陽太の恋は前途多難(脚本)
〇学校の校門
要陽太(かなめ ようた)(相沢さん)
要陽太(かなめ ようた)(しっかりしろ。今日こそ言うんだ)
要陽太(かなめ ようた)(あ、来るぞ!)
要陽太(かなめ ようた)(ほら、早く、今だ!)
要陽太(かなめ ようた)(ダメだ、今日も言えなかった・・・)
このヘタレっぷりには自分で嫌になる。
いつになったら伝えられるんだろう。
要陽太(かなめ ようた)「相沢さん・・・」
???「好きだ」
???「大好きだ」
???「好きなんだあっ」
要陽太(かなめ ようた)「って、確かに好きだけど誰だよ!デカい声で叫ぶのは!?」
要陽太(かなめ ようた)「ひっ!?」
要陽太(かなめ ようた)「誰?浮いてる!?」
ルミエル「いいねー、これがアオハルってヤツかしら」
要陽太(かなめ ようた)「え? なんで誰も騒がないの!? 見えてるの僕だけ?」
ルミエル「あっ、気づいた? 安心して! 私が来たからにはモーマンタイよ」
要陽太(かなめ ようた)「う、」
要陽太(かなめ ようた)「うわあっ」
ルミエル「あれ?」
〇黒
〇学生の一人部屋
要陽太(かなめ ようた)「はあ、はあ、何あれ? 無我夢中で家まで逃げてきたけど、もう大丈夫かな」
ルミエル「お帰り、少年」
要陽太(かなめ ようた)「ぎゃああっ!」
ルミエル「もう、さっきから失礼だね。 少しは崇めないと第一のラッパ吹いちゃうよ」
要陽太(かなめ ようた)「ラッパ?」
ルミエル「まあいいわ。君は要陽太君で間違いないわね?」
要陽太(かなめ ようた)「は、はい」
ルミエル「そう」
ルミエル「おめでとう! 君は80億分の1の倍率を勝ち抜いて、見事に主の加護が贈られる事になりました」
ルミエル「はい、拍手〜」
要陽太(かなめ ようた)「加護って、一体なんの?」
ルミエル「私が誰かわかる?」
要陽太(かなめ ようた)「いや、何かヤバいものとしか」
ルミエル「んー 仕方ないな、じゃあヒントあげちゃおう。 最初はね、「て」」
ルミエル「うふ、陽太には難しいかな〜」
要陽太(かなめ ようた)(コイツすぐ顔に出るタイプだな。 既に口が「ん」の形になってるし)
要陽太(かなめ ようた)「天使」
ルミエル「え!?」
要陽太(かなめ ようた)「だから、天使じゃないの?」
ルミエル「・・・」
要陽太(かなめ ようた)「違うの?」
ルミエル「・・・つまんない」
要陽太(かなめ ようた)「あ?」
ルミエル「もっと引っ張りたかったのに」
要陽太(かなめ ようた)(めんどくせぇ)
ルミエル「まぁいいわ、その通りよ、私は愛を司る天使ルミエル」
ルミエル「百年に一度の祝福に選ばれた陽太の願いを叶えにやって来たの」
要陽太(かなめ ようた)「祝福? 願い?」
ルミエル「そう、陽太の願い。 それは・・・彼女を作ること!」
ルミエル「で、合ってる?」
要陽太(かなめ ようた)「クッソ恥ずかしいけど、合ってる」
ルミエル「なのに大好きな相沢さんに告白する勇気がないヘタレ」
ルミエル「で、合ってる?」
要陽太(かなめ ようた)「あ、合ってる」
ルミエル「そのくせ机の引き出しには相沢さんとの妄想デートプランが書き綴られたノートが隠してある」
要陽太(かなめ ようた)「やめてっ、俺のHPはもうゼロだ」
ルミエル「そんなヘタレでキモい陽太の願いを天使の力を使って叶えるのが私の役目というわけ」
要陽太(かなめ ようた)「なんかディスられてるのが引っかかるけど、それ、マジで!?」
ルミエル「もちろんよ。それじゃ、早速始めようか」
ルミエル「そうね、私の事を相沢さんだと思って。 朝、教室で会った相沢さんをさり気なく褒めるのよ」
要陽太(かなめ ようた)「ええ? いきなり!?」
ルミエル「そうよ。はい3、2、1」
要陽太(かなめ ようた)「えと、あの、相沢さん、今日もキレイだね」
ルミエル「はいブブー。陽太、アウトー」
要陽太(かなめ ようた)「な、何でだよ!」
ルミエル「好きでもない異性から突然キレイだねとか言われてもキモくて怖いだけよ。 もう案件確定ね」
ルミエル「もっとスマートにさり気なく褒めなきゃダメ」
要陽太(かなめ ようた)「えー、どうすればいいんだよ」
