最終話 あの頃のように(脚本)
〇おしゃれなリビング
──あらすじ──
心を壊した陽花を前に
信吾はようやく
自分の気持ちに気付く。
紅林信吾(しんご)「昔、君は、僕がクラスの女子に 囲まれているのを見て機嫌を損ね、 離れて行ってしまったんだよね」
紅林信吾(しんご)「僕がちやほやされて 嬉しそうにしてると勘違いして」
紅林信吾(しんご)「でも、違うんだ。 あれは優越感なんかじゃなかった」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
〇教室
女子「ねぇ、陽花ちゃんやばいよね」
女子「陽花ちゃんは可愛いのに、 なんであんなキモいのが好きなのかな?」
女子「シンちゃんってダサいし 友だちもいないのにね」
女子「陽花ちゃん、ちょっとおかしいよね」
「あははははははははははは」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)(僕のせいで、 ハルちゃんがバカにされる・・・)
〇おしゃれなリビング
紅林信吾(しんご)「僕は君が仲良くしてくれるまで、 誰からも顧みられることのない 人間だった」
紅林信吾(しんご)「ハルちゃん、 君はそんな僕を側に置くことで、 みんなから嗤われていたんだ」
紅林信吾(しんご)「僕はそれが悔しかった」
紅林信吾(しんご)「君が大好きだから」
紅林信吾(しんご)「自分が君の汚点になっているのが ・・・つらかった」
紅林信吾(しんご)「だから、 君にとって恥ずかしくない存在に なりたかったんだよ」
〇学校の体育館
女子「シンちゃん、私と組も!」
女子「待ってよ、私の方が先だった!」
紅林信吾(しんご)「えっと・・・」
紅林信吾(しんご)(僕を誘ってくれる子がいる)
紅林信吾(しんご)(ハルちゃん、 僕は嫌われ者じゃなくなったよ!)
女子「シンちゃん、私と!」
女子「だめ! シンちゃん、私!」
紅林信吾(しんご)「あ、あはは・・・、 そんな引っ張らないでよ」
紅林信吾(しんご)(ハルちゃん、僕にも友だちができたよ)
紅林信吾(しんご)(僕はハルちゃんにとって 恥ずかしい存在じゃなくなったよ!)
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)(ハルちゃん?)
〇おしゃれなリビング
紅林信吾(しんご)「クラスメイトに囲まれた時、 ようやく君の隣に立つ資格を 得られた気がしたんだ」
紅林信吾(しんご)「僕は君にとって誇れる、 隣に立つのにふさわしい友人に なりたかった」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん・・・」
紅林信吾(しんご)「君は自分だけを見てくれる誰かを 探していたね?」
紅林信吾(しんご)「だけど僕はそうじゃなかった」
紅林信吾(しんご)「ハルちゃん、 君だけに見ていてほしかったんだよ」
紅林信吾(しんご)「もう一度、あの頃のように・・・」
紅林信吾(しんご)「そう、僕はただ、取り戻したかったんだ」
紅林信吾(しんご)「僕だけを見てくれた、あの頃の君を・・・」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん・・・」
楠原陽花(はるか)「私があなただけを見るなら、 あなたも私だけを見ていてくれる?」
紅林信吾(しんご)「うん」
紅林信吾(しんご)「最初から君しか見てないよ、 ハルちゃん」
紅林信吾(しんご)「『自分が何もできない人間でも、 好きだと言ってほしかった』」
紅林信吾(しんご)「君はそう言ったね」
紅林信吾(しんご)「でも、気付いているかな?」
紅林信吾(しんご)「何もできない人間だった僕に、 先に温かい手を差し伸べてくれたのは ハルちゃん、君なんだよ」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)「ありがとう、僕を大切にしてくれて」
紅林信吾(しんご)「君が好きだよ。 あの時から、ずっと・・・」
〇空
〇空
〇おしゃれなリビング
紅林信吾(しんご)「ハルちゃん、病院から連絡が来てる」
紅林信吾(しんご)「リハビリを始めよう」
楠原陽花(はるか)「やだ・・・」
紅林信吾(しんご)「もう一度 歩けるようになるかもしれないんだ」
楠原陽花(はるか)「いや、怖い・・・」
楠原陽花(はるか)「上手くできなきゃ、 みんなを失望させる・・・」
紅林信吾(しんご)「誰も失望したりしない」
楠原陽花(はるか)「出来るようにならなきゃ、 シンちゃんが離れていくかもしれない」
楠原陽花(はるか)「怖い」
紅林信吾(しんご)「離れて行かない」
楠原陽花(はるか)「でも・・・」
紅林信吾(しんご)「ハルちゃん、君に黙っていたことがある」
紅林信吾(しんご)「会社、今、大変だよ。 君がいなくて」
楠原陽花(はるか)「え・・・」
紅林信吾(しんご)「部長から、 毎日のようにせっつかれてるよ」
紅林信吾(しんご)「君に復帰してもらえるよう 伝えてくれって」
紅林信吾(しんご)「ハルちゃん、 君はたくさんの人から求められ、 望まれているんだよ」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)「頑張って、リハビリしよう」
楠原陽花(はるか)「わ、たし・・・」
紅林信吾(しんご)「僕が隣にいる。 絶対に見捨てたりしない」
紅林信吾(しんご)「君だけを見ている。 約束する」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)「わかった」
〇空
〇ビジネス街
〇オフィスのフロア
楠原陽花(はるか)「おはようございます。 本日からまたよろしくお願いします」
木田部長「よく戻ってくれたね、楠原君! 良かった良かった!」
楠原陽花(はるか)「長い間休んでしまってすみません」
楠原陽花(はるか)「それに」
楠原陽花(はるか)「まだ、 思うようには動けないので・・・」
木田部長「大丈夫。 君に合わせた仕事を割り振るから」
社員「お帰りなさい、楠原さん」
社員「姐御、シャバの空気はいかがですか?」
楠原陽花(はるか)「ちょっと! 人をなんだと思ってるのよ!」
田所胡蝶(こちょう)「・・・・・・」
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イッキ読みで追いつきました!完結、お疲れ様です🙇
登場人物の感情の紐解き方、行動動機の絶妙なバランス感覚。賞賛です👏
頼り、頼られ、惹かれ、引き裂かれ。愛も憎しみも執も念も渦巻く人間ドラマ。構成が上手すぎますね…本当に面白かったです。歪な2人の歩く道が、きっと華やかなものであれば良いなぁと、思いました🙏
どのキャラにも共感が湧きタップする事が止まりませんでした!
無駄な展開がなくスーッとストーリーが入っていく…とても素晴らしい作品です!完結お疲れ様でした!
すごく面白かったです!
どう最終回を迎えるんだろうと思っていましたが、ハッピーエンドでよかったです😊
構成や演出がうまくて、なるほどと思う部分が、たくさんありました。
勉強になりました!これからも勉強させていただきます✨