#3 雨のち晴れのち・・・(脚本)
〇大きい施設の階段
心雨を引き留めようと手を掴んだ瞬間
カノジョの想いが俺の頭の中に
とめどなく流れ込んできた。
〇教室
心雨(こさめ)「転校してきた鈴木心雨です! よろしくお願いします!!」
「背デカ! スカイツリーかよ!?」
「顔は可愛いけど、ナイわ〜(笑)」
心雨(こさめ)(半年でグンと身長が伸びたから・・・)
心雨(こさめ)(注目されるの、恥ずかしいな!)
心雨(こさめ)(人間関係は最初が肝心! 何とかしなきゃ)
髪型変えて眼鏡をかけて
背中を丸めて
先生にも逆らわないようにした
心雨(こさめ)(大人しく地味に目立たないように・・・)
先生「生徒会長は成績優秀な 鈴木に立候補してほしいんだが!」
心雨(こさめ)(エッ!?目立ちたくないよ! ヤダヤダヤダ)
生徒「賛成で〜す」
生徒「異議な〜し!」
心雨(こさめ)(そっか、断ったら逆に目立っちゃう)
心雨(こさめ)「私、やります」
心雨(こさめ)(これで少しはクラスに馴染めたかな?)
〇黒
晴人(はると)「心雨の『想い』が止まらない・・・」
〇堤防
心雨(こさめ)「潮風がキモチイイ〜♡」
心雨(こさめ)「学校はつまらないけど、 やっぱり海はいいな!」
心雨(こさめ)「前の学校は自分を出せていたから、 友だちがたくさん居たけど」
心雨(こさめ)「本音を言えなくなってから、友だちの作り方も分からなくなっちゃったな」
心雨(こさめ)「転校してから悲しいことばかりだよ」
心雨(こさめ)「──」
心雨(こさめ)「お父さん、何で死んじゃったの?」
心雨(こさめ)(誰かこっちに来るみたい。泣いているの恥ずかしいから、隠れなきゃ!)
心雨(こさめ)「あれ?あの人・・・」
心雨(1組の男子じゃないかな?)
心雨(わあ!本格的なロッド持ってる。 釣り好きなのかな)
心雨(釣りが好きなら話してみたいけど、)
心雨(私みたいな地味女子なんかが声をかけても、迷惑だよね)
心雨(名前・・・何ていうのかな 名簿で調べてみよう)
心雨(いつか、一緒に釣りが出来たらいいな)
〇黒
晴人(はると)「心雨も1人ボッチで悩んでいたのか!?」
晴人(はると)「まさか学校で知らないフリしようとしてたのは、」
晴人(はると)「俺に気を使って!?」
晴人(はると)「チクショー!」
晴人(はると)「俺は全然、心雨の気持ちを理解していなかったんだ!!」
〇大きい施設の階段
心雨(こさめ)「手を離して下さい!」
晴人(はると)「・・・」
晴人(はると)(目眩がする・・・ 倒れる前に言わなきゃ!)
晴人(はると)「あのッ。 いきなりゴメンだけど、聞いてくれる?」
心雨(こさめ)「ハア・・・」
心雨(こさめ)(私は調べたから知ってるけど)
心雨(こさめ)(晴人くんは、何で私の名前を知っているの??)
心雨(こさめ)(しかも周りにたくさん人が居て、 恥ずかしいんですけどッ!!)
