想い(脚本)
〇実家の居間
瀬尾 京子 「へぇ、そんな形で夫婦になったんだ!初めて聞いたよ」
瀬尾 彩歌 「最後、感動しちゃた!でも、おじいちゃんの少し頑固な所は嫌いだったけど」
瀬尾 京子 「おじいちゃんの頑固な所は昔からよ」
瀬尾 彩歌 「何か木の伐採の反対運動とかしてたしね」
瀬尾 文代 「おじいちゃんにとっては大切な木だったのかもねぇ・・・」
瀬尾 京子 「あっ!彩歌、あんた部活は?」
瀬尾 彩歌 「ヤバッ!遅れる!」
瀬尾 京子 「早く行っておいで!」
瀬尾 彩歌 「行って来ま〜す!」
瀬尾 京子 「フフフ、誰に似たのかしらね、あの性格!」
瀬尾 文代 「さて、少しお昼寝でもしようかね」
瀬尾 京子 「私は買い物行って来るから、おばあちゃん何かいるものある?」
瀬尾 文代 「特にないねぇ、気をつけて行っておいで」
瀬尾 京子 「じゃあ、出かけて来ます」
瀬尾 文代 「ふぅ・・何かうとうとして来たねぇ・・・」
瀬尾 文代 「少し横になろうかね・・・・・・・・・」
瀬尾 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
〇白
吉川 文代 「あれっ?夢?」
「文代!」
吉川 文代 「あなた!」
瀬尾 英作 「迎えにきたよ!」
吉川 文代 「・・・お迎え・という事は私はもう・・・」
瀬尾 英作 「何悲しんでるんだよ!精一杯生きてきたんだから後悔ないだろ?」
吉川 文代 「そうね!またよろしくお願いしますね!」
瀬尾 英作 「そうだ!文代に乗ってもらいたいものがあるんだ!」
吉川 文代 「えっ?」
馬「ヒヒーン!」
吉川 文代 「あっ!馬だ!乗ってもいいの?」
瀬尾 英作 「おう!ゆっくり乗るんだぞ!」
吉川 文代 「フフフッ!よいしょ!」
吉川 文代 「あなたも一緒に乗りましょうよ!」
吉川 文代 「あなた?」
吉川 文代 「あれっ?あなた?」
振り返って!
吉川 文代 「へっ?」
吉川 文代 「昇さん!」
引田 昇 「ハハッ、驚きましたか!」
吉川 文代 「は、はい!驚いています!」
引田 昇 「英作は用事があって一緒に行けないようです ので、代わりに僕が来ました!覚えてますか昔の約束?」
吉川 文代 「・・・あっ!夫婦になって馬に乗る約束してましたね」
引田 昇 「思い出してくれて良かったです、今度は僕が文代さんと一緒に行きます!縄をしっかり持っていて下さい!」
吉川 文代 「こう?ですか?」
引田 昇 「そうです!行きますよ!それっ!」
馬「ヒヒーン!」
吉川 文代 「うわっ!走った!」
「ハハハハハッ!」
〇大樹の下
「長い間待っていてくれてありがとうな!」
畑中 菊枝 「当たり前でしょ!英作なら絶対来てくれると信じてたし」
瀬尾 英作 「もうビー玉は取り出せないけど、一緒に行くから勘弁してな」
畑中 菊枝 「いいよ!許してあげる!」
瀬尾 英作 「なんか、菊枝と話してると安心するよ」
畑中 菊枝 「そう?」
瀬尾 英作 「ああ!今度こそ離れないからな!」
畑中 菊枝 「アハハッ!英作、気取ってる?」
瀬尾 英作 「何だよ、じゃあ離れろよ!」
畑中 菊枝 「嫌だよ〜」
「ハハハハッ」
〇白
〇葬儀場
瀬尾 彩歌 「おばあちゃん・・・」
瀬尾 京子 「ううっ・・・・・・」
瀬尾 彩歌 「お母さん・・・」
瀬尾 京子 「・・・泣いてばかりじゃだめよね・・・さぁ帰りましょうか彩歌」
瀬尾 彩歌 「・・・うん」
〇車内
瀬尾 京子 「はい!もう悲しいのは終わり!前を向いて行かないとね!」
瀬尾 彩歌 「あのね、お母さん寄って欲しい所があるんだけど・・」
瀬尾 京子 「言ってみな!」
瀬尾 彩歌 「あのね・・・」
〇大樹の下
瀬尾 京子 「ここ、おじいちゃんが木の伐採を反対してたところよね?」
瀬尾 彩歌 「うん」
瀬尾 京子 「何でここに来たかったの?」
瀬尾 彩歌 「昔私が子供の頃におばあちゃんがここの木の根本にある物を埋めたらしいの・・・それを思い出して・・・」
瀬尾 京子 「そうなんだ!今知ったよそんな事、私には話さないけど、彩歌には話すんだね」
瀬尾 彩歌 「掘ってみてもいい?」
瀬尾 京子 「えっ?素手で?」
瀬尾 彩歌 「ダメ?」
瀬尾 京子 「・・・よし!お母さんも手伝ってあげるよ!」
瀬尾 京子 「結構掘ったけどまだ掘るの?」
瀬尾 彩歌 「うん!もう少しだけ・・・あっ!」
瀬尾 京子 「何か見つけたの?」
瀬尾 彩歌 「うん。これ・・・」
瀬尾 京子 「おばあちゃんが話してた馬の鈴だっけ?」
瀬尾 彩歌 「うん!何か後ろに掘ってあるよ!」
手で土を払う彩歌
瀬尾 京子 「何が書いてあるの?」
瀬尾 彩歌 「へっ?」
魂が愛した人は1人 引田昇
永遠に愛す人は1人 瀬尾英作
命尽きた日は咎も流れのままに
瀬尾 京子 「やるじゃん!おばあちゃん!」
瀬尾 彩歌 「えっ?えっ?どういう事?」
瀬尾 京子 「永遠って事が彩歌にはまだ分からないでしょうね!子供だから」
瀬尾 彩歌 「お母さんは解るの?ズルイ!おしえてよ〜!」
瀬尾 京子 「ダ〜メ!」
〇木の上
「お願い〜!教えて〜」
「もう少し成長したらね!」
「もうっ!」
〇白
いや傑作ですね‼
前回の展開に驚きました。
昇に現世に戻されるのも良かったのですが、実は瀬尾は昇らしさを演じていて、文代がそれを見抜いていたのも凄い!今回、それもちょっとひっくり返してるのも面白い。そして馬鈴と馬が上手く引き締めてますね。
感動話をありがとうございましたm(_ _)m
素敵な物語をありがとうございました!
彩歌さん達とのシーンに切り替わり、その後のエピソードを幾つか語られることにより、文代さん達の人生は優しさに満ち溢れた幸せなものだったのだろうと感じ入りました。
このラストから伝わる文代さんの人柄、とても沁み沁みとしてしまいました。優しさと強さを併せ持つ彼女らしいですね!
良かったです!最後は魂のゆくままに!ですね!