シンメトリー・トライアングル

大河内 りさ

EP3:道化師(脚本)

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大河内 りさ

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〇広い公園
「どーっちだ?」
早瀬 悠「ふふん、そんなの簡単だよ!」
早瀬 悠「こっちが大和で、こっちが大河!」
「おお〜っ!」
本間 大和「すごいや、悠ちゃん」
本間 大河「ちぇっ、つまんねー」
本間 大和「父さんと母さんは騙せたのにね」
本間 大河「何で分かるんだよ」
早瀬 悠「何でか分かっちゃうんだよね」
本間 大河「いつか絶対、騙してやる! な、大和!」
本間 大和「そうだね、大河!」
早瀬 悠「ええ〜っ」
???「──ちゃん」
早瀬 悠「・・・えっ?」
???「起きて、悠ちゃん」
早瀬 悠「あれっ?」
早瀬 悠「・・・大和?」
早瀬 悠「・・・大河?」
早瀬 悠「どこに行っちゃったの?」
早瀬 悠「おいてかないで・・・!」

〇黒
???「起きて、悠ちゃん!」
早瀬 悠「・・・はっ」

〇一人部屋
早瀬 悠「・・・・・・」
本間 大河?「おはよう、悠ちゃん」
本間 大河?「よく寝てたね」
早瀬 悠(やっちゃった・・・)
早瀬 悠「ごめん、おは──」
早瀬 悠「・・・大河、だよね?」
本間 大河?「そうだよ」
本間 大河?「大和の方がよかった?」
早瀬 悠「そうじゃなくて・・・っ」
本間 大河?「うん、知ってる」
本間 大河?「ごめん」
早瀬 悠「・・・・・・・・・」
本間 大河?「そうそう」
本間 大河?「母さんが夕飯食べてけって」
早瀬 悠「え、でも・・・」
本間 大河?「悠ちゃんちのおばさんには もう話が通ってるよ」
早瀬 悠「はは、さすが」
早瀬 悠「じゃあ、お言葉に甘えて」
本間 大河?「どーぞどーぞ」

〇おしゃれなキッチン
早瀬 悠「おばさん、私にも手伝わせて」
本間 和子「あら、ありがとう」
本間 和子「じゃあ、お茶碗を運んでもらえるかしら」
早瀬 悠「はーい」

〇おしゃれなリビングダイニング
早瀬 悠「はい、おじさん」
本間 大地「ありがとう」
本間 大地「・・・・・・」
早瀬 悠「おじさん?」
本間 大地「いやぁ、悠ちゃんが早く お嫁に来てくれないかと思ってね」
早瀬 悠「えっ・・・」
本間 和子「ちょっと、お父さん!」
本間 和子「そういうのは本人たちが決めることなんだから、外野が口出さないの!」
本間 大河?「そうだよ、悠ちゃんも困ってるだろ」
早瀬 悠「あ、えっと・・・」
本間 大地「ああ、ごめん! 困らせるつもりはなかったんだ」
本間 大地「ただ──」
本間 大地「大和だけでも 幸せになって欲しいと思ってね」
本間 大地「大河の分まで・・・」
早瀬 悠「・・・・・・・・・」
本間 大河?「・・・・・・」
本間 大河?「今でも充分幸せだけど・・・」
本間 大河?「そうだね、そろそろ真面目に 考えてもいいのかもしれないな」
早瀬 悠「・・・何を?」
本間 大河?「何って、もちろん 『俺たち』の結婚について」
早瀬 悠「──ッ」
早瀬 悠(落ち着いて・・・)
早瀬 悠(大河はおじさんの話に合わせてるだけ)
早瀬 悠(本当に結婚なんて、そんなこと──)
本間 大河?「どう思う、悠ちゃん?」
早瀬 悠「どうって・・・」
早瀬 悠「どうして・・・?」
早瀬 悠(どうしてそんな、 ひどいこと聞くの・・・?)
早瀬 悠「・・・・・・」
早瀬 悠「結婚は、まだちょっと早いかなっ?」
本間 大河?「・・・・・・」
本間 大河?「あーあ、フラれちゃったよ」
本間 和子「もうっ、お父さんが余計なこと言うから!」
本間 大地「す、すまない・・・」
本間 和子「ごめんねぇ、悠ちゃん」
早瀬 悠「いえいえ」
早瀬 悠「・・・・・・」
早瀬 悠(何考えてるの、大河・・・)
本間 大河?「・・・・・・・・・」

