真実と決着(脚本)
〇大きな日本家屋
5日後
〇古民家の居間
瀬尾 英作 「おはようございます!文代さん!」
吉川 文代 「おはようございます!」
瀬尾 英作 「今日はいい天気ですので一緒に散歩に行きませんか?」
吉川 文代 「いいですよ!行きましょう!」
〇神社の石段
吉川 文代 「やはり天気の良い日に歩くのは気持ちがいいですね!」
瀬尾 英作 「・・・そうですね!・・・今日は少しだけ長い距離を歩きます・・・」
吉川 文代 「・・・どこまで行くのですか?」
瀬尾 英作 「秘密です!」
〇白
〇山中の坂道
吉川 文代 「ハァハァ・・・まだ歩くのですか?」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・もう少しです・・・」
吉川 文代 「・・・わ、分かりました・・・」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
〇湖畔
瀬尾 英作 「着きましたよ!文代さん!」
吉川 文代 「やっとですね、少々疲れました」
瀬尾 英作 「どうですか?この景色!」
吉川 文代 「わぁ!凄い!」
瀬尾 英作 「ヘヘッ!僕も最初見た時は凄くビックリしましたよ!」
吉川 文代 「英作さん!本当に色んな場所知ってますね!」
瀬尾 英作 「この場所はどうしても文代さんと来たかったんですよ!とても嬉しいです!」
吉川 文代 「私も英作さんと来られて嬉しいです!」
瀬尾 英作 「文代さん、向こう側にも行けるので行ってみましょう!」
吉川 文代 「本当ですね!行きましょう!」
瀬尾 英作 「さぁ文代さんこちらへ!足元に気をつけて下さいね!」
〇睡蓮の花園
瀬尾 英作 「気持ち良い場所ですね!」
吉川 文代 「凄い!睡蓮花がいっぱいです!」
瀬尾 英作 「ええ!自然豊かな場所に来ると心が落ち着きます」
吉川 文代 「英作さんと一緒にいると知らない事が知れて驚きの連続です!」
瀬尾 英作 「実は今日ここに来たのはある理由があるからです・・・」
吉川 文代 「理由?ですか?」
瀬尾 英作 「はい!この事はちゃんとお伝えしないと前に進めないと思います・・・そして決着を文代さんに着けて欲しいと思ってます」
吉川 文代 「・・わかりますよ・・・伝えたい事・・・・ 昇さんの事ですよね?」
瀬尾 英作 「そうです、今から話す内容は全て本当です!」
吉川 文代 「どんな真実があっても・・・私は受け入れるつもりです・・・」
瀬尾 英作 「分かりました!三井さんが話していた事に関してですが、俺が昇を殺したという話は・・」
吉川 文代 「ウソですよね!きっと三井さんが見間違えただけですよ!英作さんがそんな事するはずが・・・」
瀬尾 英作 「僕が昇を殺しました!」
吉川 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「・・・・・・・・・本当ですか?」
瀬尾 英作 「胸を打たれて亡くなったという事もすべて嘘です!僕がナイフで昇の胸を刺しました!」
吉川 文代 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「・・・なぜですか?」
瀬尾 英作 「あの時・・・──」
〇霧の立ち込める森
引田 昇 「大丈夫か!英作!」
瀬尾 英作 「ああ!敵がすぐそこまで迫ってる!」
引田 昇 「隠れながら慎重に退却しよう!」
瀬尾 英作 「伏せろ引田!」
「くっ・・・!」
瀬尾 英作 「おい!引田!何ともないか!引田!」
瀬尾 英作 「ひ、引田!お前、ひ、左足が!」
引田 昇 「俺を置いて逃げろ!英作!」
瀬尾 英作 「ダメだ!俺が担いでやる!」
引田 昇 「逃げろ!英作!」
瀬尾 英作 「・・・・・・引田」
引田 昇 「そんな事したら2人とも撃たれて終わりだ!お願いだから、お前だけでも逃げきってくれ!」
瀬尾 英作 「引田・・・・・・分かったよ・・・」
引田 昇 「英作!最後に頼みがあるんだ!聞いてくれないか?」
瀬尾 英作 「ああ、何でも言ってくれ!」
引田 昇 「ありがとうな!恩に着るよ英作!」
瀬尾 英作 「な、何だよコレ!?」
引田 昇 「俺の胸をそのナイフで刺し欲しい!敵に殺されるのは嫌なんだ!戻ったら文代には胸を打たれたと伝えてくれ!」
瀬尾 英作 「ほ、本気で言ってるのか?」
引田 昇 「本気だ!それと、戻ったら文代を元気にさせてやってくれないか?無茶を言っているのは承知だが、頼めるのは英作しかいないんだ!」
瀬尾 英作 「・・・でも!」
引田 昇 「頼む!英作!」
瀬尾 英作 「引田・・・お、俺・・・」
引田 昇 「はやく!英作!時間がない!」
瀬尾 英作 「ううっ・・・くっ!」
ナイフを手に取る英作!
