不良は一日にして成らず。(脚本)
〇小さいコンビニ
(やっと見つけた! あの人はきっと・・・)
〇コンビニの店内
白石 茜「”不良”ですよね?」
日比野 尚志「へっ!?」
白石 茜「私、不良の方を探しているんです。同じ歳くらいの」
日比野 尚志「・・・俺でいいの?」
白石 茜「え?」
日比野 尚志「斬新なナンパだな」
白石 茜「ナンパ!?」
日比野 尚志「気の引き方が独特すぎ」
日比野 尚志「こんなに綺麗で面白いコが・・・」
日比野 尚志「今日の俺はツイてる!」
白石 茜「・・・」
〇小さいコンビニ
白石 茜「盗んだバイク・・・!」
日比野 尚志「盗んでねえよ」
日比野 尚志「後ろへどうぞ、お嬢サマ」
白石 茜「・・・このバイクにまたがれば、私も不良になれるのでしょうか」
日比野 尚志「へ?」
白石 茜「・・・とりあえず、乗ってみます」
〇小さいコンビニ
白石 茜「初めてバイクに乗りました」
「しっかり掴まれよ」
白石 茜「どこにつかまれば・・・」
「俺に」
白石 茜(Tシャツを掴めばいいのかな・・・)
「抱きついてないと後ろにひっくり返るぞ?」
白石 茜「えっ・・・」
白石 茜「し、失礼します」
白石 茜(背中、あったかい)
「しゅっぱーつ!」
〇雑踏
白石 茜(夜の街、綺麗)
白石 茜(風の音がすごい)
白石 茜「不良の皆さんはいつもこんなに綺麗な夜景を見ているのですか?」
「なんか言った?」
白石 茜「悪くないですね」
「おっきい声で言って? 聞こえねー」
白石 茜「夜景がとても綺麗です!」
「だな!」
〇ゲームセンター
白石 茜「ここがいわゆるアジトですか!?」
日比野 尚志「ただのゲーセンだよ。こんなところしか思いつかなくてごめん」
塩見 健太「先輩!」
日比野 尚志「よお」
塩見 健太「このコどこからさらってきたんすか」
日比野 尚志「逆ナン」
塩見 健太「逆ナン!?」
日比野 尚志「・・・されたと思ったんだけど、そうじゃなかったみたい」
白石 茜「不良になるためにはどうしたらいいのか伺いたくて声をかけたんです」
塩見 健太「不良になる・・・?」
白石 茜「私、『清正高校』に通っているのですが」
日比野 尚志「あの”清く正しい校風”で有名な?」
塩見 健太「こんなおしゃれなコもいるんだな」
白石 茜「制服の着崩し方を研究したんです」
白石 茜「カラーコンタクトも今日初めてしてみました」
塩見 健太「似合ってるよ」
白石 茜「よかったです。正解がわからなかったので」
日比野 尚志「でもなんでそんな急に?」
白石 茜「先週、先生が・・・」
〇教室
岩井 照之「少子化に伴って学校が減り、ついに我が校が地域で一番偏差値の低い学校になった」
岩井 照之「今日からは底辺校の生徒としての自覚を持って生活するように」
白石 茜「具体的にはどうすればいいのでしょうか」
岩井 照之「まあ、底辺校に不良はつきものだろうな」
白石 茜「不良・・・?」
岩井 照之「白石。生徒会長としてしっかり”荒れた底辺校”づくりをしてくれよ」
白石 茜「はい」
〇ゲームセンター
白石 茜「・・・ということで変身してみたのですが」
白石 茜「見た目だけではなく中身も変わらないと、と思いまして」
塩見 健太「さすが生徒会長」
日比野 尚志「マジメだねぇ〜」
「はははっ!」
白石 茜「マジメでは困るのです! どうしたらいいのでしょうか!」
塩見 健太「教えてやったらどうスか? 先輩」
日比野 尚志「とりあえず不良と決めつけられるのは心外だけど・・・」
白石 茜「ごめんなさい」
塩見 健太「先輩ほどの不良がなにを今さら」
日比野 尚志「俺はただ仲間を守りたいっていう一心でやってきただけだよ」
白石 茜「仲間を守る。ふむふむ」
日比野 尚志「なにかを守るためには勝たなければならないわけだ」
白石 茜「なるほどです!」
日比野 尚志「負けなければ負けない!」
塩見 健太「なに言ってんすか先輩」
白石 茜「わかります! 逃げるなってことですね!?」
日比野 尚志「そうだ! 飲み込みがはええじゃねえか」
