夕顔

笑門亭来福

第二話(有頂天)(脚本)

夕顔

笑門亭来福

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〇花模様
佐藤 愛「おはよう・・・」
夕ちゃん「おはよう・・・」
佐藤 愛「・・・なんだろう?」
佐藤 愛「・・・何かが、違う」
佐藤 愛「なんとなく、体がダルオモ・・・」
夕ちゃん「まさか・・・私たち・・・入れ替わってる!?」
佐藤 愛「・・・じゃなくて」
佐藤 愛「動きづらいのよ!」
佐藤 愛「そして、360度ピンクね」
佐藤 愛「・・・ここは、どこ?」
夕ちゃん「やだ、覚えてないの?」
夕ちゃん「ここは、鈴木さくらちゃんの、オヘソ」
夕ちゃん「そして、私たちは、オヘソに寄生しているっ」

〇リンドウ
夕ちゃん「寄生ズでーす」
佐藤 愛「なーにー? やっちまったなー」
夕ちゃん「さくらちゃんを、120%感じれる場所よ!」
佐藤 愛「お臍で? 夕顔で? 分かるのかなぁ?」
夕ちゃん「考えるんじゃない、感じるんだっ!」
佐藤 愛「なんでやねん」
夕ちゃん「まぁまぁ・・・やってみましょうよ」
佐藤 愛「・・・」

〇幻想2
夕ちゃん「オヘソから見る、さくらちゃんも・・・」
夕ちゃん「また、綺麗で、ふわふわ・・・」
佐藤 愛「うん、サラサラで、キラキラな肌が広がる」
佐藤 愛「これは、まるで、そう、鳥取砂丘!」
佐藤 愛「向こうには、二つのラージヒル」
夕ちゃん「フワッフワのケーキみたいに」
夕ちゃん「上には、かわいい、ピンクのイチゴ」
夕ちゃん「いやぁ・・・なんだか、ノゾキ見のようで」
佐藤 愛「むふ、ちょっと背徳感で、ゾクゾク」
佐藤 愛「・・・あー、なんだか思い出しちゃった」
佐藤 愛「10代、当初の頃、膨らみはじめた胸」
佐藤 愛「女子としての人生に、向き合わされ」
佐藤 愛「受け入れるのに、ちょっと時間がかかった」
佐藤 愛「その後、自分で言うのも、何だけど・・・」
佐藤 愛「持て余し気味の肉体美」
佐藤 愛「だけど、服の下で、誰にも鑑賞されず」
佐藤 愛「無駄にキラキラ・・・」
佐藤 愛「やがて、女であることにも慣れてきたのに」
佐藤 愛「その武器を活かしきれず・・・」
佐藤 愛「まだまだ、かろうじて魅力的だけど」
夕ちゃん「結構、自分で自分のこと誉めるよねー」
佐藤 愛「・・・やがては、肉体美的なものと」
佐藤 愛「決別し、BBAを受け入れる準備も」
佐藤 愛「必要になるのよね・・・」
夕ちゃん「もぉ、愛ちゃん、後ろ向きスパイラル!」
夕ちゃん「相思相愛のために来たんだから!」

〇簡素な部屋
夕ちゃん「あっ、さくらちゃん、起きたみたい」
夕ちゃん「さくらちゃん、おはよう」
佐藤 愛「おはよう、さくらちゃん」
佐藤 愛「一度、言ってみたかった」
佐藤 愛「寝起きも、また、かわいい」
鈴木さくら「おはよう・・・」
鈴木さくら「ちょっと、お腹が、くすぐったい・・・」
鈴木さくら「・・・気のせいかな」
佐藤 愛「なんか、静かだなぁ」
夕ちゃん「ねえ、さくらちゃんって、独身?」
佐藤 愛「学生だからな」
佐藤 愛「そうそう、家族とかいないのかな?」
夕ちゃん「だよね・・・」
佐藤 愛「そう言えば、部屋も超シンプルだわ」
夕ちゃん「カーテンは、あった方がいいかな」
佐藤 愛「壁には、バスケのユニフォームだけか」
佐藤 愛「蓮くんのだ、いいなぁ、これで充分!」
鈴木さくら「・・・」

〇白いバスルーム
  シャワー
「ホ、私たちのこと、バレなかったね」

〇ダイニング(食事なし)
佐藤 愛「すごっ、弁当作るんだ!」
夕ちゃん「私、作ったことない」
佐藤 愛「まあ、あんたは、精霊だから」
佐藤 愛「・・・夕ちゃんの御飯って?」
鈴木さくら「・・・いってきます」
「いってらっしゃーい」
「・・・ていうか、いってきまーす、だ」

