サンビタリア症候群

香久乃このみ

第十五話 妄執(脚本)

サンビタリア症候群

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〇シックな玄関
  ──あらすじ──
  急激な状況の変化に
  心が折れてしまった陽花。
  そんな陽花と信吾は結ばれる。
  しかし信吾の真意は・・・
紅林信吾(しんご)「じゃあ、行ってくるよ。 ハルちゃん」
楠原陽花(はるか)「いってらっしゃい、シンちゃん。 大好きよ」
紅林信吾(しんご)「うん」
楠原陽花(はるか)「愛してる」
紅林信吾(しんご)「うん」
楠原陽花(はるか)「絶対に戻ってきてね。 私にはあなたしかいないから」
紅林信吾(しんご)「わかってる。 今日も部屋でいい子にしてるんだよ」
楠原陽花(はるか)「うん。 シンちゃん、大好き」
紅林信吾(しんご)「行ってきます」

〇ビジネス街

〇オフィスのフロア
木田部長「紅林君」
紅林信吾(しんご)「はい、何でしょう」
木田部長「楠原君の具合はどうだね? まだ復帰できそうにないかい?」
紅林信吾(しんご)「難しいですね。 本人もまだ、その気にはなれないようで」
木田部長「そうか・・・」
木田部長「楠原君の席はちゃんとあるから、 いつでも戻ってくるように言って くれるかね?」
紅林信吾(しんご)「わかりました、伝えておきます」

〇マンションの入り口

〇簡素な一人部屋
楠原陽花(はるか)「シンちゃん」
紅林信吾(しんご)「なにかな」
楠原陽花(はるか)「怖い・・・」
紅林信吾(しんご)「どうして?」
楠原陽花(はるか)「私、どうして生きているの? 何の役にも立てないのに」
紅林信吾(しんご)「役に立ってるよ」
楠原陽花(はるか)「誰も私を必要としていないのに」
紅林信吾(しんご)「僕が君を必要としているよ」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん・・・、 怖い・・・」
楠原陽花(はるか)「シンちゃんがいなくなったら、私、 この世界に居場所がない・・・」
楠原陽花(はるか)「助けて、シンちゃん・・・」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)「おいでハルちゃん」
楠原陽花(陽花)「んぅ・・・っ、 あ・・・、は・・・ぁ」
紅林信吾(しんご)「ほら、君のぬくもりで、 僕はこんなに幸せだよ・・・」
楠原陽花(はるか)「シン、ちゃん・・・」
楠原陽花(はるか)「私のこと・・・、必要としてくれる?」
楠原陽花(はるか)「欲しいって・・・、思ってくれる?」
紅林信吾(しんご)「うん・・・。 君が欲しいよ、ハルちゃん」
楠原陽花(はるか)「シ・・・ちゃん・・・」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」

〇ビジネス街

〇休憩スペース
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
紅林信吾(しんご)「もしもし?」
病院「村主原総合病院ですが」
紅林信吾(しんご)「あぁ、お世話になっております」
病院「楠原陽花さんの具合はいかがですか? そろそろリハビリに移りたいのですが」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
病院「楠原陽花さんの症状はかなり軽度です」
病院「今は上手く動かせなくとも、 早いうちに適切な対処をすれば 歩けるようになる可能性があります」
病院「ですが、 このまま休んでいては筋力が衰え、 本当に歩けなくなってしまいます」
病院「今からリハビリをすれば きっと間に合いますから」
紅林信吾(しんご)「申し訳ないですが、本人がまだ 気力を取り戻しておりませんので」
病院「しかし」
紅林信吾(しんご)「勤務中ですので、失礼いたします」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」

〇マンションの入り口

〇シックな玄関
紅林信吾(しんご)「ただいま」
楠原陽花(はるか)「おかえりなさい、シンちゃん!」
紅林信吾(しんご)「おっと、すごい勢いで来たね。 はは、大歓迎かな?」
楠原陽花(はるか)「シンちゃんと会えなくて、寂しかった」
紅林信吾(しんご)「そうなんだ、ははは」
楠原陽花(はるか)「シンちゃんがいなくなったら、 私は死んでしまうかもしれない」
紅林信吾(しんご)「こらこら」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん、ずっと一緒にいてね」
紅林信吾(しんご)「一緒にいるよ」
楠原陽花(はるか)「絶対、絶対だよ? 約束してね?」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん、大好き」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん、愛してる」
紅林信吾(しんご)「・・・やめろ」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん、ギュッてして」
紅林信吾(しんご)「やめろ」
楠原陽花(はるか)「シンちゃん」
紅林信吾(しんご)「やめてくれ!!」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)「シン、ちゃん・・・?」
楠原陽花(はるか)「わ、私、何か気に障ることをした?」
楠原陽花(はるか)「ごめんなさい、シンちゃん。謝るから」
楠原陽花(はるか)「大好きだから、嫌いにならないで」

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次のエピソード:最終話 あの頃のように

コメント

  • 他者の評価を心の拠り所にしていた陽花さん、気高い陽花さんを憎み愛していたシンちゃん、それぞれのパーソナルを支えていた部分が無くなって2人とも壊れちゃいましたね。。この恋愛に絡んだ人たち、みな凄惨なことになってしまいましたね(田所除く)

  • しんちゃん覚醒してくれた!
    しかし会社も病院も、本人に直接電話しないんだ?😅 しんちゃんが裏で手を回してた…?

  • 目を覚ませ、目を覚ませえぇ!😱ってなりながら読んでいましたが、
    よよよ良かった、目が覚めた……!
    まだリハビリも仕事復帰も間に合うよー!

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