ペットショップ(脚本)
〇整頓された部屋
愛依「今日も一人かぁ・・・」
在宅ワークになってから早一年・・・
最初は通勤がなくて楽だなぁなんて思ってたけど、正直最近は人恋しい
愛依「SNSやWeb会議だけだと、孤独感が半端ないんだよねぇ」
私の名は愛依
都心のマンションで一人暮らしをしている、コンサルティング系の会社員
仕事をバリバリこなす27歳だ
しかしプライベートになると、やや寂しい・・・
実家を離れての一人暮らしだから家族も居ないし、恋人も居ない、友人も少ない・・・
自宅にこもり、メールで送られてくる仕事こなし、提出し、次の仕事に取り掛かる
毎日毎日同じローテーションの繰り返し
休日でも、無趣味の私は部屋で過ごす事が多い
ネット以外では、コンビニの店員さんと一言二言言葉を交わすくらいだ
時々、私はこのまま一人で朽ち果てるんじゃないかとも思える
愛依「・・・って、愚痴っても仕方ないか」
愛依「仕事しよ・・・」
私は溜息をつきながらPCを立ち上げた
愛依「そう言えば、今度のクライアントは猫カフェのオーナーさんだったなぁ」
愛依「猫・・・犬・・・」
愛依「・・・ペットかぁ」
愛依「・・・」
今の収入なら無理は無いし、子供の頃は社宅住まいでペット飼えなかったし・・・
・・・思い切ってペットでも飼っちゃおうか?
正直なトコロ、ずっと考えてはいたんだよねぇ
〇ハート
カワイイわんにゃんに囲まれる、憧れのペットライフ・・・
愛依「良いかもしれない!!」
〇整頓された部屋
愛依「良し!思い立ったら即行動!」
確か町内にペットショップが有ったはず
愛依「まずは下調べだ」
私はネットでペットショップを検索した
動物を飼うという事は簡単じゃない
熟慮して決めなければ・・・
私はペットを飼う心得から、実際の飼育方まであらゆる情報をリサーチした
〇ペットショップの店内
愛依「思ったより大きな所だなぁ・・・」
ネットで下調べして犬か猫を飼おうとまでは決めたが、結局どの子を飼うかの答えは出せず
私は仕事の余裕のある日に、直接ペットショップへやって来た
愛依「しかし・・・広すぎて、どこに何が居るのやら」
店長「いらっしゃいませ」
店内をキョロキョロと見渡していると、エプロン姿の男性が話しかけてきた
歳は30代位かな?長身でなかなかのイケメンだ
名札を確認すると、どうやらこの店の店長さんらしい
せっかくだから相談してみようか・・・
愛依「えっと、ペットを飼おうかなと思いまして」
店長「どんな子をお探しですか?」
愛依「犬か猫、どちらにしようか悩んでるんです」
店長「それなら直接ご覧になりますか?」
こうして私は、店長さんに店の奥へと案内された
透明なゲージに、多くの子犬と子猫が展示されている
私はゲージの前で立ち尽くした
〇ハート
ここは・・・パラダイスだ
どの子もとても可愛くて、世の人達がペットに対して親バカになる理由もわかる気がする
ネットである程度の候補は決めてきたつもりだったが、一瞬で白紙に戻ってしまった
私は改めて子犬エリアから子猫エリアの端から端まで、一匹一匹時間を掛けて確認した
〇ペットショップの店内
愛依「堪能したぁ〜」
一通り確認を終え、私は余韻に浸っていた
どの子もカワイイ、本当にカワイイ♪
しかし多くのわんにゃんに見惚れる中、やけに私の気を引く子が二匹いた
一匹は茶色の子犬。
生後三か月の柴犬で、まだまだ小さい
もう一匹はグレーのトラ柄をしたペルシャ猫
生後半年らしく子猫にしてはそこそこ大きい
この二匹だけは、なぜか他の子と違って見えた
いや、感じたと言った方が良いだろう
理屈じゃない
もし飼うとしたらどっちかなんだけど・・・
店長「お決まりですか?」
腕組みをして悩む私に、店長さんが声を掛けてきた
愛依「えっと・・・」
何時までもこの場所で悩んでいても仕方がない
私が優柔不断で決断力がない事は、自分が一番良く知っている
決めよう・・・
私は悩み抜いて答えを出した
私は・・・
A.子犬を買う
B.子猫を買う
C.何も買わない