ネクタイリング

サトJun(サトウ純子)

ネクタイリング再び(脚本)

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〇古民家の居間
  そこは、車で40分くらい山に入ったところにある
  鄙びた宿だった。
  玄関を開けた時には
  部長の背中越しに見える
  無表情の杏奈足元に
  数滴の血痕が落ちていて
  杏奈の手元には
  血のついたナイフが見え隠れしていた

〇古民家の居間
岩本玲菜「杏奈っ!」
倉島昇「遅かったか・・・」
岩本玲菜「昇くん!救急車、救急車!」
倉島昇「は、はい!」
河村杏奈「あはははっ!」
岩本玲菜「杏奈っ!」

〇テラス席
古城玲菜「・・・」
古城玲菜「平日の昼からこんなにのんびりお茶しているだなんて。 なんか罪悪感と優越感を感じるなぁ」
綾瀬杏奈「それでね!聞いてよー! さっきも言ったけど、うちの室長。 全然協力してくれないのよー」
古城玲菜「よほど腹が立っているのか、さっきから同じ事言っている・・・」
倉島昇「杏奈ちゃんにヤキモチやいてるんですよー。きっと」
綾瀬杏奈「やっぱり? 昇もそう思う?」
綾瀬杏奈「そうよねー。私ってば、良く 『お子さんが二人もいるだなんて思えない』って言われちゃうしー」
倉島昇「・・・それって、落ち着いていないってことじゃなくて?」
綾瀬杏奈「はぁ?」
倉島昇「いやいや、杏奈ちゃんが可愛いからだよー きっと」
古城玲菜「ほらほら、こんなところでモメないー!」
綾瀬杏奈「って事で」
綾瀬杏奈「玲菜!シッターさんが帰った後の数時間だけ 子供たち、お願いできない?」
古城玲菜「いいわよ! 会社帰りに文彦さんに迎えに行ってもらえるよう、連絡しておく!」
綾瀬杏奈「助かるわー! もちろん!シッター代払うからね」
古城玲菜「そんなの、いいのに」
綾瀬杏奈「ダメダメ! 次回、頼みづらくなっちゃうから、 そこはケジメをつけさせて!」
古城玲菜「下の子はうちの子たちと年も近いし、 真也くんが三人まとめて、良く面倒を見てくれるのよ」
古城玲菜「うちは双子だから、ちょっとした時に助けてくれると、本当に助かるの」
綾瀬杏奈「じゃ、子供たちのご飯、奮発してあげて! 別途、私にご飯奢ってくれたりするのはいつでも大歓迎だから」
倉島昇「ちゃっかりしてるなー」
綾瀬杏奈「昇は黙ってて!」
倉島昇「はーい」
古城玲菜「・・・」
古城玲菜「あの、3年前の事が、遠い昔のよう」

〇病室のベッド
  あの時、杏奈は自分の太ももにナイフを刺していた。
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「本当は、二人の目の前で、自分の首を切ってやろうと思っていたの」
河村杏奈「そうしたら、二人とも。 一生私の事、忘れないでしょ?」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「でも、ナイフを持った瞬間に 真也の顔が浮かんだの」
河村杏奈「今週末、動物園に行く約束をしていたの 思い出して」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「それで、一瞬迷った自分を奮い立たせるために、太ももを一回刺した」
河村杏奈「『もう、後にはひけない』って・・・」
河村杏奈「・・・」
河村杏奈「玲菜・・・」
河村杏奈「止めに来てくれてありがとう」
  その後、杏奈は部長と別れた。

〇モヤモヤ
  頭ではわかっていても
  止められない想いがある
  ・・・
  そういえば
  涼太も前にそんな事を言っていた

〇テラス席
岩本玲菜「じゃあ、どうしてあの時、 ”お前と付き合うのは無理だ”って・・・」
岩本玲菜「私の前から消えたの?」
足立涼太「・・・」
足立涼太「・・・あの時、俺は、 もう、限界だったんだ」
岩本玲菜「・・・限界?」
足立涼太「「どうやったら跪かせることができるか」 「どうやったら思い通りになるのか」」
足立涼太「そんな事ばかり考えていた」
足立涼太「なかなか思い通りにならないお前にイライラしていたんだ」
岩本玲菜「・・・なに?それ」
足立涼太「感情が掻き乱される日々が続いて 疲れ果てて」
足立涼太「俺が俺でなくなってしまう気がした」
足立涼太「俺たち一緒にいたの、たった四ヶ月だぜ?」
足立涼太「それなのに、一生分のイライラを体験した気分なんだ」
足立涼太「好きすぎて 一緒にいるのは無理だと思ったんだよ」
  私が思い通りにならないから。
  ・・・か。

〇モヤモヤ
  美桜さんが私と会った本当の理由
  「あの人には気をつけて」
  「昔のままだから」
  それを伝えようとしてくれていたのかも
  ──しれない。

〇テラス席
  あの時は、
  よく意味がわからなかったけど
  今なら少しだけ
  わかる、気がする
綾瀬杏奈「あっ!やだ、もうこんな時間! 休憩終わりだわっ」
倉島昇「急がないと、室長にまた、怒られますよー」
綾瀬杏奈「じゃ、玲菜! 今夜お願いね!」
古城玲菜「うん。任せて! 残業終わったら連絡ちょうだい」
倉島昇「また、シカトされた・・・」
古城玲菜「・・・で、今日はこの時間にどうしたの?」
倉島昇「あ、そうそう! 今日は玲菜さんに用事があって・・・」
倉島昇「うん。いい時間だ!」
倉島昇「三年前に足立部長 また、海外に呼び戻されたじゃないですか」
倉島昇「また、日本に戻ってくるって。 この間、連絡もらって」
古城玲菜「そ、そうなんだ・・・」
倉島昇「で、サプラーイズ!」
「玲菜!久しぶりぃ!」
古城玲菜「涼太・・・さん」

コメント

  • 完結お疲れ様でした。
    少しずつですが一気読みさせていただきました🙏
    リアリティのある昼ドラを見ているようで、ドキドキしながら読んでいました。
    完結…と思いきや、まさかの続くようなエンディング…。不穏が渦巻きますね!👍

  • 完結、お疲れさまでした!
    昇以外のみんなが心に愛憎渦巻く物語。
    リアリティあって、面白かったです!
    次を読むボタンを押す手が止まらなくて、リアクションし忘れてたかも!と焦ってます💦
    リアクション忘れあったらスミマセン😥

  • 完結お疲れ様でした❤

    ……って、えええええ!? 続か、ない? 結局ドロドロしていたのかサババサしていたのか…… もう一周して来ます!
    ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ

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