塩見 健太「・・・」
日比野 尚志「決して引き下がるな!!」
白石 茜「はい!!」
日比野 尚志「これだけは譲れないという熱い思い! 情熱を持て!!」
白石 茜「押忍!!」
日比野 尚志「勘のいいお前には役に立つ不良用語を伝授してやろう!!」
白石 茜「押忍!! ついて行きます!!」
塩見 健太「盛り上がってんなー」
〇大きな木のある校舎
〇教室
岩井 照之「白石!」
白石 茜「はい」
岩井 照之「隣の学校の生徒が乗り込んできた」
岩井 照之「いやぁ、底辺高らしくなってきたなぁ、さすが白石」
岩井 照之「じゃあ、あとは頼んだぞ」
〇大きな木のある校舎
島原 淳「おうコラ清正高校!! 調子ん乗ってんじゃねえぞ!!」
前野 豊「いいコでお勉強だけやっとけ!!」
島原 淳「さっさとアタマ出てこいや!!」
白石 茜「お待たせいたしました」
「ん?」
島原 淳「・・・わりぃけどさ、ココの学校の一番強いヤツ連れてきてくれない?」
前野 豊「キミは安全なところに逃げなよ」
島原 淳「うんうん」
白石 茜「私がこの学校の代表です!」
前野 豊「生徒会長サンかなんか?」
島原 淳「先進ませてもらうよ」
白石 茜「ここは通しません!」
白石 茜「私のシマに入ってくるやつぁ承知しねえ!!」
「・・・え?」
白石 茜「この学校のはなぁ、マジメしか取り柄のないヤツらばかりだよ」
白石 茜「地味で、他校からバカにされてきた。いや、相手にもされてこなかった」
白石 茜「けど、不良になると決めたらマジメにどうすればいいか考えて、今まで通り私についてきてくれる」
白石 茜「この学校は私が守る!!」
島原 淳「オイ、黙らせろ」
前野 豊「ど、ど、どうやって?」
島原 淳「・・・殴るわけにはいかねえし」
前野 豊「ダメダメダメダメ。絶対ダメ」
白石 茜「いつかこのマジメさを武器に全国制覇すっからよお!!」
白石 茜「てめえらみたいな半端な不真面目に用ねえんだよ!!」
島原 淳「・・・気合いがすげえな」
前野 豊「この団結力も一体なんなんだ」
島原 淳「・・・帰ろうぜ」
白石 茜(やった!!)
〇学校沿いの道
日比野 尚志「なんだ? あの学校盛り上がってんな」
塩見 健太「あれって清正高校じゃないっすか?」
日比野 尚志「おお!」
日比野 尚志「あのコあれっきりだけど元気かな」
塩見 健太「立派な番長になってますよきっと」
日比野 尚志「ちょっと寄ってみっか」
〇大きな木のある校舎
岩井 照之「白石。また別の高校の生徒が来ている」
白石 茜「えっ!」
岩井 照之「さっきの調子で頼んだぞ」
白石 茜「よっしゃ! 気合い入れんぞみんなぁ!!」
日比野 尚志「よーっす! 盛り上がってんね。元気?」
白石 茜「先輩・・・!」
日比野 尚志「どうよ、調子は」
白石 茜「今他校のヤカラを追い返したところです!」
塩見 健太「マジかよ!!」
日比野 尚志「さすが俺の弟子」
白石 茜「先輩のおかげです」
白石 茜「また、会えると思ってなかったので、嬉しいです」
日比野 尚志「うん、俺も」
白石 茜「あの・・・、お願いがあるんですけど」
日比野 尚志「なに?」
白石 茜「私をまたバイクの後ろに乗せてもらえませんか?」
白石 茜「できたら、明日も明後日もずっと」
日比野 尚志「もちろん。俺でいいなら」
白石 茜「やった!」
白石 茜(またあの暖かい背中に触れられる)
白石 茜「落ちないようにしっかりしっかり掴まるので・・・」
白石 茜「夜露死苦です!!」
真面目であるがゆえに不真面目なことに真面目に取り組む茜がおもしろ可愛かったです。尚志がマジメな不良(?)だったから良かったけれども、不真面目な不良にはくれぐれも気を付けてほしい。そこんところ「夜露死苦!」ですね。
不良になりたいっていう発想が上手く物語に浸透していてとてもよかったです!
そして不良になりたいだけじゃなく、恋の味も含まれていて思わずニヤけてしまいました笑
学校側も生徒会長も破茶滅茶で笑いました😂
でも、ある意味真面目を貫き通してますね❗️