決断(脚本)
〇大きな日本家屋
吉川 文代 「雨か・・・お昼頃には晴れるかしら?」
〇古民家の居間
吉川 文代 「少し冷えるわね・・・お茶でも飲もうかしら」
ネコ「ミャオ〜!」
吉川 文代 「貴方も寒いの?」
ネコ「ミャ!」
吉川 文代 「フフフッ」
ドンドンドン!
吉川さん!茂木です!いらしゃいますか!
吉川 文代 「はい!少しお待ち下さい!」
茂木 兵吾 「ハァハァハァ」
吉川 文代 「どうなされたんです?茂木さん?」
茂木 兵吾 「祭り会場の近くの河川敷で子供が川に流されてしまったんです!」
吉川 文代 「えっ!大変!子供は無事だったのですか?」
茂木 兵吾 「はい、子供は無事でしたが・・・子供を助けに飛び込んだ英作さんが・・・」
吉川 文代 「え、英作さんに何があったのですか!」
茂木 兵吾 「・・・川から上がって来ないのです!」
外に走り出す文代
茂木 兵吾 「待って下さい!河川敷は雨で危ないですよ!」
〇神社の石段
吉川 文代 「英作さん!」
〇草原
吉川 文代 「無事でいて!・・・英作さん!」
〇河川敷
市川 陽二郎 「半田君!ここから離れるぞ!」
半田 恭二 「そうですね、水位も上がっていますし」
「英作さーん!」
市川 陽二郎 「ん?」
吉川 文代 「英作さんは!」
市川 陽二郎 「・・・流された彼の事ですか?先程から探していますが・・・姿が見当たらなくて」
半田 恭二 「水位が上がって危険なので、この場から離れようと話していた所です」
吉川 文代 「そ、そんな!」
市川 陽二郎 「川の流れも速いので、流されてしまった可能性もあります」
吉川 文代 「それなら、私が1人で探します!」
半田 恭二 「ダメですよ!貴方まで川に流されてしまいますよ!」
吉川 文代 「構いません!行きます!」
半田 恭二 「いけませんって!」
市川 陽二郎 「半田君!抑えて!」
半田 恭二 「はい!」
吉川 文代 「離して!触らないで!」
半田 恭二 「痛い!頭を叩かないで下さい!」
吉川 文代 「早く助けないと英作さんが!」
市川 陽二郎 「雨が落ち着くのを待ちましょう!」
半田 恭二 「市川さん!抑えるの手伝ってくれませんか!」
市川 陽二郎 「あ、ああ!」
吉川 文代 「やめて下さい!英作さん!英作さん!」
〇桜の見える丘
吉川 文代 「ううっ・・・」
市川 陽二郎 「・・・晴れて来たな・・・」
半田 恭二 「あの・・・お名前は?」
吉川 文代 「・・・吉川・・・です・・・」
市川 陽二郎 「泣かないで下さい吉川さん!まだ生死は分かっていません!気をしっかり持って下さい!」
半田 恭二 「そうですよ!これから、また探しに行きますから・・・」
吉川 文代 「グスッ・・・ありがとうございます」
半田 恭二 「吉川さんはここに居て下さい!」
市川 陽二郎 「・・・では行こうか半田君!」
半田 恭二 「はいっ・・・」
吉川 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
〇白
〇水中
瀬尾 英作 (・・・ああ、俺死ぬんだな・・・ごめんな昇)
〇霧の立ち込める森
引田 昇 「英作!こっちだ!」
瀬尾 英作 「昇!大丈夫だったのか!」
引田 昇 「なんとかな!」
瀬尾 英作 「あれっ?確かお前の胸を・・・俺・・・」
引田 昇 「何とも無かったんだよ!英作!それより、早く戻ろう!」
瀬尾 英作 「そ、そうだな・・・」
引田 昇 「ここは霧が深くて迷いやすいけど、俺は道が分かるから心配するなよ!」
瀬尾 英作 「本当か!さすが昇!道案内たのむよ!」
引田 昇 「こっちだ!」
〇霧の立ち込める森
引田 昇 「おっ!霧が晴れて来たぞ英作!もうすぐそこだぞ!」
瀬尾 英作 「昇にはいつも頼りっぱなしだな!」
引田 昇 「それはお互い様だろ!さぁもう後は真っ直ぐ行けば戻れるはずだ!」
瀬尾 英作 「なぁ昇!戻ったら一緒に・・・うわっ!」
引田 昇 「またな!英作!」
〇桜の見える丘
吉川 文代 「2人とも帰って来ない・・・英作さん見つからないのかしら・・・」
〇桜の見える丘
「文代さん!」
吉川 文代 「えっ?何で!」
