ストーキングシナスタジア

せんぶり

模倣犯(脚本)

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〇黒

〇屋敷の門

〇車内
冴木ヒロコ「・・・・・・」
藤田カツミ「──ふぅ」
藤田カツミ「どうです、動きは?」
冴木ヒロコ「今日は、お行儀よくしてるみたいね」
藤田カツミ「にしても、高級住宅街って不便ですね コンビニ全然ないっすもん!」
藤田カツミ「結局、自販機でコーヒーしか買えませんでしたよ」
藤田カツミ「アンパンと牛乳──キメたかったなぁ~」
冴木ヒロコ「張り込みの度にそんな事やってたら、糖尿病であっという間にお払い箱よ」
藤田カツミ「まだ家のローンも残ってるんで、勘弁してください」
藤田カツミ「しかし、ストーカー娘の家がこんな大金持ちだったとは・・・・・・」

〇屋敷の門
冴木ヒロコ「江波チヒロ──」
冴木ヒロコ「父親は、江波製薬の二代目・江波タケノリ」
藤田カツミ「江波製薬・・・・・・よくCM見ますよね、水虫薬とか、栄養食品とか」
冴木ヒロコ「家庭用医薬品・健康食品・飲料をはじめ、疾病治療を目的とした医療関連事業を柱とした大企業・・・・・・」
藤田カツミ「最近は、アルツハイマー型認知症の新薬開発なんかでも、よく名前を耳にしますね」

〇車内
藤田カツミ「そんな大企業の娘さんが、巷を賑わす死体遺棄事件の参考人とは・・・・・・」
冴木ヒロコ「まだ何の証拠もないわよ だから参考人でもない・・・・・・」
藤田カツミ「だったら、捜査ほっぽり出して勝手に何やってんですかって話ですよ、先輩」
冴木ヒロコ「三年前の連続死体遺棄事件──」
藤田カツミ「・・・・・・先輩も捜査に加わってたんですよね?」

〇渋谷の雑踏
  当時は、それなりに凄惨な事件として報道されたわよね
  えぇ、犯人はサイコパスだとか、精神異常者だとか・・・・・・
  被害者は年齢も性別もバラバラ・・・・・・
  その殺害方法も、毎回違っていた・・・・・・
  そして一番の特徴は、犯人は遺体を隠そうともしなかった点
  単独犯、複数犯、組織犯罪・・・・・・色々な憶測が飛び交ってましたね

〇keep out
  容疑者と呼ばれる人間は
  捜査線上に浮上しては消えて行った・・・・・・
  黒井マコトも、そのひとり──

〇車内
藤田カツミ「”先輩独自の捜査線上”に・・・・・・ですよね?」
冴木ヒロコ「・・・・・・まぁ、ね」
藤田カツミ(昔っから、一匹狼みたいな所あるんだよなぁ・・・・・・)
藤田カツミ「でも、当時、黒井マコトは高校生・・・・・・ちょっと無理がありませんか?」
冴木ヒロコ「・・・・・・そうかもね」
藤田カツミ「結局、真相は藪の中・・・・・・事件もパタリと起きなくなって──」
冴木ヒロコ「三年後、再び動き出した」
藤田カツミ「同一犯による犯行かは不明ですが、かつての容疑者を洗い出している内に出会ってしまったのが──」

〇ゴシック
  ──江波チヒロ

〇車内
藤田カツミ「黒井マコトの行く所、必ずストーカーJKの影あり・・・・・・」
藤田カツミ「いや、正直驚きましたね ありゃ本職の刑事並のしつこさですよ、あの執念・・・・・・!」
藤田カツミ「と、言っても、あの子はただの・・・・・・と言うには度が過ぎてはいますが」
藤田カツミ「まだ犯罪行為は行っていない女子高生ですよ?」
藤田カツミ「一応、僕らの目的は黒井マコトであって、なんで江波チヒロを張る必要があるんですか?」
冴木ヒロコ「刑事の勘・・・・・・かしらね?」
藤田カツミ(勘で連れまわされる後輩の気持ちぃっ!)
冴木ヒロコ「あの日・・・・・・江波チヒロは何かを感じ取った」
冴木ヒロコ「それは・・・・・・それこそストーカーの勘かもしれない」
藤田カツミ「第六感ってやつですか・・・・・・」
藤田カツミ「とにかく、あやふやな勘なんてものは置いといて」
藤田カツミ「もう、ひとりで勝手に捜査なんてしないでくださいよね」

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