Cross the line(一線を越える)

鷹志

第4話 刺客か、理解者か…(脚本)

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〇名門の学校
  「沙羅と付き合ってほしい」と美由紀に頼まれた俊介が、沙羅の通う大学へ行く・・・
俊介「ここだな。美由紀姉さんが言ってた子が通っている大学は」
俊介「正直あまり気は進まないけど・・・」
俊介「姉さんの頼みだ」
俊介「これをやり遂げれば姉さんと・・・」
俊介「やるしかない」

〇おしゃれな大学
沙羅(週末はお兄ちゃんとお出かけするんだ)
沙羅(えへへ)
沙羅(どこに行こうかな?)
俊介「姉さんの話だと、その子の特徴は・・・」
俊介「ん?」
俊介「いた! あの子じゃないか?」
沙羅(授業が終わったら、晩ご飯の材料買いに行かなくちゃ)
沙羅(今日は何を作ろうかなあ)
沙羅(お兄ちゃんが喜んでくれるものを作るんだ)
沙羅(今日も「沙羅の料理が一番おいしい」って言ってくれるかな?)
沙羅(えへへ)
俊介「すみません」
沙羅「は、はい」
俊介「実は仕事の関係でこちらの大学に伺ったのですが・・・」
俊介「図書館の場所を教えていただけないでしょうか?」
沙羅「図書館ですね」
沙羅「えっと、図書館は向こうの建物の裏のほうの、えっと・・・」
俊介「向こうの建物の裏?」
沙羅「すいません、うまく説明できなくて」
沙羅「そうだ」
沙羅「今からご案内します」
俊介「でも、これから授業があるんじゃ・・・」
沙羅「まだ少し時間があるので大丈夫です」
沙羅「行きましょう」
俊介「すみません」

〇綺麗な図書館
沙羅「図書館はこちらになります」
俊介「助かりました。ありがとうございます」
沙羅「あっ! 授業が始まってる時間だ!」
沙羅「すぐに行かなくちゃ!」
沙羅「それじゃあ、私はここで失礼します」
俊介「・・・」
俊介(姉さんがわざわざ頼んでくるくらいだから、ちょっと癖のある変わった子かと思ったけど・・・)
俊介(普通に素直でかわいい子じゃないか)
俊介「さて、これからどうするか」

〇おしゃれな大学
沙羅(今日の授業も終わった)
沙羅(帰りに晩ご飯の材料買っていこうっと)
俊介「すみません」
沙羅「あっ、さっきの・・・」
俊介「先ほどはありがとうございました」
俊介「おかげで仕事もうまくいきました」
沙羅「それはよかったですね」
俊介「それで、その・・・」
沙羅「?」
俊介「お礼がてら、少し話をしたいのですが・・・」
沙羅「はい?」
俊介「少しの時間だけでいいんです」
俊介「そこの学食でどうですか?」
俊介「コーヒーぐらいは出しますので」
沙羅「はあ・・・」
俊介「実は、今後この大学での取引が続きそうなんです」
俊介「それでこの大学のことをもっと知りたいと思って」
俊介「学生さんの声も聞いてみたいんです」
沙羅「はあ・・・」
沙羅(この後の予定は晩ご飯の材料買いにいくだけだし・・・)
沙羅(この人も変な人じゃなさそうだし、ちょっとくらいならいいかな)
沙羅「わかりました。少しの時間なら」
俊介「ありがとうございます」

〇学食
俊介「大学かあ、懐かしいなあ」
沙羅「懐かしい? まだ若そうに見えますけど・・・」
俊介「確かに卒業してまだ2、3年しか経ってないけど」
俊介「就職して社会人になると、学生の頃とは全然違うからね」
俊介「数年経っただけでも学生時代が懐かしく感じるもんだよ」
沙羅「ふーん、そうなんですね」
  その後、2人の会話が30分ほど続く・・・
沙羅(もうこんな時間!)
沙羅(そろそろ行かなくちゃ)
沙羅「すみません。そろそろ時間が・・・」
俊介「あ、ごめんね」
俊介「お友達と約束でもあった?」
俊介「それとも彼氏とデートかな?」
沙羅「いえ、家族の晩ご飯の用意をしなくちゃならなくて」
俊介「家族の食事の用意か。若いのに立派だねえ」
俊介「こんなかわいい子が食事を作ってくれたら、家族の人も喜んでくれるだろうね」
沙羅「はい! お兄ちゃんはいつも喜んでくれます!」
沙羅「だから、お兄ちゃんのために毎日おいしい料理を作って・・・」
沙羅「それで、お兄ちゃんにおいしいって言ってもらって・・・」
沙羅「そう! お兄ちゃんは昨日も私の料理を褒めてくれて・・・」
沙羅「だから、お兄ちゃんのために・・・」
沙羅「あっ・・・」
俊介「お兄ちゃん?」
沙羅「すみません。何でもありません・・・」
沙羅(つい余計なことベラベラしゃべっちゃった・・・)
沙羅(変な女って思われたかも・・・)
俊介「お兄ちゃんか・・・」
俊介「沙羅ちゃんはお兄さんのことが大好きなんだね」
沙羅「えっ・・・」
俊介「いいなあ、こんなかわいい妹さんに好かれて」
俊介「沙羅ちゃんのお兄さんが羨ましいよ」
沙羅(この人、私のことを変な女だと思っていない?)