ルミエル「例えば、いい匂いだね、シャンプー変えた?とか、あ、ネイル色変えたんだ、とか」
ルミエル「その子がこだわってたり頑張ってる事に気づいてあげると、好感度は高いわよ」
要陽太(かなめ ようた)「そんなの簡単にわからないよ」
ルミエル「甘いわね。好きな子の匂いなら3メートル先から目をつぶってても嗅ぎ分けられるくらいになりなさい」
要陽太(かなめ ようた)「そっちの方がよっぽどキモいだろ!」
要陽太(かなめ ようた)「というか何で恋バナみたいになってるんだよ。 こういうの普通は天使の力でなんとかするんじゃないの?」
ルミエル「ふう、これだから今どきの人類は」
ルミエル「そんな得体の知れない力を使って願いを叶えても、なんの達成感もないでしょ」
要陽太(かなめ ようた)「今、自分の存在意義を全否定したよな?」
ルミエル「とにかく。 陽太には相沢さんと結ばれるための恋のスキルをみっちり私が叩き込んであげるわ」
ルミエル「そうね、次は壁ドン、あごクイあたりかしら」
要陽太(かなめ ようた)「それリアルでやったら絶対ダメなやつだろ」
〇黒
こうして、ルミエルとの正直微妙な特訓を経て、僕はついに相沢さんに告白するチャンスを得た。
〇高い屋上
要陽太(かなめ ようた)「相沢さん、ホントに来てくれるかな」
ルミエル「大丈夫。私との特訓の日々を忘れないで」
要陽太(かなめ ようた)「あ、相沢さんだ!」
ルミエル「私は姿を消しておくから頑張るのよ」
要陽太(かなめ ようた)「う、うん」
相沢真菜(あいざわ まな)「要君、話ってなに?」
要陽太(かなめ ようた)「えと、どうしても相沢さんに伝えたい事があって」
相沢真菜(あいざわ まな)「?」
要陽太(かなめ ようた)「相沢さん、好きです!」
要陽太(かなめ ようた)「僕と付き合ってください!」
相沢真菜(あいざわ まな)「・・・」
相沢真菜(あいざわ まな)「・・・」
相沢真菜(あいざわ まな)「ゴメン、無理ィ!」
相沢真菜(あいざわ まな)「要君のことはとてもいい友達だと思ってるから、うん、ゴメン」
相沢真菜(あいざわ まな)「それじゃまたね!」
要陽太(かなめ ようた)「あっ」
要陽太(かなめ ようた)「・・・」
〇黒
〇高い屋上
要陽太(かなめ ようた)「っておい! 全然ダメじゃん! ミリも脈ないじゃん!」
ルミエル「ああ、瞬殺かぁ。第2形態くらいまでは粘れると思ったんだけど」
要陽太(かなめ ようた)「これなんのゲームのボス戦?」
ルミエル「まぁ仕方ないよね。相手もある事だし」
要陽太(かなめ ようた)「それ愛の天使の言う事?」
ルミエル「そう落ち込まないで、これで終わりじゃないから」
ルミエル「陽太の願いは彼女を作ることでしょ? それが叶うまではちゃんとサポートするから」
要陽太(かなめ ようた)「え?ホントに!?」
ルミエル「うん。 でも付け焼き刃じゃなくて、もう少し基礎から鍛えた方がいいかなぁ」
ルミエル「ほら、泳げない人がいきなりイグアスの滝に飛び込んでも溺れちゃうだけでしょ?」
要陽太(かなめ ようた)「泳げる人でも飛び込んじゃいけないトコだけどな」
ルミエル「だからね、しばらくは私がイチから女の子との付き合い方を教えてあげる」
要陽太(かなめ ようた)「はあ?」
ルミエル「あ、明日からは人間の女の子として転校してくるから」
ルミエル「というわけで訓練その1。 まずはデートの練習としてあのお店のパフェ食べに行こう! 前から食べたかったの!」
要陽太(かなめ ようた)「待て、それ絶対パフェ食べたいだけだろ!」
ルミエル「細かいことは気にしなーい!」
〇空
こうして、このテキトー天使と僕との、騒がしい日々は始まった。
ボケとツッコミの役割分担が完璧で教科書みたいな二人の夫婦漫才に笑ってしまいました。ルミエルが人間化して女子高生になった後は、ラムちゃんとアタルみたいな喧嘩するけど仲がいいお騒がせカップルになったりして。
冴えない男子高校生とテキトー天使のドタバタ青春コメディ、とてもツボにハマりました😆
コンビの相性バッチリで見てるだけで面白かったです✨
本当にテキトーな天使ですね笑
けどなんだかんだ言って面倒見がよさそうで…っていうか彼女が出来ても付きまとわれそうな気がします笑