引田 昇 「英作!お前に会えて良かったよ!」
瀬尾 英作 「ううっ・・・」
引田 昇 「さぁ・・・・・・」
瀬尾 英作 「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
瀬尾 英作 「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
〇睡蓮の花園
瀬尾 英作 「これが真相です」
吉川 文代 「・・・・・・・・・昇さん・・・・・・・・」
瀬尾 英作 「・・・文代さん・・・決着を付けて下さい!」
吉川 文代 「ナイフ!?」
瀬尾 英作 「・・・今の話を聞いて納得出来ない、俺の事を恨んでいるのならば、俺をそのナイフで刺して下さい!」
吉川 文代 「えっ?それは・・・」
瀬尾 英作 「俺は身寄りがいませんから、居なくなった所で誰も困りません!刺した後は湖にでも沈めて下さい」
吉川 文代 「じょ、冗談ですよね・・・」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉川 文代 「・・・・・・分かりました!」
ナイフを手に取る文代
瀬尾 英作 「覚悟は出来ています!」
吉川 文代 「すいません・・・英作さん!」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ポチャン!
瀬尾 英作 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
吉川 文代 「目を開けて下さい、英作さん!」
瀬尾 英作 「・・・はい」
吉川 文代 「ナイフは湖に投げました!」
瀬尾 英作 「・・・・・・そうですか・・・・・・」
吉川 文代 「・・・昇さんの亡くなった真相は、本当だと判断しました・・・私は英作さんの話してくれた事を受け入れます」
瀬尾 英作 「ありがとうございます・・・最初に話しておくべきでしたが、なかなか言い出せずにずっと心に霧が立ち込めた状態でした・・・」
吉川 文代 「英作さん!・・・霧は晴れましたか?」
瀬尾 英作 「はい・・・正直に話したら全ての想いが壊れてしまうような気がして、とても怖かったですが、ようやく心が晴れました」
吉川 文代 「泣かないで下さい!英作さん!」
瀬尾 英作 「・・・不甲斐ない姿をお見せしてしまい・・ 申し訳ありません!」
吉川 文代 「英作さんを恨んでなどいませんし、まだ私は答えを出していませんよ?」
瀬尾 英作 「えっ?」
吉川 文代 「これは、英作さんが前に進む為のもので、私が進む為のものではありません!約束した通り私は明日のお祭りで答えを出します」
瀬尾 英作 「そ、そうでしたね!・・・明日は明日で緊張するなぁ」
吉川 文代 「本当ですか?そう見えませんけど?」
瀬尾 英作 「ハハハッ!断られた時はしょうがないですね」
吉川 文代 「全ては明日ですよ!」
瀬尾 英作 「分かりました!今日はもう戻りましょう、 文代さん!ちょっと遠いお散歩に付き合ってくれてありがとうございました」
吉川 文代 「いえ、こちらこそ素敵な場所を教えて頂きありがとうございます!」
〇神社の石段
吉川 文代 「着きましたね、長く歩いたので疲れました!」
瀬尾 英作 「長い距離も、ここに戻って来ると安堵しますね!」
吉川 文代 「分かります!その感覚!」
瀬尾 英作 「文代さん!俺は今日、近くの宿に泊まるので 一晩考えて下さい!」
吉川 文代 「・・・分かりました。今日はそうさせてもらいますね!」
瀬尾 英作 「・・それでは明日のお祭りを楽しみにしてい ます!」
吉川 文代 (英作さんの為にも、私も自身にちゃんと向き合わないといけないわね)
茂木 兵吾 「おお!探しましたよ!文代さん!万が一の事があったのかと心配しておりました!」
吉川 文代 「大丈夫ですよ!茂木さん」
茂木 兵吾 「疑っていた訳ではないのですが・・・英作くんの話を聞いた後でしたので・・・」
吉川 文代 「その件に関してですが今日、真相を話してもらいました!」
茂木 兵吾 「どうだったのですか?」
吉川 文代 「実は──」
茂木 兵吾 「そうだったのですか・・・それで文代さんは受け入れる事が出来たのですか?」
吉川 文代 「はい!受け入れました!」
茂木 兵吾 「・・・そうですか、文代さんが納得されたのならこの話は私からは口をだしません。変な詮索をして申し訳ありません」
吉川 文代 「いえ、いつも茂木さんに心配かけて申し訳ないです!」
茂木 兵吾 「心配性なだけですから、ハハッ!」
吉川 文代 「明日はお祭りですね、茂木さんも参加されるのですか?」
茂木 兵吾 「はい!雨が降らないといいですね!」
吉川 文代 「きっと晴れますよ!」
茂木 兵吾 「そうですね!アハハッ!」
〇白
〇大きな日本家屋
春の祭り当日
ご無沙汰してます。
色々な方の長編を読むことにしまして、順番に回っていて帰ってくるのに時間がかかりました申し訳ありません。
秘められた真実がいよいよ明かされてワクワクしました。
やはり瀬尾はいい男で友情がありましたね‼
安堵しました。
もしやもしやと、ここへ来てキャラクターがひっくり返るのかな?と思ったりしました💦
純文学的な趣のある作品ですね😭
早く2人幸せになって欲しい!英作さんの真剣さが伝わりました!
英作さんの告白シーン、とても緊張感がありましたね!普段の飄々として余裕あり気な様子もなく、必死さが伝わってきました。次は文代さんの番ですね!