遅刻常習犯(脚本)
〇アパートのダイニング
・・・アラームは、美味そうな出汁の香りと、ネギを刻む、小気味良い音。
なにより、幸せそうに鼻歌を歌う、君の声・・・
棗絢音「〜♪」
棗藤次「おはよう。絢音」
棗絢音「あ! おはよう御座います! 藤次さん❤︎」
・・・誰かにおはようと言う朝
誰かにおはようと返される朝
ああ、
結婚したんやなぁと、感じる朝・・・
「いただきます!!」
テーブルを囲んで、2人で食べる食事はたまらなく美味くて、いつも2杯3杯とおかわりしてまう。
棗藤次「・・・仕事、行きたない」
棗絢音「また言ってる❤︎」
・・・ほんまや。ほんまやねんで?
仕事なんかほっぽり投げて、一日中、君の側で、君の僅かな仕草も見ていたい。
けど、時間は無常にも、出勤時間の時を刻んで行く。
〇広い玄関(絵画無し)
棗藤次「定時で飛んで帰ってくるからな! どっこも行ったらあかんえ?!」
棗絢音「お買い物くらい行かせてください!!!」
呆れ顔の君に背を押され、ワシは玄関に置いてある革靴に足を滑り込ませる。
棗絢音「はい、靴べら」
棗藤次「ん」
そっと、靴べらをとるふりをして、君の柔らかい頬に口づけする。
棗絢音「と、ととっ・・・藤次さん?!」
忽ち赤くなる君に、ワシはわざとらしゅう頬を突き出す。
棗藤次「絢音もして・・・」
棗絢音「えっ?!」
棗藤次「早よ!!」
棗絢音「・・・チュッ❤︎」
棗絢音「もう・・・藤次さんの、バカ・・・」
棗藤次「そない可愛い顔観れるなら、バカで結構・・・」
そう言ってはにかむ君を抱き締めて、今日の遅刻の理由を考える。
・・・さて、
後1時間、
なにしよか?
このシリーズを読んでいると藤次さんは絢音で頭が一杯でちゃんと仕事になっているんだろうかと不安になりますが、確かかなり仕事はできる方なんですよね。家を出る時はぐずぐずして、帰宅する時は光のように速く到着しそうですね(笑)。
理想的ですねぇ〜。いいなぁ。
現実は見てはいけない。そう、こういうときは私もそうだなぁと、そう思うことにしよう。そうしよう。
めちゃくちゃかわいい2人! 女性が外で働くことが主流になっている昨今、なんだかんだこの夫婦のように女性が家を守っていることで生まれる安らぎがどれだけ貴重なことか思い知らされますね。少し、たよりなさげな旦那様ではありますが!