〇オフィスのフロア
飯塚みどり「サナ。大変困ったことになってしまったわ」
飯塚みどり「私達、株式会社“お金のためなら何でもやる屋”最大の危機よ」
中島サナ「前々から思ってたんですけど、うちの会社の名前酷すぎないかなみどりちゃん？」
中島サナ「女子高校生が運営する会社の名前じゃないよ？」
飯塚みどり「サナ、ここでは私が社長。あなたは副社長兼秘書兼パシリなの。私の事はちゃんと社長とお呼びなさい？」
中島サナ「今、しれっとパシリって言った？友達にパシリって言ったよね？」
飯塚みどり「実は、とても大きな仕事を依頼されることになったの。聴いて驚きなさい、デスゲームの運営委員よ」
中島サナ「で、で、デスゲーム!?それってあの、生徒達を集めて“今から殺し合いをしてもらいまーす”とかいうあの!?」
飯塚みどり「ええそうよ。お金持ちが道楽で、誰が生き残るかトトカルチョで賭けたりするアレよ」
飯塚みどり「この仕事をやり遂げたら私達にはがっぽり百万円もの報酬が入るの。断る理由はないでしょ？」
中島サナ「断る理由しかないです！それ引き受けたらあたし達も犯罪者の仲間入りっていうか、倫理観が終わってるでしょ!?」
飯塚みどり「そんなもの、お金の前にはまったく問題ではないわ」
飯塚みどり「で、デスゲームを開催するためには、人を大量に拉致して、どっかに閉じ込めて、」
飯塚みどり「殺し合いをさせるに相応しい環境を作らないといけないでしょ？簡単に脱走されたりしても困るしね」
中島サナ「もしもーし？」
飯塚みどり「そのために必要なものは？」

〇島
「一つ、殺し合いをさせるのに相応しい島とか、」

〇廃ビルのフロア
「人を閉じ込められる廃屋とか」

〇荒廃した教室
「ああ、どっかの廃校になった学校とかを貸し切って行うのもそれっぽくていいわね」

〇観光バスの中
「二つ、人を拉致するためには大きなバスか何かの移動手段と、人員の手配がいるわ」
「多少人が暴れても問題ないくらい、屈強な男の人達を大量に雇わなければならないわね」

〇オフィスのフロア
中島サナ「聴いちゃいない・・・」
飯塚みどり「もちろん、殺し合いをしてもらうのだから武器も用意しなければいけないわ」
飯塚みどり「ナイフでしょ、銃でしょ、手榴弾とかもあればいいわ」
飯塚みどり「あと、数合わせで外れ武器に鍋の蓋とか？それらをどこかから買うか借りるか密輸するかしないといけないんだけど」
中島サナ「しれっと密輸って言いました？」
飯塚みどり「とりあえずロケットランチャーとダイナマイトは此処にあるからいいんだけど、」
飯塚みどり「ここまで威力が大きすぎると反逆されるかもしれないし逆に使えないわよね」
中島サナ「何でこんなのあるの!?銃刀法違反どころじゃなくない!?」
飯塚みどり「なるべく、このへんの手配を格安で済ませたいんだけど、どうしたらいいと思うサナ？」
飯塚みどり「うちの会社、お金ないでしょ？できれば予算五十万円以下で収めたいんだけど」
中島サナ「・・・」
中島サナ「・・・・・・」
中島サナ「!」
中島サナ「・・・社長」
飯塚みどり「なあにサナ？」
中島サナ「無理です」
飯塚みどり「え？」
中島サナ「五十万円どころか百万円でも、デスゲームの主催なんて無理です！どう見てもお金足らないです赤字です！」
中島サナ「つか百万円でデスゲームやれとか金持ちのくせにケチってんじゃねーよと思わないんですか!?」
中島サナ「はっきり言ってこんなの、拉致するためだけの人員を雇たりするだけで全額吹っ飛びますわ!!」
飯塚みどり「あー・・・やっぱり駄目かしら？」
中島サナ「いろんな意味で駄目に決まってます！それと、そのダイナマイトとロケランは早急に処分してください」
中島サナ「あたしは社長と一緒に警察のお世話になりたくないです！」
飯塚みどり「ええ、残念。デスゲーム会場にこれ持ってひっそり途中参加とかしたかったのに」
飯塚みどり「まあ、お金が足らないなら仕方ないわね。今回の仕事は諦めるわ」
中島サナ「心の底からそうしてくださいお願いします」
　　こうして、株式会社『お金のためなら何でもやる屋』は犯罪の片棒を担がずに済んだ模様。
　　頑張れサナ。この会社の未来は君のツッコミにかかっている！