〇改札口
夕ちゃん「初オヘソ登校ぉーっ!」
佐藤 愛「何よソレ? ま、気持ちは分かるけど」

〇駅のホーム
鈴木さくら「あっ!」
「きゃー、何? 急に体が揺れてきた!」
「ドキドキして、息が・・・」
「ぁぁぁぁぁぁぁーっ、で、出たー」
鈴木さくら「蓮くん、おはよう」
「高橋 蓮くん!」
「ぉ、ぉ、ぉ、おはよう」
「ぁ、ぁ、ぁ、あいさつしちゃった」
鈴木さくら「昨日の試合、すごかったねー」
高橋 蓮「もう、止まんなかった」
鈴木さくら「誰も止められなかったねー」
高橋 蓮「過去最高、56得点、また神だった」
鈴木さくら「蓮神様(れんかみさま)だもんねー」
「蓮神様ーっ!」
鈴木さくら「最近、罰ゲームの腹筋やらされてないねー」
高橋 蓮「それなー、6パックから1パックになるかも」
佐藤 愛「あー、それそれ、私がその1パック!」
夕ちゃん「またまたー」
佐藤 愛「え? 何よー」
夕ちゃん「サバよんでるーっ!」
佐藤 愛「何のことだか」
夕ちゃん「1じゃなくて、3でしょっ、三段・・・」
佐藤 愛「むかっ!」
高橋 蓮「おっ、そうだ、ノート返す、ありがとな」
鈴木さくら「うん・・・あ、宿題やった?」
高橋 蓮「えーっ・・・知らんかった」
鈴木さくら「山ちゃんに、また言われるよー」
鈴木さくら「お前はホント、勉強は、貧乏神だなーって」
高橋 蓮「アシストしてくれよーっ」
「さくらちゃん、楽しそうねー」
「部屋の時と違って」
「二人とも、メリーゴーランドにいるみたい」
佐藤 愛「じゃ、あなたは、カボチャで」
夕ちゃん「じゃ、あなたは、馬車馬で」
佐藤 愛「おっ、こいつ、さっきから反抗期だ」
夕ちゃん「うふふ、年齢不詳ですけど・・・」
  全員を乗せた、丸校行きの電車が発車

〇電車の中
迷子のコトリン「・・・」
鈴木さくら「嘘でしょっ!」
迷子のコトリン「ふんっ・・・」
「どした?」
鈴木さくら「ヒヨコが、人間みたく、座ってる!」
鈴木さくら「かわいい(ホントに)」
高橋 蓮「かわいい(ホントだ)」
佐藤 愛「かわいい(どこから来た?)」
夕ちゃん「か、かわいい?(何かの精霊?)」
鈴木さくら「かわいーい(あ、笑った)」
高橋 蓮「かわいい、ケド(誰かの飼いヒヨコ?)」
佐藤 愛「かわいい、ぃゃ(あ、うんこした?)」
夕ちゃん「かわいい?(入れ替わってる?)」
鈴木さくら「か・わ・い・い(ウチで飼いたいな)」
高橋 蓮「かわいい❤️(そういう、さくらちゃんが)」
佐藤 愛「かわいい!(蓮くん、今さくらちゃんに?)」
夕ちゃん「かわいい!(蓮くんが!)」
鈴木さくら「かわいい、ッテ(まさか、蓮くん)」
高橋 蓮「かわいい、さく・・・(危ない)」
佐藤 愛「かわいい❤️(もう、どっちも)」
夕ちゃん「かわいい、きゃー(愛ちゃん、鼻血鼻血)」
佐藤 愛「かわいい(悶絶)」
夕ちゃん「かわいい(ちょっと、大変、愛ちゃんが)」
佐藤 愛「かわいい(と気絶しそうに)」
夕ちゃん「かわいい、じゃなくて、助けてー!」
鈴木さくら「あ、イタタ、痛い痛い・・・くっ」
高橋 蓮「大丈夫? さくらちゃん!」
鈴木さくら「急に、お腹が、く、苦しい」
高橋 蓮「大変だ、誰か」
高橋 蓮「お客様で、お医者様はいませんか?」
高橋 蓮「停止、停止、緊急停止!」

〇学校の校舎
  保健室
高橋 蓮「ホントに、大丈夫?」
鈴木さくら「うん、平気。心配かけて、ごめんなさい」
佐藤 愛「いや、謝るのは、こっちです」
夕ちゃん「本当にスミマセン」
「おそらく、私達の異常な興奮が原因です」
佐藤 愛「でも、蓮くんカッコよかったねー」
夕ちゃん「あの後、電車止めて、救急車呼んで」
佐藤 愛「さくらちゃんを抱き抱えて、爆走!」
佐藤 愛「あー、私も抱っこされたいよー」
夕ちゃん「愛ちゃん、ダメだって、また腹痛が」
鈴木さくら「一応、今日の部活は見学する」
高橋 蓮「俺は、病院、行った方がいいと思うけどなー」
鈴木さくら「保健室の先生が、大丈夫、太鼓判押すって」
高橋 蓮「でも痛くなったら、すぐ病院行くんだぞ」
鈴木さくら「うん、ありがと」

