華学戦隊サイエンジャー

叶野遥

第十二話:デモンズ・ステップ(前編)(脚本)

華学戦隊サイエンジャー

叶野遥

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〇怪しげな祭祀場
カイゼル「・・・・・・」
「誰かいるのか?」
ヤン「あっ」
ヤン「カ、カイゼル様!?」
カイゼル「・・・・・・」
カイゼル「おお、お前は・・・ヤンだったな」
ヤン「はい! お久しゅうございます!」

〇勉強机のある部屋
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
赤根武瑠(タケル)「電話・・・いや、メッセ・・・」
赤根武瑠(タケル)「いやいや、 既読無視でもされたら 立ち直れないし・・・」
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・・・・」
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
赤根武瑠(タケル)「えぇ~い、ままよ!」
???「・・・もしもし?」
赤根武瑠(タケル)「あっ・・・は、ハナさん? 俺です、武瑠!」
櫻井華(ハナ)「着信画面見てるからわかるわよ 何の用?」
赤根武瑠(タケル)「あ、あのですねぇ・・・」

〇怪しげな祭祀場
カイゼル「・・・・・・」
  みんな
  ニコニコしている
カイゼル「皆の者、我を目覚めさせるための日々 大儀であった」
イン「もったいなきお言葉・・・!」
レジーナ「ちょっと 泣くなんてみっともないわよ、イン」
イン「し、失礼しました」
カイゼル「よい、レジーナ それだけ我との再会を喜んでくれているということなのだからな」
レジーナ「カイゼル様 このレジーナも カイゼル様のお目覚めの日を 今か今かと心待ちにしておりました」
レジーナ「今こうしてお目通りが叶い 感無量でございます」
カイゼル「ははは 嬉しいことを言うてくれるなぁ」
カイゼル「・・・ところで」
「・・・・・・!!」
カイゼル「この話し方、堅苦しいし古臭くないか? もっとフランクに話そう」
「・・・・・・・・は?」
イン「えっ・・・ しかしそれではカイゼル様の威厳が」
カイゼル「どうせ今はお主たちしかおらんだろう この星を完全に手中に収めて 群衆の前に出るときにだけで良くないか」
イン「ええ・・・」
レジーナ「カイゼル様がそれでよろしいなら」
イン「良いのですか、姫」
レジーナ「だってカイゼル様が望まれるなら 叶えるのが私たちでしょ」
イン「そうですが・・・」
イン「わかりました 私ももう少し柔らかな表現に努めます」
カイゼル「そうしてくれ 起きて早々堅苦しいのは肩がこるからなぁ」
ヤン「ところで、カイゼル様 今後はどのように活動なさるのですか?」
ヤン「先程はこの星を手中に・・・と おっしゃってましたが」
カイゼル「ああ・・・ お前たちが送ってくれたエネルギー、 とても上質なものだった」
カイゼル「この数週間は特に良いものだったぞ おかげで目覚めることができた」
イン「はっ」
カイゼル「あの素晴らしいエネルギーは どこから収集していた?」
ヤン「この地球上に生えている植物からです」
カイゼル「植物・・・」
カイゼル「そうか、生物は命の珠でも取らんと良質な物はなかなか手に入らぬが 植物は違ったのか それは盲点だったな」
イン「幸い、地球には植物が大量に生息していますので エネルギーの収集には事欠きませんでした」
レジーナ「生物を相手にしていると余計な邪魔も入って手間ばかりかかっていたけど」
レジーナ「植物なら広く浅く収集できたから 邪魔も入らず快適だったわね」
ヤン「本当だな 奴らの盲点を突けたのはでかかった」
カイゼル「邪魔とはなんのことだ」
イン「ああ、それは・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
櫻井華(ハナ)「タケル!お待たせ」
赤根武瑠(タケル)「あ、ハナさん」
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
櫻井華(ハナ)「なによ? ジッと見て」
赤根武瑠(タケル)「ハナさんて 私服ってズボンだけですか?」
櫻井華(ハナ)「なによ急に?」
赤根武瑠(タケル)「いや、せっかくデートに誘ったのに 色気ないカッコしてるなって思って」
櫻井華(ハナ)「!!」
赤根武瑠(タケル)「いって!」
櫻井華(ハナ)「色気が無くて悪かったわね! 大体デートってなによデートって! こっちはそんなつもりなかったわよ!」
赤根武瑠(タケル)「えーなんでですか! 俺言いましたよね? ショッピングしましょうって」
櫻井華(ハナ)「買い物に付き合うだけで なんでデートになるのよ」
赤根武瑠(タケル)「二人で旅行した仲じゃないですか」
櫻井華(ハナ)「あんたが勝手についてきたんじゃないの!」
赤根武瑠(タケル)「あーもうめんどくさいな」
櫻井華(ハナ)「!?」
赤根武瑠(タケル)「いいから、俺が華さんとデートしたいんですから! 付き合ってくださいよ! これも経験ですから!ね?」
櫻井華(ハナ)「わ・・・わかったわよ・・・」
赤根武瑠(タケル)「よし!それじゃ早速!行きましょ!」
櫻井華(ハナ)「あ、ちょっと!」

