エピソード16(脚本)
〇公園の入り口
若山柿之介「あ、紅音さ。 おらここだから、また今度」
公園の中に入って行く柿之介。
真田紅音「待て待て待て待て」
若山柿之介「どうしただか」
真田紅音「え、なんだ、どういうことだ? ここだからって、公園に入るってどういうことだ?」
若山柿之介「大丈夫だで、ちゃんと寝床はつぐったから」
公園内を指差す柿之介。
〇公園の砂場
地面にボロボロの傘が刺さっている。
その傘の下に、藁が敷き詰められている。
〇市街地の交差点
真田紅音「泊まるとこないのか?」
再び公園内を指差す柿之介。
真田紅音「いや、そうじゃなくて、ホテルとか、友達の家とか」
若山柿之介「ホテルなんて泊まる金ねえだ。 友達も、紅音さしかいねえ」
真田紅音「いや、しかしあれは・・・」
巡査「あのー、ちょっといいかな」
若山柿之介「ん、なんだべか」
巡査「あそこの、公園内にある、何というか、寝床、的なものは君が作ったのか」
若山柿之介「え、すごいべ、よぐわがったなー」
巡査「うんまあ、なんとなく、いで立ちがあそこで寝てそうだなーと」
真田紅音「ダメですか?」
巡査「ダメでしょう」
若山柿之介「え、ダメだか!」
〇高級一戸建て
〇シックな玄関
若山柿之介「おじゃましますだ」
真田紅音「しーっ、そういうのいいんだよ」
玄関の靴を確認する紅音。
四足の靴が置かれている。
真田紅音「・・・・・・」
若山柿之介「はー、綺麗な家だべ。 お城みてえだ」
真田紅音「おい、勝手に行くな」
真田紅音「あ」
若山柿之介「あ、紅音さのかあちゃだべか、おじゃましますだ!」
真田雅美「・・・・・・」
真田紅音「友達、しばらく泊めるから」
若山柿之介「今日から友達になっただ。 エリートピアの選考が一緒だったでよ、紅音さにはホントに助けられただ」
真田雅美「・・・ふっ、素敵なお友達ね」
若山柿之介「優しそうなかあちゃだべ」
真田紅音「どこを見てそう思った」
若山柿之介「素敵って言われただ」
真田紅音「嘘だよ、心にもない」
若山柿之介「え」
〇家の階段
真田紅音「言っとくけど、これは僕が嘘を見抜く能力があるとかそういう問題じゃない」
真田紅音「さっきのは百人見たら百人が皮肉だってわかるからな」
若山柿之介「んー、おらにはむずかしいだ」
真田紅音「まあ、そうでなくても——」
真田紅音「あいつらの嘘は絶対にわかるけどな」
若山柿之介「・・・?」
〇本棚のある部屋
真田紅音「元はただの収納部屋なんだ。狭いだろ。 笑ってもいいぞ」
若山柿之介「んだ、せめえな。でも綺麗だ」
真田紅音「・・・はは」
真田紅音「他にも部屋は空いてるけど、来客用だって言って、僕には使わせてくれない」
若山柿之介「来客、おらだべか?」
真田紅音「訂正。親が『来客』だと認めた人用だ」
若山柿之介「おれ認められてねえだか」
真田紅音「認められるかもよ。 何かとんでもなく、あいつらの役に立つことすれば」
〇一階の廊下
真田紅音「柿之介、風呂入ってた・・・わけないよな」
若山柿之介「公園に噴水があっただ」
真田紅音「晩飯買ってきたら先に風呂だな」
若山柿之介「紅音さのご飯は、買っでこねでも、あるんでねえか?」
真田紅音「ないよ」
若山柿之介「だって、ほらごちそうがあるべよ」
廊下からリビングの中をのぞく柿之介。
紅音以外の家族たちが談笑している。
真田紅音「・・・なら、確認してみるか」
〇おしゃれなリビングダイニング
真田紅音「僕の分は?」
真田雅美「あら、いるんだったの。 なら言ってよ、用意してないわよ」
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