第九話 嘘つき(脚本)
〇テーブル席
──あらすじ──
信吾に動画の仕事を奪われた陽花。
また、頻繁にイベントに誘ってくる
真希也に疲れを感じていた。
小田真希也(まきや)「楽しかったですね、刀展」
楠原陽花(はるか)「えぇ。 今日も勉強になったわ」
小田真希也(まきや)「次はどこに行きましょうか」
小田真希也(まきや)「あ、自然公園の花イベントもいいですね。 今は何の花だろう」
楠原陽花(はるか)「そのことなんだけど、小田さん。 さすがにほぼ毎週というのは・・・」
デザイン会社社員「あ、小田君だ」
小田真希也(まきや)「お、偶然」
デザイン会社社員「もしかして刀展? ウチらはそうなんだけど」
小田真希也(まきや)「同じ同じ」
小田真希也(まきや)「あ、楠原さんすみません。 ちょっとあいつらのとこ行ってきます」
楠原陽花(はるか)「・・・どうぞ」
デザイン会社社員「あ、小田君、来た」
デザイン会社社員「楠原さんとデート中なんでしょ?」
デザイン会社社員「いいよ、こっちに気を使わなくても。 席、戻りな」
小田真希也(まきや)「こっち、顔見知りばかりで ほっとするんだよ」
デザイン会社社員「何言ってんの」
小田真希也(まきや)「お姫さまとのデートに緊張したから、 ここでちょっと安らいでいく。 なんて」
デザイン会社社員「ちょ、失礼すぎ! 私らのことも姫扱いしろよ」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)(何分あそこでしゃべり続ける気だろう)
小田真希也(まきや)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)「しかも時々、嬉しそうに こっちをチラチラ見てくる」
〇学校の体育館
〇テーブル席
楠原陽花(はるか)(無理して都合をつけてあげたのに、 他人の時間をなんだと思ってるんだろう)
〇渋谷のスクランブル交差点
小田真希也(まきや)「俺、今日は楠原さんのことしか 目に映りませんでした」
小田真希也(まきや)「俺、今日の思い出があれば 一生全てに耐えて行けそうです」
〇テーブル席
楠原陽花(はるか)(あれはなんだったの・・・?)
楠原陽花(はるか)(バカらしくなってきちゃったな)
楠原陽花(はるか)「・・・出よう」
デザイン会社社員「あれ? 楠原さん行っちゃったよ。 いいの?」
小田真希也(まきや)「えっ?」
〇開けた交差点
楠原陽花(はるか)「はぁ・・・」
紅林信吾(しんご)「散々なデートだったみたいだね」
楠原陽花(はるか)「紅林君、なぜここに・・・」
紅林信吾(しんご)「お連れさんを置いてきたけど、いいの?」
楠原陽花(はるか)「いいのよ、一人で延々と待たされて。 バカバカしい」
楠原陽花(はるか)「店の前に繋がれっぱなしの犬の気分よ」
楠原陽花(はるか)「それに、 同じ会社の人といる方が楽しそうだし」
紅林信吾(しんご)「確かにデート中に相手を放り出して 別の女性の所へフラフラ行くのは いただけないね」
楠原陽花(はるか)「あなたも似たようなものだったでしょう」
紅林信吾(しんご)「え?」
楠原陽花(はるか)「なんでもない」
紅林信吾(しんご)「・・・・・・」
小田真希也(まきや)「楠原さん!」
小田真希也(まきや)「はぁ、はぁ・・・。 やっと追いついた」
小田真希也(まきや)「どうして出て行っちゃったんですか?」
小田真希也(まきや)「もしかして、ヤキモチですか?」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
小田真希也(まきや)「いやぁ、違うんですよ」
小田真希也(まきや)「彼女たちは会社のただの同僚で、 何とも思ってなくて」
小田真希也(まきや)「こんなことで怒らないでくださいよ。 一番大切なのは楠原さんに 決まってるじゃないですか」
紅林信吾(しんご)「行こう、楠原さん」
楠原陽花(はるか)「!」
小田真希也(まきや)「ちょっと! あなた誰なんですか!」
紅林信吾(しんご)「彼女の同僚だが?」
小田真希也(まきや)「同僚さん・・・」
小田真希也(まきや)「すみませんが、 楠原さんは俺の彼女なんで、 勝手に連れて行かないでもらえます?」
楠原陽花(はるか)「えっ?」
紅林信吾(しんご)「付き合ってるの?」
楠原陽花(はるか)「そんな覚えは・・・」
小田真希也(まきや)「はぁ!? なんで、そんな嘘つくんですか?」
小田真希也(まきや)「いくら嫉妬したからって、 それはないでしょう!」
楠原陽花(はるか)「いや・・・」
楠原陽花(はるか)「と言うか、いつから私たち 付き合ってることになってるの?」
小田真希也(まきや)「言ったじゃないですか。 あなたから、『また会いたい』って!」
楠原陽花(はるか)「言ってない」
楠原陽花(はるか)「もう二度と会えないなんて あなたが言うから、 普通に『会える』って言っただけで」
小田真希也(まきや)「はぁああ!? じゃあ、俺を弄んだんですか!?」
楠原陽花(はるか)「・・・・・・」
楠原陽花(はるか)(どんな翻訳機を脳に仕込んでるの?)
紅林信吾(しんご)「まぁ、 付き合っているにしろ、ないにしろ」
紅林信吾(しんご)「デート中に他の女に目移りしてた男が、 偉そうに言えた立場じゃないよね」
小田真希也(まきや)「っ!」
小田真希也(まきや)「別に、目移りとかじゃないですよ。 同僚とちょっとしゃべってただけで」
紅林信吾(しんご)「・・・なるほど」
紅林信吾(しんご)「ちなみにさっき言ったとおり 僕たちも同僚だけど?」
紅林信吾(しんご)「少し話しているだけで ずいぶん腹を立ててるね、君は」
小田真希也(まきや)「そりゃ・・・」
紅林信吾(しんご)「楠原さんにも 同じ気持ちを味わわせていたこと、 気付いた方がいいよ」
小田真希也(まきや)「・・・!」
紅林信吾(しんご)「行こう、楠原さん」
楠原陽花(はるか)「うん」
小田真希也(まきや)「・・・・・・」
デザイン会社社員「ちょっと、小田。 楠原さんと付き合ってないじゃん」
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陽花のトラウマもシンちゃんの傷も痛いです。
2人が互いの傷を致命的に抉り合うような事だけは、どうか…と祈ってしまいます😢
はるちゃんも相当なトラウマを抱えてますね💦これ、しんちゃんがもっと近づいて、それで裏切ったら辛いですね😢
というか、まきやみたいな男怖いです((( ;゚Д゚)))
マキヤが今後どのような行動をとるかわかりませんが、他の同僚女子から真実を突きつけてもらえてほっとしました。
あのままだったら恐ろしすぎる……😱
まだ、嘘でもいいからシンちゃんの方が安心する…。