〇怪しげな祭祀場
カイゼル「サイエンジャーか」
ヤン「エネルギーを収集に向かう先々に現れてはモンスターたちを倒してしまうんです」
ヤン「おかげで予定が大幅に狂った」
カイゼル「この地球にはそのような文明があったのか」
イン「いえ 文献を見てもそのような記述はどこにも」
イン「なぜあのような力を持っているのかは不明ですが 唯一我々に対抗できる力であることは 間違いないです」
カイゼル「ふむ・・・そいつは 我がこの星を収めるうえで邪魔だな」
レジーナ「・・・・・・」
カイゼル「いいだろう レジーナ、こちらへ」
レジーナ「はい」
  カイゼルは
  レジーナのひたいに
  てをかざした
レジーナ「!!」
  レジーナに
  きょうりょくな
  ひかりが
  そそぎこまれる!
レジーナ「・・・・・・」
イン「姫!」
カイゼル「心配いらん 新たな力を授けてやっただけだ いきなりだったから 器がちょっと驚いたんだろう」
イン「ぶ、無事ですか」
カイゼル「そうヤワにはできとらん」
ヤン「・・・・・・?」
レジーナ「うう・・・今の、なに・・・?」
イン「姫!具合は? どこも苦しくないですか」
レジーナ「え、ええ・・・大丈夫」
レジーナ「カイゼル様、今のは?」
カイゼル「我が目覚めた今 生命エネルギーの収集作業は終わりだ」
カイゼル「これからは新たな仕事をお前たちに与える」
「!!」
カイゼル「我はこの星の全ての植物エネルギーを 我が食糧にする」
カイゼル「これほどの良質で大量のものなら 数十年は我が腹を満たしてくれるだろう」
カイゼル「そのためには 現在この星を支配している生物たちが 邪魔だ」
カイゼル「ゆくゆくは人間を始めとした動物たちは 全て滅する必要がある」
「・・・・・・!!」
レジーナ「すべて・・・」
カイゼル「まず そのサイエンジャーとやらの殲滅が 急務である」
カイゼル「レジーナに与えた力を使い奴らを滅ぼせ」
イン「命を奪えと・・・」
カイゼル「レジーナに与えた力は 存在全てを消し去る力だ 面倒なものは残しておきたくないのでな」
イン「はっ」
レジーナ「・・・・・・」
ヤン「姫?」
レジーナ「・・・カイゼル様」
カイゼル「どうした?レジーナ」
レジーナ「お言葉ではございますが・・・」
カイゼル「うむ?」
レジーナ「ただ食糧庫になさっては いつかは終わりが来てしまいます」
レジーナ「今までのように 食糧が尽きては次の星へと 渡り続けるのは骨が折れます」
カイゼル「確かに 我は特別食事が好きだからなぁ」
レジーナ「人間たちは様々なエネルギーを 生み出す研究をしています 植物を育てることもしているようですし・・・」
レジーナ「いつまでもカイゼル様が 食事をできるよう 人間たちにはエネルギー開発を 永久に続けさせるというのは いかがでしょうか」
ヤン「姫・・・」
カイゼル「ふむ・・・」
レジーナ「・・・・・・」
「・・・・・・」
カイゼル「わかった お主の言うことも一理ある」
カイゼル「ならば人間どもは 我らが利用しやすいように 調整をすることにしよう その指示は追って出す」
レジーナ「はい」
カイゼル「ただしサイエンジャーは滅ぼせ 我に歯向かうものは全て消す それは変わらん」
レジーナ「・・・・・・」
カイゼル「さて・・・これからが楽しみだ」

〇渋谷のスクランブル交差点
倉石 龍太(リュウタ)「悪いな 付き合わせて」
碧川瑛士(エイジ)「いいよ タケルもハナちゃんも忙しいみたいだしね」
碧川瑛士(エイジ)「あれ・・・あそこにいるのって」
倉石 龍太(リュウタ)「ん?」
葉隠拓郎(ハガクレ)「・・・・・・」
倉石 龍太(リュウタ)「何を観察しているんだ?」
碧川瑛士(エイジ)「聞いてみようぜ」
葉隠拓郎(ハガクレ)「・・・・・・」
碧川瑛士(エイジ)「ハガクレさん 何やってんの」
葉隠拓郎(ハガクレ)「うわあっ!」