引田 昇 「思い出しますね!僕等が初めて会った日の事!ちょうど今みたいに桜が舞っていましたよね!」
吉川 文代 「そ、そうですね、でも、昇さん亡くなって・・・」
引田 昇 「僕はここにいますよ!文代さん疲れて夢をみていたのではないですか?」
吉川 文代 「そ、そうですね!何か色々な事があって疲れてたのかも知れませんね!」
引田 昇 「きっとそうですよ!文代さんはどんな事も一生懸命だから」
吉川 文代 「ありがとうございます!そういえば今日、お祭りなんですよ。昇さん私と英作さんと皆んなで一緒に参加しましょう!」
引田 昇 「お祭り、たのしそうですね!」
吉川 文代 「ええ、きっと楽しいですよ!」
引田 昇 「そうだ!文代さん名前を呼ぶまで後ろを向いてくれませんか?お願いします!」
吉川 文代 「え?後ろですか?」
引田 昇 「はい!お願いします」
吉川 文代 「分かりました!こうですか?」
後ろを向く文代
吉川 文代 「・・・昇さん?」
「まだですよ文代さん」
吉川 文代 「はい・・・・・・・・・」
「文代さんこっちを向いて下さい」
吉川 文代 「はい」
吉川 文代 「えっ?」
瀬尾 英作 「すいません、遅れました!」
吉川 文代 「英作さん!」
瀬尾 英作 「ははっ、子供を助けたら、流されてしまいました!」
吉川 文代 「の、昇さんは?」
瀬尾 英作 「ここに戻ってこれたの昇のおかげなんですよ 溺れている時に出てきまして・・・」
吉川 文代 「・・・そうなんですね、本当に無事で良かったです!」
吉川 文代 (・・・昇さん亡くなっても私達を想ってくれていたのね・・・ありがとう昇さん・・・)
瀬尾 英作 「こんな濡れた格好ですが・・・文代さん・・返事を聞かせて下さい・・・」
吉川 文代 「・・・分かりました・・・・コレを持って下さい!」
瀬尾 英作 「何ですか!?これは?」
吉川 文代 「馬鈴といいます!」
瀬尾 英作 「馬鈴ですか・・・」
吉川 文代 「はい・・・馬や牛につける道具だそうですよ」
瀬尾 英作 「・・・これを持たせているという事は、何か意味があるという事ですね」
吉川 文代 「はい・・・その道具の役割には近づいて来た馬がぶつからないように危険をしらせてくれる役割があるそうです・・・ですので・・・」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「・・・去ってもらいたいのです・・・・・」
瀬尾 英作 「・・・分かりました・・・文代さんの返事を聞けてよかったです・・・俺はこのまま去ります、文代さんいつまでもお元気で・・・」
吉川 文代 「フフッ!勘違いしてますよ、英作さん!」
瀬尾 英作 「勘違い?ですか?」
吉川 文代 「英作さんは居て下さい!」
瀬尾 英作 「えっ?どういう事ですか?」
吉川 文代 「気付いてないかもしれませんが、英作さんがみせる優しさの節々に昇さんを感じていました」
瀬尾 英作 「確かに、俺は昇に言われて文代さんの元を訪れましたが・・好きな気持ちは本当です!」
吉川 文代 「ええ!だからこそ無意識で演じている英作さんの中の昇さんに去ってもらいたいのです そして、本当の英作さんと暮らしたいです」
瀬尾 英作 「本当の俺か・・・確かに昇の影を演じていた部分があるかもしれません」
吉川 文代 「クスッ!だいぶ演じていたと思いますけど」
瀬尾 英作 「・・・本当の俺を見せたら幻滅するかもしれませんよ・・・」
吉川 文代 「うんざりするかもしれませんね・・・」
瀬尾 英作 「そ、そんな!」
吉川 文代 「さぁ、あなた!一旦帰りましょう!ずぶ濡れじゃ風邪ひきますよ!」
瀬尾 英作 「て、手を繋いで帰ろか・・・文代」
吉川 文代 「いいですよ!」
瀬尾 英作 「帰ったら、熱いお茶入れて欲しいな」
吉川 文代 「分かりましたよ!あなた!」
文代さんの心情の吐露が聞けると思いきや、まさかの水難事故発生!ドキドキさせられっぱなしですねw 馬鈴とともに語られる文代さんのセリフには表情が緩んでしまいました!
エピソードが終わると思いきや、まだ続きが!
とても気になりますね!