#2 晴れ時々曇り(脚本)
〇本棚のある部屋
晴人(はると)「どう考えてもオカシイ! やっぱり生徒会長はあのコだ」
晴人(はると)「じゃあ俺が話しかけた時に無視したのは?」
晴人(はると)「待てよ、双子ってこともある?」
晴人(はると)「うーむ・・・」
小菜(さな)「オニイ、何で犬みたいに唸ってるの?」
晴人(はると)「小菜! いつから居たの!?」
小菜(さな)「そんなに驚かなくても・・・ さてはエッチィ雑誌でも見てたな?」
晴人(はると)「出てけ!」
小菜(さな)「ウソウソ! 悩んでいるなら相談に乗るよ♪」
晴人(はると)「じゃあさ、女が男に」
晴人(はると)「最初は友好的だったのに、次会ったら冷たくて」
晴人(はると)「その次はトイレまで追いかけてきて話しするって・・・どう思う?」
小菜(さな)「えっ、オニイ・・・彼女出来たの?」
晴人(はると)「し、小説の話!」
晴人(はると)「そういう女の子ってどうなの? どんな気持ちだと思う?」
小菜(さな)「はーん」
小菜(さな)「小菜的にはねえ、 その女の子は男の子に気がある!」
小菜(さな)「でも、まだ自分の気持ちが分からなくて、冷たくしたり追いかけたりするのかな?」
晴人(はると)「そっ、そうなんだ~。へ〜」
小菜(さな)「サイコメトリーすればイイのに!」
晴人(はると)「仲良く無い人にいきなり手をシッカリ握られて、」
晴人(はると)「目の前で貧血で倒れられたら、ドン引きだろ!?」
小菜(さな)「まっ、ガンバりたまえ! おやすみィー!!」
晴人(はると)「・・・ガンバレ?」
晴人(はると)「あ・く・ま・で小説の話だからな─ッ!」
〇海岸の岩場
晴人(はると)「やっぱり気になって来ちゃった。 あのコは来てくれるかな」
晴人(はると)「来ない・・・かな」
晴人(はると)「怒っていたしなあ」
晴人(はると)「・・・」
晴人(はると)「・・・ハア」
晴人(はると)(こんな気持ちになるなら、 最初から約束を守れば良かった)
「引いてる引いてる! ハンドル回して!!」
晴人(はると)「ウワッ!」
晴人(はると)「重い・・・!!」
心雨(こさめ)「一回泳がせようか。 落ち着いて、ゆっくりハンドル回して!」
晴人(はると)「キミ・・・」
心雨(こさめ)「今だ!引いて!!」
晴人(はると)「ハイ!」
晴人(はると)「ウワアア!!」
心雨(こさめ)「何この魚!見たことない!!」
晴人(はると)「今までで1番デカい!」
「ヨッシャアア──!!!!」
〇海岸の岩場
晴人(はると)「あのッ」
心雨(こさめ)「鍋が出来たよ〜」
心雨(こさめ)「さっきの魚!どんな味かな!?」
心雨(こさめ)「おむすびもあるから一緒に食べよ!」
晴人(はると)「そのっ、モグモグ・・・魚ウマあ! キミは・・・クチャクチャ」
晴人(はると)「ゲホッ!ゲホゲホ!!」
心雨(こさめ)「喋るか食べるかどっちかにしたら?」
晴人(はると)「先週の約束、破ってゴメン!」
心雨(こさめ)「でも、今日は来てくれたじゃない!」
心雨(こさめ)「許すよ!」
晴人(はると)「ホッ・・・ありがとう」
晴人(はると)「あと、つかぬことを聞きたいんだけど」
晴人(はると)「もしかしたら、 すごく良く似た双子の姉妹とか居る?」
心雨(こさめ)「ひとりっ子だよ」
晴人(はると)「じ、じゃあさ、 鈴木生徒会長とキミは同一人物だよね!?」
心雨(こさめ)「うん、そう。 『心雨』でいいよ」
晴人(はると)(やっぱりそうか!)
晴人(はると)「でも、俺が学校の階段で 話しかけた時に無視・・・したよね?」
心雨(こさめ)「ゴメンね!」
心雨(こさめ)「学校の私と今の私は、 同じだけど同じじゃないから」
晴人(はると)「何だよそれ。 謎々?」
心雨(こさめ)「この前、晴人君が話していた、 カフェラテとカフェオレみたいなことかな」
晴人(はると)「わっかんねーな。 ますます頭痛くなるッ!」
心雨(こさめ)「──学校では人目があるし、 お互い知らんぷりしようってこと」
心雨(こさめ)「変に噂されたら嫌でしょ?」
晴人(はると)「ああ・・・」
やっぱりキラキラな生徒会長が、
ボッチの一般男子と
仲良くするのは恥ずかしいのか。
晴人(はると)(分かっていたけど、現実は残酷だな)
心雨(こさめ)「学校なんかより、こうやって外で仲良くしてくれる方が私は嬉しいな」
心雨(こさめ)「迷惑?」
晴人(はると)(イチイチ目が合うたびに撃ち抜かれる、俺の軟弱なハートよ!)
