エピソード15(脚本)
〇たこ焼き屋(看板無し)
藤原晶子「今日は来てくれておおきに。 またいつでもきいや!」
中園瑚白「まさか本当にきっちりお金をとられるとは思いませんでした」
中園瑚白「ごちそうさまでした。そこそこの味でした」
藤原晶子「あたし、あんた好きやわ」
藤原一茶「今日はおおきにな。 帰ったらたこ助も登録してや」
藤原一茶「金払えばバックナンバーも読めるようになっとるから」
真田紅音「共同戦線張るっていったそばから、金取るのか」
藤原一茶「親しき仲にも礼儀ありや。 人間、金のいざこざが一番怖いんやで」
若山柿之介「はー。 東京の夕焼けもちゃんと赤いんだべなー」
夕焼けを眺める紅音たち五人。
中園瑚白「・・・じゃあ、また」
藤原一茶「ああ、二次選考でな」
若山柿之介「んだ」
真田紅音「また」
藤原晶子「しかし、あのひきこもりだったあんたがねー」
藤原一茶「ひきこもりやめた思たら、今度は四年就活浪人や。 しょうもないわ」
藤原晶子「人生なんて、みんなしょうもないもんやわ」
藤原一茶「急に深い感じのこと言うのやめろや。 頭おかしなるわ」
藤原一茶「・・・オカン、もうちょいこの店なんとかなるか?」
藤原晶子「アホか、いつまでだってなんとでもなるわ」
藤原一茶「一億入って、毎年三千万稼いで、そしたらどうにもならんもんもどうにかなるわ」
藤原晶子「・・・おおきに。 気持ちだけで、十分やで」
藤原晶子「なあ」
藤原一茶「なんや」
藤原晶子「うちのたこ焼きて、そこそこなん?」
藤原一茶「・・・・・・」
〇市街地の交差点
中園瑚白「じゃあ、私こっちだから」
真田紅音「うん、気を付けて」
中園瑚白「儀礼的な気を付けては嫌いだからやめて」
中園瑚白「別に戦争に行くわけじゃないの。 帰宅するだけ」
真田紅音「あ、はい」
若山柿之介「おらの村はたまに熊が出るで、ほんとに気を付けて帰っただよ」
中園瑚白「じゃあ、次の選考で」
真田紅音「ああ」
紅音をじっと見つめる瑚白。
真田紅音「・・・何か?」
中園瑚白「私は海外に住んでいたことがある」
真田紅音「えっと、ああ、ホント」
中園瑚白「3年」
真田紅音「嘘」
中園瑚白「2年」
真田紅音「ホント」
中園瑚白「・・・すごいね」
真田紅音「まあ、そうだね」
真田紅音「人の心を読む的な心理学の本読んでも全然しょぼいなって感じで、むしろ僕が書いた方が売れるんじゃないかって」
中園瑚白「それじゃあ、二次選考で。 さようなら」
真田紅音「あ、うん、さようなら」
紅音が瑚白の去った方へと手を振る。
真田紅音「・・・・・・」
真田紅音「あ、中園さん!」
中園瑚白「瑚白でいいよ」
真田紅音「ああ、うん。 こんな帰り際に聞くことでもないんだけど」
真田紅音「瑚白はどうしてエリートピアを受けてるの?」
中園瑚白「・・・やりたいことがエリートピアでしかできないから」
中園瑚白「新しい広告のあり方を開発したくて」
真田紅音「・・・そっか」
中園瑚白「紅音は、どうして?」
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