13.終焉(脚本)
〇玄関内
鷲尾拓海「琴美さ~ん?」
鷲尾拓海(・・・どうしたんだろ?)
鷲尾拓海(いつもならカギ開けといてくれてるのに)
鷲尾拓海(合鍵持っててよかった)
鷲尾拓海「琴美さ~ん? なにかあった~?」
〇部屋の前
鷲尾拓海「痛!」
鷲尾拓海「なに」
鷲尾拓海「え! 今の・・・」
鷲尾拓海「まさか!!」
鷲尾拓海「琴美さん!?」
〇綺麗な部屋
鷲尾拓海「琴美さん! 大丈夫!?」
琴美を見つけた拓海
ぐったりとうなだれて座り込んでいた琴美が顔を上げた
前嶋琴美「・・・拓海、くん」
前嶋琴美「私・・・」
前嶋琴美「わ・・・私」
前嶋琴美「ゆ、うじさんに・・・ううっ」
前嶋琴美「ここ・・・いっぱい・・・」
前嶋琴美「う・・・う・・・ひっく」
憔悴しきった琴美を見て、拓海は琴美を抱きしめる
鷲尾拓海「ごめん! 琴美さん。僕のせいだ・・・ 僕がそばにいれば!」
前嶋琴美「や、だ・・・って、言ったのに・・・ 抵抗し、た・・・のに」
鷲尾拓海「もう・・・もう、しゃべらなくていいよ」
前嶋琴美「うっうう・・・うぐっ」
前嶋琴美「うわぁぁぁぁ! 拓海くん、拓海くん・・・」
鷲尾拓海「大丈夫。もう大丈夫だから・・・」
鷲尾拓海「ごめん・・・本当にごめん・・・」
拓海は、泣き続ける琴美が落ち着くまで、ずっと抱きしめていた
〇綺麗な部屋
― 3日後 ―
鷲尾拓海「──すみません、店長。もう少し、時間が必要みたいです」
熊代真樹(旧姓竜崎)「・・・そう、わかった。鷲尾くんは、琴ちゃんのケアを最優先でお願い」
鷲尾拓海「はい」
熊代真樹(旧姓竜崎)「カフェは、臨時休業にするから。台風も来てるし、お客さん来ないでしょ(笑)」
鷲尾拓海「店長、ありがとうございます」
熊代真樹(旧姓竜崎)「・・・ねえ、ホントに警察に言わないでいいの?」
鷲尾拓海「琴美さんが・・・大ごとにはしたくないって」
熊代真樹(旧姓竜崎)「・・・そっか」
熊代真樹(旧姓竜崎)「とにかく! カフェのことは気にしないでいいからね」
熊代真樹(旧姓竜崎)「また琴ちゃんの様子、教えて。 じゃあ」
鷲尾拓海「はい、わかりました」
〇綺麗な部屋
4日目、ずっと横になっていた
琴美さんが、起き出してきた
前嶋琴美「・・・」
前嶋琴美「・・・拓海くん、話が、あるの」
琴美は拓海に、勇次が自分の異母兄妹の可能性がある、と話した
前嶋琴美「あんな・・・あんな最低な人が兄妹かも、なんて考えたくないけど」
前嶋琴美「もう、すっぱり忘れてしまいたいし・・・」
前嶋琴美「もう、嫌悪感しかないけど・・・」
前嶋琴美「ずっと、お母さんから聞いた話が頭の片隅にこびりついてるの」
前嶋琴美「いっそのことDNA鑑定とかして、はっきりさせたいと思ってる」
鷲尾拓海「! でも鑑定をするには検体が必要だよね。あいつに協力してもらわないと──」
鷲尾拓海「・・・」
前嶋琴美「・・・」
鷲尾拓海「──あいつには僕から話すよ。 琴美さんは、絶対に近づいちゃダメ」
前嶋琴美「・・・うん」
鷲尾拓海「琴美さん、実は・・・僕からも話があるんだ」
鷲尾拓海「落ち着いて聞いて?」
鷲尾拓海「あいつ、白鳥勇次は・・・僕の腹違いの姉、里香さんの夫だったんだ」
前嶋琴美「う、嘘・・・」
鷲尾拓海「黙ってて・・・ゴメン」
鷲尾拓海「姉っていっても、面識はないんだ」
鷲尾拓海「・・・」
鷲尾拓海「・・・琴美さん、大丈夫?」
前嶋琴美「え、っと・・・少し、混乱してて・・・」
鷲尾拓海「もっと早く話すべきだった、かな」
鷲尾拓海「ごめん、琴美さん」
前嶋琴美「・・・」
鷲尾拓海「琴美さん、混乱してるかもしれないけど、これだけは信じて?」
鷲尾拓海「僕は、琴美さんの味方だから。 琴美さんは、絶対に僕が守る」
前嶋琴美「・・・うん、わかった」
鷲尾拓海「・・・琴美さん」
拓海は琴美を優しく抱き寄せた
〇おしゃれなレストラン
― 9月下旬 ―
鷲尾拓海「琴美さん、今日あいつがここに来るけど・・・大丈夫?」
前嶋琴美「・・・怖いけど、頑張る」
鷲尾拓海「琴美さんはなるべく離れて、僕の後ろのほうにいて?」
前嶋琴美「ん、わかった」
鷲尾拓海「来た」
「・・・」
南「あ、あの・・・拓。 私・・・今日は謝りに来たの」
南「拓、本当にごめんなさい!」
南「私は拓のことを・・・白鳥さんは琴美さんのことを」
南「好きすぎて、おかしくなっちゃってたの!」
南「で、でもね! 拓のこと好きだけど、もうあきらめるから!」
南「ね! 白鳥さんも・・・そうだよね!?」
白鳥勇次「・・・ああ、後悔してる。 あんなことして」
白鳥勇次「あんなことで、琴が手に入るわけないよな」
南(え? なんか様子が・・・へん)
白鳥勇次「そうだこれ・・・。 例の検体に使ってよ」
鷲尾拓海(あ! DNA鑑定用の・・・)
検体を受け取るために、拓海が勇次に近づいた
「拓海くん! 拓!」
白鳥勇次「よけるなよ~」
白鳥勇次「あ~あ、かすっただけかぁ」
鷲尾拓海「くっ・・・」
白鳥勇次「あのさ、琴美と俺が異母兄妹かもしれないって話だけど」
白鳥勇次「そんなの調べてどーすんの?」
白鳥勇次「俺に何のメリットもないんだよなぁ」
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え、は!? わあああああ😱
ユウジがやばいと思ったら、今度は南ちゃんがーー!!
南ちゃん、落ち着いてーー😂
お邪魔キャラだった南も身をひいてハッピーエンドにむかうと思いきや、まさかの急展開!からの最終回!楽しみに待ちます!
勇次の冷酷で歪んだ狂気と、南ちゃんの激情の狂気、ただただ怖いです……
恐怖回と甘々回の落差が大きすぎて、読んでいて気持ちよく振り回されっぱなしの本作の着地点はどこ??