馬鈴

山縣将棋

疑心(脚本)

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〇古民家の居間
吉川 文代 「・・・すいません・・茂木さん・・・」
茂木 兵吾 「いえ、お構いなく、それで・・戻って来ない原因というのは?」
吉川 文代 「実は、今日雫ちゃんのお父様が戻って来られました」
茂木 兵吾 「おお!三井さんが戻ってきましたか!それは喜ばしい事ですな!」
吉川 文代 「はい、それで偶然にも、昇さんと英作さんと一緒の戦地に派遣されていて皆さん面識がありました・・・」
茂木 兵吾 「それは奇遇ですね!その後は一緒に行動していたという訳ですね?」
吉川 文代 「はい・・・そして、その日の午前中に敵襲があり3人は森の中へ突入したそうです」
茂木 兵吾 「・・・それでどうなったのですか?」
吉川 文代 「激しい銃撃と敵の数が圧倒的に多かった為、軍の前線は下げられ、撤退を余儀なくされたと聞きました」
茂木 兵吾 「・・・そうですか・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「撤退している最中に昇さんは胸を撃たれて亡くなったと・・・英作さんが話してくれました!しかし・・・・・・」
茂木 兵吾 「しかし・・・?」
吉川 文代 「三井さんが私に話されたのは、瀬尾さんがナイフで引田さんの胸を刺した場面を見たという事でした・・・」
茂木 兵吾 「ほ、本当ですか!?」
吉川 文代 「はい、ただ視界が悪くてはっきり見えなかったらしいですけど・・・・確実に刺していたと・・・」
茂木 兵吾 「それが本当だとすると瀬尾さんが引田さんを殺したという事になりますね・・・」
吉川 文代 「・・・それを確かめるために瀬尾さんにこの事をお話しました、本人は否定していましたが・・」
茂木 兵吾 「・・・その後、露天風呂に行ったきり戻って来なくなった・・・という経緯ですね」
吉川 文代 「はい・・・とても心配していると同時に困惑している状況です」
茂木 兵吾 「突然の事で驚かれているかもしれませんが・・・少し待ってみましょう・・・私は瀬尾さんが悪い人には見えません!」
吉川 文代 「そうですね、私も、瀬尾さんを信じています」
茂木 兵吾 「2日経って戻って来ないようなら一緒に周辺を探してみましょう」
吉川 文代 「ありがとうございます!茂木さん!」
茂木 兵吾 「いえ、いえ、今日は夜も遅いので私はこれで失礼しますね」
吉川 文代 「はい、茂木さんと話せて少しスッキリしました!」
茂木 兵吾 「何かあったらすぐに呼んで下さいね!少しだけですがお役に立てる筈です!・・・それでは失礼します」
吉川 文代 (英作さん・・きっと直ぐに戻って来るはず)

〇古いアパートの居間
吉川 文代 「英作さん結局、帰って来なかったな・・・」
ネコ「ミャオォォ」
吉川 文代 「貴方も心配してくれるの?」
ネコ「ミャ!」
吉川 文代 「フフッ、少し外を探してみようかしらね」

〇山中の川

〇草原

〇原っぱ
吉川 文代 「・・・いないわね・・・・・・どこに行ったのかしら・・・」

〇原っぱ
瀬尾 英作 「文代さん!俺、特技があるんです!見てて下さいね!」
吉川 文代 「特技?」
瀬尾 英作 「指笛です!行きますよ!」
  ピュュュュュ〜!
瀬尾 英作 「ホラ!ツバメが来ました!」
吉川 文代 「凄いですね!鳥を呼べるなんて!」
瀬尾 英作 「アハハッ!」
吉川 文代 「フフフッ!」
瀬尾 英作 「文代さんもやって見て下さい!」
吉川 文代 「えっ!わ、私は無理ですよ!」
瀬尾 英作 「ホラ!こうやって!」
吉川 文代 「こうですか?」
瀬尾 英作 「いい感じですね!それで吹いて見て下さい!」
吉川 文代 「・・・・・・あれ?・・・音が出ない?」
瀬尾 英作 「アハハッ!もうちょと練習が必要ですね!」
吉川 文代 「難しいですね!フフッ」