〇一軒家の玄関扉
早瀬 悠「お邪魔しました」
早瀬 悠「またね、大河」
本間 大河?「悠ちゃん・・・」
本間 大河?「変なこと言って、ごめん」
早瀬 悠「大河・・・」
早瀬 悠(大河も不安なんだよね)
早瀬 悠「・・・・・・」
早瀬 悠「ホントだよ!」
早瀬 悠「大河もだけど、おじさんもね!」
早瀬 悠「私が怒ってたって伝えといて!」
本間 大河?「悠ちゃん・・・」
本間 大河?「うん、ありがとう」
早瀬 悠「じゃあ、おやすみ」
早瀬 悠「明日は仕事だけど、夜は空いてるし 週末も特に予定はないから」
早瀬 悠「何かあったら気軽に声かけて」
早瀬 悠「それじゃ──」
本間 大河?「あ・・・」
早瀬 悠「────大河?」
  去りかけた私の腕を、大河の──いや、大和の手が掴んだ。
早瀬 悠「・・・どうしたの?」
本間 大河?「あっ・・・」
本間 大河?「ごめん、なんでもない」
  すがるような手が、腕からそっと離れる。
本間 大河?「おやすみ、悠ちゃん」
早瀬 悠「・・・おやすみ」
早瀬 悠(大和、大河・・・)

〇一戸建ての庭先
早瀬 悠「ただいま・・・」

〇黒

〇女の子の部屋(グッズ無し)
早瀬 悠「・・・・・・」
早瀬 悠「疲れた・・・」
早瀬 悠「これから、どうしたらいいんだろう」
早瀬 悠「どう大河に向き合っていったらいいのかな」
早瀬 悠「大和・・・」
早瀬 悠「会いたいよ、大和・・・」

〇黒

〇オフィスビル

〇オフィスのフロア
早瀬 悠(いろいろ考えちゃって ほとんど寝られなかった・・・)
上川 さゆり「早瀬さん、おはよ」
早瀬 悠「上川さん・・・ おはようございます」
上川 さゆり「月曜から疲れた顔して、どしたのー?」
上川 さゆり「彼氏さん、退院したんじゃなかったっけ?」
  ふと、会社の先輩に相談してみようかという考えが浮かんだ。
  近すぎず、遠すぎない。
  そんな距離感の相手なら、今の状況を客観的に判断してくれるかもしれない。
早瀬 悠「あの・・・ ちょっと相談したいことがあるんですけど」
上川 さゆり「いいよー。 ランチの時に聞いたげる」
早瀬 悠「ありがとうございます」

〇おしゃれな食堂
早瀬 悠「────という感じなんです」
上川 さゆり「うーん・・・」
早瀬 悠(やっぱり信じてもらえないか)
上川 さゆり「それって、本当に『大河』くんなの?」
早瀬 悠「え・・・?」
上川 さゆり「『大和』くんが『大河』くんの ふりしてるって可能性は?」
早瀬 悠「そんなことする必要あります?」
上川 さゆり「それは本人にしか分からないけど」
上川 さゆり「自分だけ生き残ってしまった罪悪感から、 無意識に行動してる・・・とか」
上川 さゆり「大河くんでいたほうが都合がいい、とか」
上川 さゆり「まぁ、それこそ精神的な影響とか、脳へのダメージとか、いろいろ考えられるけど」
早瀬 悠「・・・・・・」
上川 さゆり「早瀬さんが、彼は大河くんなんだって 思い込んでるようにも感じるかな」
早瀬 悠「そう、なんでしょうか・・・」
早瀬 悠(分からない)
早瀬 悠(私は絶対に二人を見分けられる。 間違えるはずなんてない──)
早瀬 悠(そう、思い込んでいただけなの?)
上川 さゆり「なんにしろ、素人が考えたって 解決することじゃないんだし」
上川 さゆり「早いとこ医者に相談するに限ると思うよ」
早瀬 悠「そうですよね」
上川 さゆり「ごめんね、こんなことしか言えなくて」
早瀬 悠「いえ、参考になりました。 ありがとうございます」
早瀬 悠(大和が大河のふり・・・)
早瀬 悠(そんなことする理由なんてある・・・?)
早瀬 悠(──大和!?)
  『今週末、アパートを
  引き払うことになったから
  手伝ってくれない?』
早瀬 悠(ビックリした。大河からか・・・)
早瀬 悠(『いいよ』っと・・・)
上川 さゆり「彼氏さん?」
早瀬 悠「あ、すみません」
早瀬 悠「『大河』のアパートを引き払うから 手伝って欲しいって・・・」
上川 さゆり「そっか」
上川 さゆり「人手が要るなら声掛けてよ」
早瀬 悠「ありがとうございます」
早瀬 悠「・・・・・・あれ?」
上川 さゆり「どうしたの?」
早瀬 悠(どうして大河が 大和のスマホを使ってるの?)
早瀬 悠(指紋認証なら解除できるだろうけど)
早瀬 悠(大和はパターンロックにしていたはず──)
  どうやってロックを解除したんだろう。

次のエピソード:EP4・区別

コメント

  • いやまあ、顔認証ならどちらのスマホにも通じるし、指紋認証で通じたらやっぱり身体は大和ってことになるのでそれはまあ、それとして。

    約束かなー。双子の約束が今の状況を作ってると予想。五話までに明らかにはならなそうですけど…。次も楽しく読みます。

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