12.狂愛(脚本)
〇おしゃれなレストラン
― 9月上旬 ―
前嶋琴美「えっと・・・じゃあ、拓海くんは、ゴミを集めて倉庫に持って行ってもらえる?」
鷲尾拓海「はい! わかりました」
前嶋琴美(私は、看板をクローズにして、カギを閉めよっと)
前嶋琴美「ん? あ・・・」
白鳥勇次「よお♪ 琴!」
前嶋琴美「あ、勇次さん。久しぶり」
白鳥勇次「久しぶりって~! 俺、ほぼ毎日ランチ食べに来てるのに」
前嶋琴美「え、だって、私ランチ時は厨房にこもりっきりだもん」
白鳥勇次「まぁ、そうだけどさ」
前嶋琴美「で? なにか用?」
白鳥勇次「あ~実は・・・」
前嶋琴美「え!? 花束? どうしたの?」
白鳥勇次「前に、里香への退院祝いに花をすすめられて買って帰ったろ?」
前嶋琴美「ああ・・・うん」
白鳥勇次「花・・・めっちゃくちゃ喜んでくれて、毎月届くように定期便にしたんだ」
白鳥勇次「でも・・・里香、また入院することになって」
前嶋琴美「え・・・」
白鳥勇次「あ! そんなに深刻な状態じゃないんだけど!」
白鳥勇次「で、花は毎月届くわけで、今月も届いたんだけど」
白鳥勇次「センスのない俺が家で飾るより、琴美にあげたほうが喜ぶかな? と思ってさ」
前嶋琴美「え、いいの?」
白鳥勇次「うん、よかったら貰ってよ♪」
前嶋琴美「ありがとう」
前嶋琴美「でも、ホントにいいの?」
白鳥勇次「い~の、い~の♪」
ショッピングモールで
勇次さんと会って
食事をしてから
前のような
勇次さんへの嫌悪感は
薄れつつあった
前嶋琴美(こんな感じなら、異母兄妹の話もいつかできるようになるかも)
白鳥勇次「でさ・・・あと」
白鳥勇次「お客さんに貰ったんだよ。ケーキビュッフェのチケット」
白鳥勇次「一緒に──」
鷲尾拓海「あれ~? 白鳥さん、いらしてたんですか」
前嶋琴美「拓海くん、お疲れさま」
鷲尾拓海「あー、そのチケットどうしたんですか?」
白鳥勇次「あ、一緒に・・・里香と行こうと思ってたんだけど、行けなくなったから」
白鳥勇次「琴美にあげようかと・・・」
前嶋琴美「えっ! そうなの?」
前嶋琴美「いいの~? 嬉しい! ここ美味しいって有名なお店♪」
鷲尾拓海「じゃあ琴美さん、今度の店休日にでも♡」
前嶋琴美「うん♡ そうしよ♪」
白鳥勇次「な、なあ、お前たちって、もしかして付き合って──」
前嶋琴美「あ・・・う、うん、そうなんだ♡」
白鳥勇次「あ、ああ~! そう・・・ じゃあお祝いってことで」
前嶋琴美「ありがとう。勇次さん」
白鳥勇次「じゃあ俺、用は済んだから帰るわ。 じゃ~な~」
〇繁華な通り
白鳥勇次「クソッ!」
白鳥勇次「クソクソクソォ~~~~!」
白鳥勇次「南のヤツが怪しいって言うから、行ってみたけど」
白鳥勇次「付き合ってるって?」
白鳥勇次「ふざっけんな!!」
白鳥勇次「ようやく琴美の警戒が解けてきたころなのに・・・」
白鳥勇次「許さねぇ・・・」
白鳥勇次「琴美は俺のものなのに・・・」
白鳥勇次「絶対、あの二人、ぶっ壊してやる!」
白鳥勇次「・・・ま、次の仕込みは済ませたから」
白鳥勇次「ふふっ、楽しみだなぁ」
〇ケーキ屋
― 店休日 ―
