第三話 狂犬達の戯れ(脚本)
〇綺麗な一人部屋
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ん」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「はイ?」
愛瀬「生きてる?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「──寝坊ッ!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「すみません!すぐに──」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(あ・・・)
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「昨晩はごめんなさい 自分のことしか考えなくて──」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「し、週末は謹慎するので! 二人は羽を伸ばしてください!」
愛瀬(まなせ)「こっち来れる?話がある」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「は、い──」
〇シンプルな玄関
(話って?昨日のこと?)
(昨日──)
〇おしゃれなリビングダイニング
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「心底、見損なったよ」
失望されたよね?
『離婚』されちゃう?
〇シックな玄関
(ううん、信じよう。愛瀬さんを──)
〇おしゃれなリビングダイニング
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「あの、昨晩は──」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「ストップ!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「・・・」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「昨日は悪かった。言い過ぎたよ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「へ?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「あ、謝らないでくださいッ! 私が悪かったんです!」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「そう?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「それで、レンタルの件だけど──」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「それも、もういいんです!」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「でも、嫌なんだろ?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「だ、だだいじょーぶ!です! 二人のこと、信じてマスしッ!」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「そうか」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「イイコ イイコ!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ふへっ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(ほらね、大丈夫)
餘目 天花(あまるめ あまか)「はい!仲直りしたとこで~」
餘目 天花(あまるめ あまか)「着替えて、鈴ちゃん!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「え?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「皆でデート行くよ♥️」
〇黒
〇遊園地
「おー!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ゆ、う、えん──ち・・・」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「初めて──来た」
餘目 天花(あまるめ あまか)「嘘でしょ!?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「ずっと仕事や介護に縛られてたもんな」
餘目 天花(あまるめ あまか)「不憫すぎる・・・」
餘目 天花(あまるめ あまか)「よし、じゃ、」
餘目 天花(あまるめ あまか)「今日は最ッ高~の思い出作ろ?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「一ッ生~ォ、忘れられないヤツ!!」
〇メリーゴーランド
〇ジェットコースター
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「行こうぜ!」
「遠慮しまーす!」
〇遊園地の広場
〇お化け屋敷
〇観覧車のゴンドラ
餘目 天花(あまるめ あまか)「あっと言う間に夕方ね」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「今日はありがとうございました」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「なんだよ、かしこまって」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「だって、こんなに楽しかったの 生まれて初めて!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「も~!今日はまだ終わってないよ?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「もう一ヶ所寄りたいんだわ」
〇混雑した高速道路
〇走行する車内
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「結構走りますね」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「寝てな クマ、ひどいぞ?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「子守唄かけてあげる」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「外国語?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「ラテン語よ、レクイエムなの」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ふぅん?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(物知りですごいな 準備もいいし──)
〇黒背景
「クゥ~ン」
──夢?
あの日の、チワワ?
ごめんなさい
拾ってすぐに、また捨てて
あれから優しい飼い主様に巡り会えたの?
それとも──
「着いたよ、唯鈴」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「はっ!」
〇ラブホテル
「ここは──ッ!?」
〇ラブホテルの受付
フロントスタッフ「いらっしゃいませ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(顔見えないようになってるんだ)
フロントスタッフ「三名様でのご予約ですね」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(予約!?)
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(しかも、3人で入るの!?)
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(え?何?ナニするの?)
フロントスタッフ「ごゆっくり──」
〇エレベーターの中
〇エレベーターの前
〇ラブホテルの部屋
「わぁ!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「ふわっふわ♥️天蓋ってアガるよね~♥️」
餘目 天花(あまるめ あまか)「二人もおいでよ~!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「へ?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「ん?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ここで・・・ナニするの?皆で?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「プッ!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「大丈~夫、3Pなんてしないから! 見てよ、これ!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「わぁっ!ファミレスみたい!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「今時のラブホは Hするだけの場所じゃないの♪」
餘目 天花(あまるめ あまか)「エレベーターにも女子会プランの 案内あったっしょ?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(見てなかった)
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「そういうことだ、ゆっくりしようぜ」
〇水玉2
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「パクッ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「おいしすぎるッ!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「昼も夜も外食なんて、口が腫れちゃうッ!」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「ちょー、大袈裟だって! 俺が普段イジメてるみたいじゃん」
餘目 天花(あまるめ あまか)「財布も持たせないとか、立派なDVでしょ?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「私がお金に疎くて管理してもらってるの」
餘目 天花(あまるめ あまか)「あっ、ふーん ご馳走さまですぅ」
餘目 天花(あまるめ あまか)「食後のココア頼もうっと♪ アイスにしとくね!」
〇ラブホテルの部屋
餘目 天花(あまるめ あまか)「はぁ~ん、至福♥️」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「よく飲めるね ハニーなんとかトーストのあとで」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「大丈夫か?そんな甘いものばっか──」
餘目 天花(あまるめ あまか)「今日は特別ですぅ!思い出の味だもん!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「でしょ?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「だな!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(んん?)