〇豪華なベッドルーム
俊介「美由紀姉さん、例の子に会ってきたよ」
美由紀「そう。それでどうだった?」
俊介「かわいいし、とてもいい子だったよ」
美由紀「・・・」
俊介「「お兄ちゃんのために毎日ご飯作るんだ」ってうれしそうに話してたよ」
美由紀「お兄ちゃん・・・」
俊介「お兄さん思いの健気な子だったなあ」
美由紀「お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・」
俊介「姉さん、どうしたの?」
美由紀「何でもないわ」
美由紀「それでどうなの? うまくいきそうなの?」
俊介「どうかなあ。お兄ちゃんしか見えてないって感じだったし・・・」
美由紀「お兄ちゃん・・・」
美由紀「そんな話はもういいわ!」
俊介「えっ?」
美由紀「あんな小娘がかわいいかどうかなんて、どうでもいいのよ!」
美由紀「そんなくだらない話をしに来たのなら、もう来ないで!」
俊介「姉さん・・・」
美由紀「あなたの顔なんてもうみたくないわ!」
俊介「そんな・・・」
美由紀「・・・」
  美由紀が俊介に近づき、そのまま抱きしめる・・・
俊介「姉さん・・・」
美由紀「ごめんなさい」
美由紀「ついカッとなって・・・」
美由紀「でも、あなたしかいないの」
美由紀「私が頼れるのはあなただけなの」
美由紀「私たちは従姉弟(いとこ)だけど、私とあなたはそれ以上の関係だと思ってる」
美由紀「お願い。私にはあなたしかいないの・・・」
俊介「姉さん・・・」
俊介「ごめん、姉さんを悲しませて」
俊介「それに・・・ありがとう。俺を頼りにしてくれて」
俊介「絶対に姉さんの期待に応える」
俊介「あの子を必ず俺のほうに振り向かせてみせる」
美由紀「ありがとう。頼んだわよ」
  美由紀が俊介にキスする・・・
俊介「姉さん・・・」
俊介「俺やるよ」
美由紀「・・・」
美由紀「ここまでしてやったんだから、本当頼むわよ」

〇おしゃれな大学
俊介(姉さんがあそこまでしてくれたんだ)
俊介(やるしかない!)
沙羅「あれ?」
沙羅「今日もお仕事ですか?」
俊介「うん、今終わったところ」
俊介「それで沙羅ちゃんを待っていたんだ」
沙羅「?」
俊介「沙羅ちゃん、今度の日曜日は空いてる?」
沙羅「はい?」
俊介「その日に僕と会ってくれないかな?」
沙羅「えっ・・・」
俊介「その、この前会ったときから、どうしても沙羅ちゃんのことが忘れられなくて・・・」
沙羅「えっ!?」
俊介「この前のように仕事のついでとかじゃなくて、君と2人でゆっくり話がしてみたいんだ」
俊介「ダメかな?」
沙羅「それは、その・・・」
俊介「やっぱりお兄さん以外の男には興味がないかい?」
沙羅「それは・・・」
俊介「君のお兄さんへの気持ちは理解している」
俊介「全然変だなんて思っていない」
俊介「とても素敵なことだと思っている」
沙羅「本当に?」
俊介「ああ」
俊介「実は、その・・・僕も君と似たようなところがあってね」
沙羅「えっ!?」
俊介「それでなおさら君のことに興味があるんだ」
沙羅「そうなんですか・・・」
沙羅「わかりました。いいですよ」
俊介「本当に? ありがとう!」
俊介「それじゃあ、また後で」
沙羅「私のことを理解してくれてる人みたいだし」
沙羅「一回会うくらいならいいか」

〇豪華なベッドルーム
美由紀(俊介くん、がんばってくれてるみたいね)
美由紀(あの小娘とデートの約束をするなんて)
美由紀「じゃあ、私はその日は直樹さんと会おうかしら」
美由紀「小娘の邪魔も入らないしね」
美由紀「直樹さんからだわ」
直樹「今度の日曜日にどうしても会いたいんですが・・・」
美由紀「えっ?」
直樹「沙羅のことで相談したいことがあって・・・」
美由紀「こむす・・・沙羅ちゃんのことで?」
直樹「それじゃあ・・・」
美由紀「・・・」
美由紀「どういうこと?」
美由紀「まさか、俊介くんを使って小娘に接触したのがバレた?」

〇豪華なリビングダイニング
直樹「ごちそうさま」
直樹「今日もおいしかったよ」
沙羅「えへへ」
直樹「日曜日、美由紀さんに会ってくる」
沙羅「そうなんだ。じゃあ、また迎えに行くよ」
沙羅「あっ!」
直樹「どうした?」
沙羅(その日は俊介さんと会う日だ)
沙羅「その日は私も人と会う約束があったんだ」
沙羅「やっぱりキャンセルしようかな」
直樹「その人と約束したんだろ?」
沙羅「うん」
直樹「その人に無理矢理会う約束をさせられたのか?」
沙羅「ううん。そんなことはないよ」
直樹「じゃあ、約束を破っちゃダメだ」
沙羅「でも・・・」
直樹「それに、その日は俺も大事な話をするんだ」
直樹「だから、前のように勝手に来ちゃダメだぞ」
沙羅「・・・うん、わかった」
沙羅「・・・」
沙羅(お兄ちゃん、大事な話って何だろう・・・)

次のエピソード:第5話 「Cross the line」のその先に…【第1部最終話】

コメント

  • 男心をもてあそぶ美由紀😫
    だけどそれほどのことをしても直樹が欲しい…沙羅には負けられないという美由紀のなりふり構っていられないという感情が伝わってきます。
    いまは何も知らない沙羅ですけど俊介が美由紀からの刺客だと分かったらどうなるのか…沙羅は俊介を気に入ってる感じなだけにその反動にハラハラです。

  • ミユキ、なかなかエグいやり方をしますね😅

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