彼女が女の血しか飲まない理由

アシア

変わり者の吸血鬼(脚本)

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〇お化け屋敷
テモナス「さようなら、トマス」

〇児童養護施設
兵士「この、化物がっ!!」

〇黒

〇空港の滑走路

〇空港ターミナルビル
香椎つぶら「こ、来ない?」
香椎つぶら「まさかっ!?」

〇黒

〇ラーメン屋のカウンター
テモナス「ぷっはぁ~」
テモナス「店主、おかわり」
テモナス「じゃ無くて、替え玉と言うんだったか」
店主「はいよ!!」
店主「嬢ちゃん、良い食べっぷりだな」
テモナス「若い男性を中心に人気を誇る料理、ラーメン」
テモナス「日本に来たら一度食べなくてはと思ってたんだ」
店主「いらっしゃい!!」
香椎つぶら「ハァ、はぁ、っ!!」
香椎つぶら「ゲホっ、ゴホッ!!」
店主「お、おい、大丈夫かい?」
香椎つぶら「テ、テモナスさん、ですか・・・っ?」
テモナス「う、うん? そうだが?」
香椎つぶら「なんで」
香椎つぶら「なんでこんな所に居るんですか!?」

〇セルリアンタワー東急ホテル

〇高層マンションの一室
テモナス「いやぁ、申し訳ない」
テモナス「ついラーメンが食べてみたくてね」
テモナス「それで君が?」
香椎つぶら「か、香椎つぶらです」
香椎つぶら「貴方が日本にいる間の監視をさせてもらいます」
香椎つぶら「ま、また」
香椎つぶら「貴方が吸血する際の対象として」
テモナス「あぁ、そういうのはいいよ」
テモナス「血なんて不味いもの、わざわざ好き好んで吸いたく無いしね」
香椎つぶら「え、吸わないんですか!?」
テモナス「必要なければね」
香椎つぶら「じゃあ私は?」
テモナス「とりあえず私はもう寝るから好きに過ごせば良いんじゃない?」
香椎つぶら「え、夜なのに!?」
テモナス「ん? あぁ、日本人は睡眠時間が短いので有名だったか」
テモナス「けれど徹夜はあまりおすすめしないよ」
テモナス「では、お休み」
香椎つぶら「吸血鬼じゃないの?」

〇高層マンションの一室

〇可愛らしいホテルの一室
テモナス「いや」
テモナス「普通、監視対象の言う事をすんなり信じるかね?」
テモナス「というかそもそも私の監視役に女性を送り込んでくるって」
テモナス「あぁ、そういえば人身御供というのはこの国の言葉だったね」
テモナス「さわさりなん、動きやすくなったのは助かるか」
テモナス「おやすみ、香椎つぶらさん」

〇ネオン街

〇狭い裏通り

〇ビルの裏
テモナス「ふむ」
テモナス「近くには何も無いか」
テモナス「っ!!」
テモナス「伏せろ、香椎つぶら!!」
香椎つぶら「え!?」
香椎つぶら「え、え!?」
香椎つぶら「う、打たれ」
テモナス「動くなよ」
香椎つぶら「っ!?」

〇川沿いの原っぱ
香椎つぶら「はえ!?」
香椎つぶら「え、ここ、何で!?」
テモナス「ここはホテルから見えていた近くの川だよ」
香椎つぶら「え、いや・・・」
香椎つぶら「あの、さっき打たれて」
テモナス「私の異名、知ってるだろう?」
香椎つぶら「・・・『不老不死』」
テモナス「そう」
テモナス「ま、完全じゃないはずだが」
香椎つぶら「あの、一体何が?」
テモナス「知らされてないのか」
テモナス「ま、何時の世も人は不老不死を求めるものさ」

〇川沿いの原っぱ
香椎つぶら「じゃあ、さっきのは」
テモナス「私を狙った物だろうね」
香椎つぶら「どうするんですか?」
テモナス「どうしたものかねぇ」
テモナス「この国にしてみれば私はさっさと捕まってくれた方が良いだろうし」
香椎つぶら「え?」
テモナス「私はいわば持ってるだけで敵が増える呪いの宝石さ」
テモナス「この国に来るため、血液等のデータは提出してる」
テモナス「彼らにしてみればもう用済みだ」
香椎つぶら「じゃあ、何で私は・・・」
テモナス「生け贄、だろうね」
香椎つぶら「っ!!」
テモナス「大方あれだろう?」
テモナス「命の保証はしない代わりに大金を払うとか何とか」
香椎つぶら「・・・はい」
テモナス「要は私へのご機嫌取りさ」
テモナス「という訳で、香椎つぶら」
テモナス「君は逃げなさい」
香椎つぶら「え?」
テモナス「ここ数日で血を失いすぎた」
テモナス「戦うには分が悪い」
香椎つぶら「じゃ、じゃあ私の血を!!」
テモナス「ありがとう」
テモナス「けど、断わらせてもらう」
香椎つぶら「なんで!?」
テモナス「ちょっとした戒めでね」
テモナス「死にいく女性の血しか飲まないことにしてるんだ」
テモナス「だから申し訳ないけれど」
香椎つぶら「それなら!!」
香椎つぶら「それなら、私は条件に当てはまります」
テモナス「何だって?」
香椎つぶら「私がこの仕事を受けたのは、長く生きれないからです」
香椎つぶら「せめて家族に」
香椎つぶら「今まで私の治療の為に、たくさんの苦労をしてきた家族に少しでの返せるならって」
香椎つぶら「だから」
テモナス「君の未練は、家族かい?」
香椎つぶら「はい」
テモナス「分かった」
テモナス「君の未練、食らわせてもらおう」

〇黒

〇川沿いの原っぱ
テモナス「貴様だったか」
兵士「相変わらず人間離れしているな、化物」
テモナス「私が人間離れしているというなら、君は生物離れしているな」
テモナス「もう肉が残っていないじゃないか」
兵士「貴様を捕らえるためだ」
兵士「それがミトラス様の命である」
テモナス「そうか、ならバカ姉に伝えてくれ」
テモナス「お前のせいでこんな東の果てまで来ることになったんだ、と」
兵士「大人しく、──っ!?」
兵士「貴様、血を!?」
兵士「伏せろ!!」
兵士「い、糸!?」
テモナス「さぁ、抱き締めてもらいなさい」
ぬいぐるみ「抱き、締めて」
兵士「え?」
ぬいぐるみ「抱き、締めて!!」
兵士「な!?」
兵士「早く抱き締めろ!!」
兵士「しかし!?」
ぬいぐるみ「ア、ア──!!!!」
兵士「ギャア!?」
テモナス「ずいぶん兵士の質も落ちたな」
テモナス「あの時の貴様の方がまだ耐えたぞ」

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コメント

  • テモナスがトマスの血を吸うことになった経緯やミトラスとの姉妹の確執など、もう少し背景となる物語を読んで見たい。それがあればテモナスというキャラクターに説得力や魅力が増すんじゃないかな、と。やはり文字数の制限って難しいですね。

  • 最後の病院でのシーンで話の内容をより現実的に感じられ、悲しい気持ちと温かい気持ちにさせられました。吸血鬼といっても彼女のような存在なら親近感さえ感じます。

  • すごい読み応えの作品ですね!
    2人のキャラクターが立っていて、ビジュアルとの相乗効果で魅力的に映りますね。
    テモナスの過去の物語も気になります!

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