〇原っぱ
吉川 文代 「・・英作さん・・・・」

〇大きな日本家屋
  次の日

〇古民家の居間
茂木 兵吾 「おはようございます!茂木です、文代さんおられますか!」
吉川 文代 「茂木さん!おはようございます!」
茂木 兵吾 「英作さんは戻って来られましたか?」
吉川 文代 「それが・・・まだなんです・・・」
茂木 兵吾 「そうですか・・・では一緒に探しに行きましょう」
吉川 文代 「・・・・その件なんですが・・・大丈夫です!」
茂木 兵吾 「えっ?でも!」
吉川 文代 「・・・約束したんですよ・・・春の祭り一緒に行くって・・英作さんは約束を一方的に破る人ではありません。きっと戻ってきます」
茂木 兵吾 「・・・・・・分かりました!文代さんは芯の強い人ですね!6日後のお祭りまでまだ時間はあります、信じて待ちましょう!」
吉川 文代 「すいません!茂木さん!わざわざ来てくださったのに!」
茂木 兵吾 「いいんですよ!私も文代さんと英作さんの幸せを願っていますから!」
吉川 文代 「ありがとうございます!」

〇古いアパートの居間
吉川 文代 (なんか歩き疲れたせいかしらね?眠くなって来たわ・・少しだけ横になりましょう──)
吉川 文代 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
吉川 文代 「風の音が心地いいわ・・・」

〇古民家の居間
瀬尾 英作 「ただいま!文代さん!」
吉川 文代 「おかえりなさい!英作さん!もう6月ですよ!今まで何処にいってらしたんですか?」
瀬尾 英作 「怒らないで下さい!それより、ちょっと見せたいものがあるんですよ!ついて来て下さい」
吉川 文代 「はい!」

〇山中の川
吉川 文代 「何処ですかここ?何だか怖いです!」
瀬尾 英作 「去年僕と魚を取りに来た場所です、覚えていますか?」
吉川 文代 「あ、覚えてます!あの時は2人とも濡れちゃたんですよね!」
瀬尾 英作 「ハハッ懐かしいですね!」
吉川 文代 「思い出しました!あるものを見る約束してました!」
瀬尾 英作 「はい!そうです!もうそろそろですよ!」

〇山中の川

〇山中の川
吉川 文代 「わぁぁぁ!凄い!綺麗!」
瀬尾 英作 「本当に綺麗ですよね!」
吉川 文代 「英作さんと一緒に見れて嬉しいです!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「英作さん?」
吉川 文代 「英作さん!」
吉川 文代 「何処ですか!英作さん!」
吉川 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「・・・嫌・・・1人にしないで・・・・・・」

〇古いアパートの居間
吉川 文代 「待って下さい!」
吉川 文代 「・・・・・夢・!?・・のようね・・・」
瀬尾 英作 「大丈夫ですか?うなされてましたけど?」
吉川 文代 「はい・・・大丈夫です・・・」
吉川 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「英作さん!」
瀬尾 英作 「はい?」
吉川 文代 「夢じゃ無いですよね?」
瀬尾 英作 「そうですね、おはようございます!」
吉川 文代 「英作さん!いったい今まで何処にいってたんですか!探しましたよ!」
瀬尾 英作 「すいません!露天風呂入ってたら急に思い出したんですよ!」
吉川 文代 「何をですか?」
瀬尾 英作 「菊枝の事をです、慌てて菊枝の眠る場所に行ったんですよ!何も言わずに行ってしまって申し訳ありませんでした!」
吉川 文代 「そうだったんですか・・・」
瀬尾 英作 「そして菊枝に報告して来ました!」
吉川 文代 「報告?」
瀬尾 英作 「はい!文代さんと暮らしていきたい!そう報告してきました!」
吉川 文代 「・・・そうだったんですね!英作さん以外に男気ありますね!見直しました!」
瀬尾 英作 「それじゃぁ、今まで俺が頼りないヤツだった、みたいな言い方じゃないですか!心外ですよ!」
吉川 文代 「いきなり何処かに行ってしまうので、ちょっと意地悪したくなっただけです!」
瀬尾 英作 「ハハッ本当に申し訳ありません!」
吉川 文代 「瀬尾さんが逃げ出したかもしれないと思いました!」
瀬尾 英作 「文代さん!僕は逃げないですよ!あと三井さんが話されていた件については春祭りの前日に文代さんに真実をお伝えします!」
吉川 文代 「私は瀬尾さんを信じていますから!」
瀬尾 英作 「ありがとうございます!」

次のエピソード:真実と決着

コメント

  • 英作さん、無事帰還!それにしても、この飄々とした様子は彼ならではですねw 文代さんの懐の広さもなかなかなもので!
    戦地でのことの真相、とても気になります!

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