前嶋琴美「わ~♡ 拓海くん! 見て! 美味しそうなケーキがいっぱい~♪」
鷲尾拓海「ホントだ、迷っちゃうね」
前嶋琴美「拓海くん、ワクワクしてる~♪」
鷲尾拓海「ちょっ、琴美さん・・・からかわないでよ~」
前嶋琴美「甘いもの好きだもんね? いっぱい食べよ!」
鷲尾拓海「うん」
前嶋琴美「はぁ~♪ お腹いっぱい!」
鷲尾拓海「僕も♪」
前嶋琴美「帰りは、ゆっくり歩いて帰ろ?」
鷲尾拓海「うん、そうしよ♪」
〇公園の入り口
前嶋琴美「あ! 拓海くん、公園があるよ? ちょっと寄って行こ?」
鷲尾拓海「うん」
〇公園のベンチ
鷲尾拓海「公園って、琴美さんとの花火を思い出すんだよね」
前嶋琴美「あは♪ そうだね! 今度、花火やろっか!」
鷲尾拓海「うん。でも花火、まだ売ってるかな?」
前嶋琴美「また探しに行こうよ」
鷲尾拓海「うん、そうだね」
前嶋琴美「今、拓海くんが夏休みだから、時間を気にせずゆっくりできるね」
鷲尾拓海「琴美さんとずっと一緒で、嬉しい」
前嶋琴美「ふふっ、私も♡ ね、今日もうち、寄ってく?」
鷲尾拓海「うん♡」
鷲尾拓海「ん? 南だ」
鷲尾拓海「なに? 南」
鷲尾拓海「え? あると思うけど」
鷲尾拓海「はぁ? なんでそんな勝手なこと言っちゃうんだよ」
鷲尾拓海「も~、わかったよ。 今、外だから、見つけたら連絡する」
鷲尾拓海「じゃ」
前嶋琴美「・・・どうしたの?」
鷲尾拓海「いや南が、僕が持ってる本を友達に貸してあげるって言っちゃったらしくて」
鷲尾拓海「すぐに貸してほしいって言うんだよ」
鷲尾拓海「もう、勝手にそんな約束して・・・困るよ」
前嶋琴美「そっか・・・」
鷲尾拓海「だから、本を探してから、琴美さんのとこに行くね」
前嶋琴美「ん、わかった」
〇中規模マンション
〇マンションの共用廊下
鷲尾拓海「じゃあ、琴美さん、あとで♡」
前嶋琴美「うん♡」
〇玄関内
前嶋琴美「は~、よく歩いた♪」
前嶋琴美「あれ? 拓海くん、もう本、見つかっ──」
前嶋琴美「勇次さん!?」
前嶋琴美「・・・なんで」
白鳥勇次「ふふ・・・琴と二人きりになりたくてさ」
前嶋琴美「なんで・・・私の部屋、知ってるの?」
白鳥勇次「そんなの~、簡単だよ」
白鳥勇次「知らない? 最近じゃ指先サイズくらいのGPSがあるんだよ~」
白鳥勇次「気づかなかった? 花束の包装紙にくっつけといたの」
恐怖を感じた琴美は、後ずさりを始めた
〇部屋の前
前嶋琴美「なんで、そんなことを?」
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わー、勇次、気持ち悪!!😱チュッチュやめて~!
でも溢れる小物感で恐怖より哀れというか……恋人の合鍵くらい持ってるって想像しないのかな……?狂ってるから全部都合良くしか考えられないのかな😥
琴美は、拓海の、恋人。Do you understand?
拓海くん、頑張れー😭
んあ〜😱 これはお上手と言ってしまって良いのか。前回までのお話から落差があって、余計にエグく感じる。
同じ「チュッ❤」なのにこんなに印象が違ってくるなんて……
あーっ😂 ユウジ暴走した!!
早く、早く助けてあげてタクミくんー!!