〇渋谷のスクランブル交差点
櫻井華(ハナ)「・・・・・・?」
赤根武瑠(タケル)「どうしました?ハナさん」
櫻井華(ハナ)「今、叔父様の声がしたような」
赤根武瑠(タケル)「えー?」
葉隠拓郎(ハガクレ)「隠れて!」
碧川瑛士(エイジ)「え?」
赤根武瑠(タケル)「いませんよ?」
櫻井華(ハナ)「そう?気のせいかしら」
赤根武瑠(タケル)「それよりあそこの店入ってみませんか! なんかめっちゃキラキラしてる!」
櫻井華(ハナ)「あ、ちょっと待ってよ」
葉隠拓郎(ハガクレ)「・・・よかった」
碧川瑛士(エイジ)「で? 二人をストーキングして何してんすか」
葉隠拓郎(ハガクレ)「ス、ストーキングだなんて人聞きの悪い 危険なことが無いか護衛してるだけだよ」
碧川瑛士(エイジ)「どんな危険?」
葉隠拓郎(ハガクレ)「それは・・・・・・」
  エイジは
  ニヤニヤしている
葉隠拓郎(ハガクレ)「・・・なんだよその顔」
碧川瑛士(エイジ)「別に 父親代わりは大変ですね?」
葉隠拓郎(ハガクレ)「う、うるさい」
倉石 龍太(リュウタ)「研究所の方はいいんですか?」
葉隠拓郎(ハガクレ)「ああ、こいぬが留守番してる 何かあればちゃんと転送してくれるよ」

〇研究所の中
こいぬ「わん!」

〇渋谷のスクランブル交差点
葉隠拓郎(ハガクレ)「とにかく 今俺は護衛に忙しいから じゃあね!」
倉石 龍太(リュウタ)「どうしたんだ ハガクレさんは」
碧川瑛士(エイジ)「親心って奴だねぇ」
倉石 龍太(リュウタ)「え?」

〇雑貨売り場
  みせには
  キラキラした
  しょうひんが
  たくさんならんでいる
櫻井華(ハナ)「キレイ・・・可愛い」
赤根武瑠(タケル)「ホント どれもめっちゃキラキラしてて 可愛いですね」
赤根武瑠(タケル)「これなんか ハナさんに似合いそう」
櫻井華(ハナ)「でも そんなもの着けてたら いざって時に戦えないわ」
赤根武瑠(タケル)「えーそうですか? ・・・じゃあ」
赤根武瑠(タケル)「これは?」
櫻井華(ハナ)「気になっちゃって動けないわ 可愛すぎて」
赤根武瑠(タケル)「エーダメですかぁ アクセサリーは嫌ですか」
櫻井華(ハナ)「キレイとは思うわよ でも実用を考えるとちょっと」
赤根武瑠(タケル)「はー ホント、色気が・・・」
櫻井華(ハナ)「何か言った?」
赤根武瑠(タケル)「いいえなんでも! 他の売り場も見てこようかなっと」
櫻井華(ハナ)「・・・・・・」
櫻井華(ハナ)「・・・どれも素敵」
櫻井華(ハナ)「はっ!」
櫻井華(ハナ)「ダメダメ こんなの着けていられる暇なんて 私には無いわ」
赤根武瑠(タケル)「・・・・・・」
赤根武瑠(タケル)「あのー すみません店員さん」

〇渋谷のスクランブル交差点
ヤン「どうする?姫」
レジーナ「奴らをおびき出すしかないわね」
イン「では 私がこの一帯のエネルギーを 吸収しましょう」
ヤン「ああ、頼む」

〇渋谷のスクランブル交差点
  まちの
  エネルギーが
  きゅうしゅうされていく!
男性「う・・・」
女性「・・・・・・」
  まちのひとが
  つぎつぎに
  たおれていく!

〇研究所の中
  イシュタリアツリーが
  ひかっている!
こいぬ「わ、わん!」
こいぬ「わんわんわんわんわわん!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  サイエンジャーに
  こいぬから
  れんらくがとどいた!

〇渋谷のスクランブル交差点
「!!」
倉石 龍太(リュウタ)「行きます」
碧川瑛士(エイジ)「久々の仕事だね」
葉隠拓郎(ハガクレ)「頼んだよ、二人とも」

〇雑貨売り場
赤根武瑠(タケル)「ハナさん!」
櫻井華(ハナ)「ええ 行きましょう!」

〇ポップ
赤根武瑠(タケル)「華学戦隊!」
「サイエンジャー!」

次のエピソード:第十三話:デモンズ・ステップ(後編)

コメント

  • 目覚めたカイゼルが少しおちゃめでふふっと笑っちゃいました。けど言ってることは残酷……。レジーナは新たな力を与えられましたが、彼女の気持ちを考えると彼女にとっては辛い展開になりそうですね😥
    タケルは天然なのか強引なのか、彼の行動にも思わずクスっとなってしまいました☺️ほっこりデートだったのになぁ……二人の恋もうまく行きますように♥

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