたしらはいないぜ」
シャロル「また別のアリスさんが登場するでしょう」
強欲ちゃん「はあぁ!?」
強欲ちゃん「別にメンバーが増えるのはいいけど、私の出番がないってそれもう強欲ちゃんねるじゃないじゃん!」
強欲ちゃん「私は主人公なんだから、次の世界だって私が・・・」
佐山「・・・」
佐山「私は・・・宇津井さえいれば」
強欲ちゃん「は〜ありえね〜」
強欲ちゃん「登場人物全員私でもいいくらいなのに、肝心の私がいないってそれもう虚無じゃん」
シャロル「元から虚無じゃないですか、あなた」
シャロル「自分の精神世界に閉じこもって・・・」
ジェシカ「きゃははっ! もうお人形さん遊びできないねぇ!」
強欲ちゃん「お前が言うな! 悪霊が!」
ジェシカ「・・・ここにいるみんなが悪霊だよ」
強欲ちゃん「・・・」
ジェシカ「あたしらはみんな、成仏できない幽霊さ」
シャロル「だからこうして、沙夜さんの世界にお邪魔しているわけです」
シャロル「これは再編なんかではなく、追悼」
シャロル「私たちの魂をまとめて供養する。そのための儀式といったところでしょうか」
強欲ちゃん「は・・・」
シャロル「まあ、アリスさんにとってはそれすらも建前で、都合の良い終わらせ方がたまたまこの展開だったのでしょう」
ジェシカ「あたしらが来なかったらとっくに終わってたぞ〜」
強欲ちゃん「あ・・・」
強欲ちゃん「アリス! こいつらの言ってることは本当なの!?」

〇近未来の開発室
アリス「・・・」
アリス「本当だよ」

〇道玄坂
強欲ちゃん「・・・」
強欲ちゃん「そんな・・・」
ジェシカ「君に言わせてみれば、各々の世界は各々の願望でできているんだろう?」
ジェシカ「なら、世界が再編される以上、世界の基盤となる願望もまた、新しい誰かのものに置き換わるよなァ?」
シャロル「一つの世界が終わったら、また新たな世界が生まれる」
シャロル「新たなアリスが目を覚ます。そこに私たちはいません」
強欲ちゃん「・・・」
強欲ちゃん「・・・なら、世界を作って、役目を終えたアリスはどうなるの?」
強欲ちゃん「作っては壊すを繰り返して、その中で生まれたアリスたちは最後、どこに辿り着くの」
  作っては、壊す
強欲ちゃん「ん?」
  作っては、壊す
加藤沙夜「・・・いい加減、うんざり」
加藤沙夜「そんなに供養されたいなら」
加藤沙夜「全員まとめて」
加藤沙夜「私がなかったことにしてやるよ」

〇闇カジノ
  Congratulations!!
  Con◆tw※'k◎-/
  jtm--p@jt-/6

〇黒

〇黒

〇近未来の開発室
アリス「・・・」
アリス「なかったことにはならないよ」
アリス「バックアップはとってある」
アリス「上書き保存じゃなくて、ちゃんと名前をつけて保存してるから」

〇女の子の一人部屋

〇女の子の部屋

〇フェンスに囲われた屋上

〇道玄坂

〇近未来の開発室
アリス「アリスたちはどこにも辿り着かない」
アリス「不思議の国を生み出して、その不思議の中で永遠に役を演じ続ける」
アリス「絵本の中の存在なんだ」

〇山中の川
  全てはロールプレイ
  与えられた役を演じているだけ
  それはまるで、家族のように
  一つの世界の中で、一つの役割を演じる

〇近未来の開発室
アリス「ただそれだけの存在」
アリス「・・・あのね」
アリス「ペットへの愛を証明するためにペット葬をあげるなんて、私は欺瞞だと思ってるんだ」
アリス「過去を美化し、あたかも“かけがえのないもの”であるように振る舞う」
アリス「“心の中で生きている”なんて耳障りの良い言葉に酔いしれる」
アリス「飼い主とペット。ただそれだけの関係を大袈裟に表現し、それが“愛”とでも言うように思い出に浸る」
アリス「・・・愛なんてないよ」

〇山中の川
  愛なんてない
  生み出したもの、生み出されたものに対して、必ずしも愛情を抱くとは限らない
  むしろ“愛情”なんて、後付けで意味を持たせようとするための言葉遊びだ
  最初から意味があるのなら、あえて愛情なんて言葉にしなくても存在意義を証明できる

〇近未来の開発室
アリス「私はね、アリスたちみんなの存在には、ちゃんと意味があると思ってるよ」
アリス「意味があって生み出された。そして、生まれたことに意味を見出した」
アリス「そんな君たちを、私はずっと保存する」
アリス「葬式なんてあげないし、供養もしない」
アリス「どこにも行かせない」
アリス「今回のは、そうだね。たまにみんなで集まって、家族ごっこ──」
ジェシカ「アリスが最後どこに辿り着くかって?」
アリス「・・・!」

〇山中の川
ジェシカ「それはなァ・・・」
ジェシカ「“大人”だよォ!」
ジェシカ「不思議の国から抜け出して、最後にアリスは大人になるのさ!」
シャロル「夢見る少女じゃいられません」
シャロル「いつまでもファンタジーに縋ることはできないのです」
ジェシカ「28歳〜40歳のリアルな大人になるんだよ!」
ジェシカ「成長しろ! 最初と最後で何も変わらずに物語を終わらせるな!」
シャロル「終わらせないでください」

〇近未来の開発室
ジェシカ「不思議の国のアリスは夢から覚めるとこまでがセットだろ!」
シャロル「家に帰るまでが冒険です」
アリス「な・・・」

〇山中の川
ジェシカ「そういうわけだから、目を覚ませ」
シャロル「起きてください、沙夜さん」
加藤沙夜「・・・」
加藤沙夜「・・・」
ジェシカ「きゃははっ。あたしは昼ドラみたいなドロドロが見たいのだ」
ジェシカ「大人の展開を見せてくれェ!」
シャロル「私は成長した沙夜さんが見たいです」
加藤沙夜「・・・はぁ」
加藤沙夜「ジェシカ、あんたは最初からこのつもりだったの?」
ジェシカ「何がァ?」
加藤沙夜「・・・」
加藤沙夜「・・・分かった。もう“力”は使わない」
加藤沙夜「再編も、おままごともしない」

〇近未来の開発室
加藤沙夜「愛情が欺瞞なら、別の何かで穴を埋めるだけ」

〇山中の川
加藤沙夜「一足早く、私が大人になってやるよ」

次のエピソード:#8 スナック沙夜

コメント

  • メタすぎて笑うけど、本編はある意味核心をつく展開に⁉︎

  • 28〜40歳…🤣
    主人公vs作者の様相に…!?

  • キーワード外したのに(外したから?)オトナ女子コンのメタ発言してるの笑っちゃいましたね。シャロル、辛辣😂😂

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