晴人(はると)「全然大丈夫! 学校なんか、どうでもいいよね!」
晴人(はると)「釣り仲間として、 これからもよろしくお願いします!」
俺はこの時、
カノジョの会話の意図に全く気づいていなかったんだ。
〇堤防
晴人(はると)「今日は楽しかった! そろそろ帰ろうか」
晴人(はると)「──どうしたの?」
心雨(こさめ)「無いの・・・!キーホルダーが・・・」
晴人(はると)「エッ、どんなやつ?」
心雨(こさめ)「ピンクのウサギ・・・どうしよう」
心雨(こさめ)「パパの形見なのに・・・」
晴人(はると)「お父さんの!?それは大変だ!!」
晴人(はると)「岩と岩の隙間に落ちているかも?」
心雨(こさめ)「でも、もう電車の時間だし。 この便逃したら帰るのが遅くなるよ」
晴人(はると)「そんなのいいよ。 とりあえず暗くなる前に探さなきゃ!」
心雨(こさめ)「ありがとう!!」
晴人(はると)「心雨はこの辺りを見て。 俺は向こうを探してくる!」
〇海岸の岩場
晴人(はると)「俺の能力を使えば、すぐに見つけられるけど」
晴人(はると)「心雨に直接手が触れる必要がある」
晴人(はると)「しかも上手くそれをクリアしても、貧血で倒れたら迷惑がかかるよな」
晴人(はると)「一体どうしたら・・・」
晴人(はると)「いや、待てよ」
晴人(はると)「コレならイケる?」
晴人(はると)「使ったことが無いから、どうなるか分からないけど・・・」
〇海岸の岩場
心雨(こさめ)「こんなに暗くちゃ、もう探すのは無理だね」
心雨(こさめ)「付き合わせてゴメンね!もういいよ」
晴人(はると)「大丈夫。必ず心雨に返すよ!」
晴人(はると)「これで──」
晴人(はると)「俺たちが会う前まで時間を巻き戻す!」
心雨(こさめ)「エェッ!?」
オフクロから受け継いだもう1つの能力。
『タイムリープ』
変えた過去は消えてしまうと聞いたから、怖くて一度も使ったことがなかった
でも
今なら何でも出来る気がするんだ
晴人(はると)(心雨の悲しむ顔は見たくない)
〇白
こんなに誰かのことを毎日考えたり、
誰かと一緒に時間を過ごすことが
こんなに大切なことだなんて
もう少しだけ早く気づいていたら、
心雨とちゃんと仲良くなれたかな。
もう、遅いか──
〇学校の校舎
〇教室の教壇
先生「佐藤〜! コラ、佐藤!!」
田中「オイ佐藤、先生が呼んでるぞ!」
田中「さすがに朝から3時限目まで寝てたらマズイだろ?」
田中「テイッ!」
晴人(はると)「ギャッ!?」
田中「オマエ、意外に勇気あるな!」
晴人(はると)「今・・・何月何日?」
田中「新しいギャグか?」
田中「明日から夏休みの3時限目だよ!」
晴人(はると)(タイムリープは成功したんだ! 心雨に出会う前まで戻れたのか!?)
晴人(はると)(後は、心雨にキーホルダーの留め金が壊れていないか確認してもらえば)
晴人(はると)(落とすのだけは回避できる!)
晴人(はると)(でも、また無視される?)
晴人(はると)「いや、せっかくタイムリープしたんだ。 ちゃんと伝えなきゃ!」
先生「佐藤〜! 授業中にどこに行く気だ〜!?」
田中「今まで話したこと無かったけど」
田中「おもしれーヤツだな!」
〇大きい施設の階段
「心雨!」
心雨(こさめ)「佐藤晴人君・・・ですよね?」
晴人(はると)「ハアッ、ハアッ・・・」
晴人(はると)「やっと見つけた!」
晴人(はると)「俺みたいなボッチが話しかけて申し訳ないけど」
晴人(はると)「ウサギのキーホルダーの留め金が壊れてないか確認してくれ!」
心雨(こさめ)「ウサちゃん!?」
心雨(こさめ)「ホントだ!危なかった・・・」
心雨(こさめ)「なぜこれを!?」
生徒「どうした? なんの騒ぎ??」
生徒「わかんない。 生徒会長に男子が告ってる?」
生徒「身長差ヤバイ!逆じゃない?」
心雨(こさめ)「ひ、人目もありますから! それでは!」
晴人(はると)「ちょ待って!!」
晴人(はると)「アッ!」
心雨を引き留めようと手を掴んだ瞬間
カノジョの『想い』が俺の頭の中に
とめどなく流れ込んできた。
素敵すぎる展開にキュンとなります!
いいなぁーこのお話☺️次で最終話…見たいけど終わりたくないから見たくないという気持ちになっています。そういいながら、すぐ続きを読むんですけど😅
好きな子の為に時間を遡る能力を使うのは良いですね👍まさに王道! けど、そのせいで田中とのフラグが…なーんて。
次回、小雨の記憶がどんなものか気になりますね。楽しみにしてます
すっごい真っ直ぐな恋愛😄
駆け引きナシ、打算ナシ、これぞ青春ど真ん中ですね!晴人くん、まさかの能力2つ目!どちらも自分のために使わないところ、ホントにイイ子ですねー😆 そして、小菜ちゃんが今回もイイ味出してますねー