〇バスケットボール場
高橋 蓮「お腹の調子、どう?」
鈴木さくら「うん、あれからは、何ともない」
高橋 蓮「よかった、安心した」
鈴木さくら「うん、ありがと、ごめんね」
高橋 蓮「今日は、念のため、駄菓子屋デート無しな」
鈴木さくら「たこ焼きと回転焼き、楽しみだったのにー」
佐藤 愛「あ、さりげなくデートって言葉、使った!」
夕ちゃん「もう騒いじゃダメだからね!」
佐藤 愛「分かってますって」
高橋 蓮「本当は、真っ直ぐ帰んないとだけど・・・」
鈴木さくら「珍しいよね、公園寄ろうって」
高橋 蓮「どうしても今日、見せたいものがあって」
鈴木さくら「へー、なぁに?」
高橋 蓮「うん、ちょっと後ろ、向いてみてよ」
鈴木さくら「えー、なんだろう?」
「やばい、ドキドキしてきた」
「これって、この展開って・・・」
鈴木さくら「あっ・・・」
高橋 蓮「この時間、ここからしか見えないんだ」
高橋 蓮「誕生日、おめでとう・・・」
鈴木さくら「・・・」
鈴木さくら「あ、ありがと」
「超スーパーシュート、まさにブザービーター」
鈴木さくら「私、忘れない、今日のこと」
鈴木さくら「大事にしたい、蓮くんの気持ち・・・」
高橋 蓮「喜んでくれて、うれしいよ」
高橋 蓮「何百回と、リサーチした甲斐があった」
鈴木さくら「ねー、写真撮ろうよ」
高橋 蓮「うん」

〇並木道
  駅までの帰り道
  二人の手は、・・・触れ
  勇気を出して、震える手を握る
  指を絡めて、更に強く握り合う
  お互いの気持ちを確かめるために
  腕を組む・・・更に近づきたいから
  腕を組むと、ふくらみは、肘にあたる
  お互いの喉が渇き、呼吸は早くなる
高橋 蓮「ちょ、ちょっと、抜くよ(肘に当たってる)」
鈴木さくら「抜かないで(分かってる)」
高橋 蓮「・・・いや、あの、ほら、そのぉ」
高橋 蓮「・・・インターハイ、始まったね」
鈴木さくら「あ、うん」
高橋 蓮「俺ら3年は、負けたら引退だ」
鈴木さくら「・・・そうね」
高橋 蓮「・・・」
鈴木さくら「引退したら・・・どうすんの?」
高橋 蓮「受験勉強・・・になるなぁ」
鈴木さくら「もう決めてるの? 行き先」
高橋 蓮「うん、バスケが強いから、ちくわ大学」
鈴木さくら「そっか、遠くなるね」
高橋 蓮「・・・さくらちゃんは、決めてるの?」
鈴木さくら「・・・」
高橋 蓮「まだ、迷ってるんだね」
鈴木さくら「たぶん、地元で、就職するんだろうな」
  さくらちゃんは、組んだ腕を離した
高橋 蓮「どしたの?」
鈴木さくら「うん、駅近くなったし」
高橋 蓮「あ、そうだね」
佐藤 愛「え? どうしたの、さくらちゃん?」
佐藤 愛「脈拍が急に低い、呼吸が弱い」
佐藤 愛「私、知ってる、この感覚」
佐藤 愛「忘れた頃に、不意にフラッシュバックする」
佐藤 愛「鼻血を飲み込んだ時の、鉄の味のような」
佐藤 愛「暗くて、底が見えない・・・」
佐藤 愛「千年の孤独」
佐藤 愛「どうして、あなたから、こんなに」
佐藤 愛「絡みつくように感じるの?」
佐藤 愛「さくらちゃん?」

次のエピソード:第三話(千年の孤独)

コメント

  • さくらちゃんはやっぱり何か暗い事情を抱えていそうですね。リアルな恋愛描写に青春を感じました。今回もスチルが綺麗で笑門亭来福さんの作品の幻想的な部分に合ってるなあと思います。

  • 1話の衝撃的な始まりかたで続きが気になって連続で読ませて頂きました!
    こじらせた愛さんと精霊の夕ちゃんがさくらちゃんのおへそに宿ることになるとは……
    2話では楽しく青春を謳歌している感じなのに一体どういった心境の変化があったのか、これからがとても気になります。

    さくらちゃんにツッコミを入れながらの二人がとても楽しかったです。

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