ドローンからの伝言

3ピースりょう

エピソード1(脚本)

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〇荒廃した市街地
  「マカニ」は、
  自分の最後を知らせる
  赤いランプを点滅し続けた。
マユミ「マカニ・・・・・・」
  マユミは、
  マカニを胸にその最後を
  見守っていた。
  マカニは、
  AI搭載のドローンで、
  この時代では、
  ドローンはもはや
  かつての「家族」の役割を
  担っている。

〇東京全景
  資本主義の崩壊。

〇渋谷の雑踏
  人口増加、環境汚染による
  食料問題。

〇海
  激しさを増す異常気象。

〇入場ゲート
  未知のウィルスとの共存。

〇諜報機関
  新世界政府は、
  人口を削減し、
  コントロールした。
  婚姻や家庭を持つことは
  制限され、
  感情すらも管理される世界。

〇殺風景な部屋
  マユミは
  マカニに育てられた。
  マカニは
  マユミにとって親であり、
  家族であり、友人だった。

〇荒廃した市街地
  そのマカニが、
  最後の灯火をかろうじて
  点滅させていた。
マユミ「・・・・・・マカニ!?聞こえる?マカニ!!」
マカニ「・・・・・・」

〇沖合
  この世界で禁止されている
  美しい夕焼けの空を、
  2人は飛んだ。
  例え、命を狙われても
  マカニが映す景色は、
  人生最高の瞬間だった。

〇国際会議場
  新世界政府は
  スナイパーを送り込み、
  マカニは
  損傷、
  
  マユミも追われている。

〇法廷
  美しい夕焼けのような
  「キレイゴト」を求めるのは、
  危険思想とされ、重罪。
  キレイゴトに感化されたときに出る
  微弱な電波を
  「鳥肌センサー」にキャッチされ、
  追われることになった。

〇荒廃した市街地
  スナイパーにいずれ
  思想転換薬を
  撃たれることになる。
  スナイパーから
  逃れることはできない。
  マユミは、
  なんとか損傷したマカニを回収し、
  身を隠していた。

〇キラキラ
  点滅していたランプが
  点灯に変わり、
  ──────
  突如、マカニから
  照射された光が
  ホログラムを映し出す。

〇魔法陣2
マユミ「!!!何!?」
  見たことのない
  若い女性がマユミの前に現れた。
マユミ「私は、マユミ」
マユミ「え??」
マユミ「多分あなたのおばあちゃんか、 ひいおばあちゃんね」
マユミ「おばあちゃん!?」
マユミ「マカニは、私なのよ」
マユミ「私のデータを 学習させたものなの」
マユミ「世界は新世界政府や、 思想転換薬によって キレイゴトを奪われた世界になってしまったわ」
マユミ「だけど私は、 政府の監視の目を逃れて、 「キレイゴト」の感情を 密かにマカニに託したわ」
マユミ「私たちは・・・・・・ 美しい世界を生きているのよ」
マユミ「それを残したくて」
マユミ「だから、あなたも残しなさい」
マユミ「・・・・・・あなた自身の「キレイゴト」を」
マユミ「マカニ・・・ おばあちゃん・・・」

〇荒廃した市街地
  それだけを言い残し、
  ホログラムは急ぐように消えた。
  政府にコントロールされた
  世の中で、
  ──────
  なぜ命を狙われても、
  自分が「キレイゴト」への
  感情を持つことができたのか
  ──────
  今はっきりと理由がわかった。
マユミ「おばあちゃんがマカニに託し、 マカニは私にそれを 伝え育ててくれたのね」

〇秘密基地のモニタールーム
  マカニのデータは
  通常政府に送信される。
  しかし、
  マユミはとっくに
  その送信を遮断し、
  バックアップデータを
  自ら保管していた。

〇荒廃した市街地
マユミ「私はいずれ撃たれる」
マユミ「でも、私もマカニも 「キレイゴト」も 生き残るのよ!」
マユミ「このデータがある限り」

〇キラキラ
  最後のバックアップを
  とり、
  
  マカニの点灯した
  赤いランプが
  やがて小さくなっていく。
  最後に弱々しく、
  何度か点滅した。
  きっとそれは、
  ──────
  「またね」だったと
  マユミにはわかった。

〇黒
  おわり

コメント

  • キレイゴトって大事な気がするんですが、この世界では排除すべきものなんですね。
    美しい記憶は、たぶん彼女が撃たれても心のどこかに残る気がします。

  • 読み終わり、私が一番に思ったことは、子孫に残すとしたなんだろう?でした。
    アナログ人間が生きづらい世の中になったという人もいるけれど、便利のようで不便さも感じる時代。
    難しい世に中です。

  • 何か身に迫るものを感じました。この十数年、人へなにか伝えるという手段も変化してきていますが、それによって私達の伝える能力も衰えてきているように思います。感情を持てるという有難さをあらためて認識させてもらいました。

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