晴人(はると)「俺は2年1組佐藤晴人! 趣味は釣りです!」
晴人(はると)「俺と友達になってください!」
晴人(はると)「お願いします!!」
心雨(こさめ)「エェッ!?」
心雨(こさめ)「きゅ」
心雨(こさめ)「急にそんなこと言われても、 困るんですけど・・・」
晴人(はると)「な〜に猫被ってるんだよ!」
心雨(こさめ)「猫!?」
晴人(はると)「キミが本当は明るくて、 活発な女の子だってことは知っているよ!」
晴人(はると)「釣りが趣味なこと、おむすび派なこと、雷が苦手なこと」
晴人(はると)「急に背が伸びたことで恥ずかしい気持ちになって、自分を出せないこととか」
晴人(はると)「俺は、そんなキミのことが全部好きだ!」
晴人(はると)「だから心雨には幸せになってほしい」
晴人(はると)「もう一度、時間を巻き戻す!」
晴人(はると)「サヨナラ心雨」
心雨(こさめ)「どうして・・・!?」
タイムリープは過去を消してしまう
罪深き能力。
サイコメトリーを使った後に使うなんて、
一世一代の大博打だ。
〇カラフルな宇宙空間
「ヤバイ・・・全身がバラバラになったみたいに動かない」
「頭が全然、働かない」
「でも、」
「心雨が転校する前にまで戻るんだ・・!」
「神様──」
ママ「・・・」
ママ「・・・晴人」
ママ「目を覚まして」
「オフクロ──?」
〇本棚のある部屋
晴人(はると)「ハッ!」
晴人(はると)「俺の部屋?」
ママ「覚えている? 熱を出して2日間寝込んでいたのよ」
晴人(はると)「熱出して寝込んだのって・・・」
晴人(はると)「確か高校1年生の時だから、心雨が転校してくる前か」
晴人(はると)「良かった!」
晴人(はると)「後は心雨が転校しないようにするには・・・」
ママ「アナタ、もしかしたらタイムリープを使ったの?」
晴人(はると)「う、うん。 高校2年生の夏から戻ったんだ」
ママ「・・・前にも使った?」
晴人(はると)「・・・2回目。 友達を助けたくて」
ママ「懐中時計を出しなさい」
晴人(はると)「針が止まっている!?」
ママ「タイムリープは罪深き能力よ」
ママ「サイコメトリーと違って、何回も使えるモノではないの」
晴人(はると)「エッ、でも」
ママ「無茶した反動だったのね。 アナタは学校の階段で倒れて運ばれたのよ」
ママ「側に居た生徒会長が家まで付き添ってくれてね、なんだか申し訳なかったわあ」
晴人(はると)「嘘だろ!? じゃあ俺、タイムリープしていないの?」
晴人(はると)「心雨に告白したままなの!?」
〇一軒家
「俺の人生、詰んだあああああ!!!!!!」
〇店の入口
〇カフェのレジ
晴人(はると)「ホットのカフェラテ1つと、 パニーニ下さい」
心雨(こさめ)「お客様、当店には生憎カフェオレしかございません」
心雨(こさめ)「てゆうか」
心雨(こさめ)「わざと間違えて注文するの、やめてよ」
晴人(はると)「だって心雨、前はそんな指摘する店員さんは意地悪いって言っていたよ」
心雨(こさめ)「晴人くんが変えた、過去の私の台詞は知らないよ〜!」
心雨(こさめ)「今日はバイト20時までだけど、一緒に帰れる?」
田中「オイッ!」
田中「オマエのカノジョ、俺も居るのに見えてないのかよ?」
晴人(はると)「ワリ〜な!」
晴人(はると)「今度の川釣り誘うから今日は解散しよ」
田中「オウ、エサ代はオマエ持ちな!」
晴人(はると)「バイト終わるまで待つつもりだったから、釣り新聞と新しい釣り糸買ってきた」
晴人(はると)「釣り糸リールにセットしてたら、1時間なんてあっという間だからね」
心雨(こさめ)「週末のマス釣り用?楽しみ!!」
望「オッ、来たな。 学校一派手な告白をした伝説の男!!」
心雨(こさめ)「望!」
望「いつもすましているから、気取っているヤツなのかと思っていたけど」
望「あの情熱的な告白とのギャップにやられたわ!」
望「心雨もアンタも、前は話しかけないでオーラが出てたけど」
望「話してみたら案外面白いよね」
晴人(はると)「うるせーな。 喋ってないで働けよ!」
あの後、心雨に超能力のことをカミングアウトしたら、
次の日から、全く使えなくなってしまった。
そして何故か、俺に話しかけてくる人たちが増えた
相変わらずカフェラテとカフェオレは
違うし、降水確率とオンナゴコロも曖昧。
心雨は180センチだし、俺も167センチのまま。
何も変わらない毎日。
でも、俺と心雨はちょっとだけ違う人生を歩んでいる。
晴人(はると)(人生は能力じゃ何も変わらない)
晴人(はると)(ほんの少しの勇気、だったんだ)
心雨(こさめ)「おまたせしました! ホットカフェラテでーす」
晴人(はると)「カフェラテに出来るの!?」
心雨(こさめ)「晴人くんだけの特別レシピなの!」
心雨(こさめ)「皆にはナイショだよ!」
こんな風に、少しだけ・・・ね!
面白かったです!
晴人のストレートさいいですね!!
長尺で読みたかったくらい、良かったです。
罪深き能力、と呼ばれる理由とか、能力が消えるトリガーとかには、なんか他に話がありそうな感じがして、「そこにも話あるんでしょ、教えてよー」ってなってました。
二人のイチャイチャのストーリー挿入割合がとても僕好みです。このくらいがいい…。
素敵なお話ありがとうごさいます!!
ニヤニヤしながら読ませてもらいました。ある意味タイムリープが成功しなかったおかげで、告白成功しましたね👍
けど仮にタイムリープが成功してたら、どうなってたんだろう? もしかして、小雨ちゃんの悩みを解決した晴人に対して小雨の好感度が爆上がりして、ベタ惚れの展開になったり!? それとも何かの間違えで田中ルートになったりして😆 とにかく、ニヤニヤできる良い作品でした👍