何だろう──ココアの匂いのせい?
心が ザワつく・・・
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「一昨日のことですよね?思い出って──」
餘目 天花(あまるめ あまか)「あ!いっけな~い!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「そういえば鈴ちゃん ココア、ダメだったよね?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「ごめ~ん!大丈夫?匂いとか」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「え?あ、うん平気ッ! 愛瀬さんも毎朝飲むし、香る程度なら」
餘目 天花(あまるめ あまか)「ふーん、愛の力で克服したワケだ?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「昔は匂いだけで吐いてたのにね!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ちょっと!その話は──」
餘目 天花(あまるめ あまか)「きゃっ!?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「冷たッ!」
餘目 天花(あまるめ あまか)「ごめ~ん、いきなり立ち上がるから──」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(あぁ、一張羅が・・・)
ココアの香りが
楽しい気分を蝕んでいく──
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「またココアの難か 脱ぎな、唯鈴」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「脱ッ!?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「ランドリーサービスあるからさ フロントに渡してくるよ」
餘目 天花(あまるめ あまか)「お風呂入れるね!温まってきなよ!」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ありがとう」
〇清潔な浴室
入浴剤で香りを上書きする
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(二人の言う思い出って このホテルのココアが有名なのよ、きっと)
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(いい匂い)
でも 落ち着かない・・・
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(洗濯断れば良かった 早く帰りたい)
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「あっ!」
〇ラブホテルの部屋
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(暗っ)
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「すみません 何か着るものありますか?浴衣とか──」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「って、えぇ!?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「な・・・!ななな!なんで 二人とも脱いでッんですか!?」
餘目 天花(あまるめ あまか)「鈴ちゃんだけ裸じゃ恥ずかしいでしょ?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「それに、腹を割って話したくてな」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「『裸の付き合い』ってやつだ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「ハハ・・・仲良くなれました?」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「お前と話したいんだよ、唯鈴」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「こいよ」
ベッドを叩く彼の動作に、胸が高鳴る
仁藤 唯鈴(にとう いすず)(なんか・・・エッチい)
舞い上がった私は 違和感に気づけなかった
夫の横に平然と座る裸の友にも
ベットを叩いたときの乾いた音にも
夫の指に結婚指輪が無かったことにも──
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「はい、これ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「えっ!?」
〇壁
離 婚 届 ──?
〇ラブホテルの部屋
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「な、これ!いっ、意味が分からな──」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「あ!ドッキリ──ですね? 驚いちゃいましたよ!もう!」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「いや、マジで離婚してくれ」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「理由はセックスレスでお前『有責』な」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「セッ──!?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「た、確かにご無沙汰でしたけど レ、スだなんて!」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「月二回は誘ってたのに何年してない?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「それは・・・ アレとか、介護とかのタイミングで──」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「そっちから誘うとかできたろ?」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「でも、前は──」
かつての愛瀬「無理すんな。子供のことはさ 親父が落ち着いたら考えよう」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「はー」
仁藤 愛瀬(にとう まなせ)「記録もつけてたんだ 言い逃れできると思うなよ」
仁藤 唯鈴(にとう いすず)「か、介護日記なら私も──」
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いやー、救いがない。
ずっと谷展開のデッドヒートですよ。
DNPコンの正解が絶望なら、チワワはドンピシャですね。離婚の行方は、果たして…。次いきます。
こんばんは!
贅沢に一気読みしてます👍
あの楽しい遊園地の思い出は最後の記念だったんですね😭
ついに堪忍袋の緒が切れるのか、覚醒するのか…本当に楽しみです!
全員でラブ〇突入で、この後一体どうなってしまうのか!?と思っていたら、想像の斜め上でした!
次回、ついに主人公が覚醒を迎えそうで、どういう方向性に変容するのかも楽しみです^^(いきなり豹変? それともじわじわくるのか…)