夫が浮気? 2(脚本)
〇綺麗なダイニング
驚いた夏子は、寝室から出て、綾子に電話をかけた。
香川夏子「綾子、それ本当なの?」
「【綾子】 今調べたから、本当だよ」
香川夏子「信じられない・・・・・・」
「【綾子】 拓也さんは夏子との結婚前から付き合っていたみたいね。今、ラインにアンスタのアドレスを送るから見て」
夏子のスマホに、アンスタの拓也のアドレスが送られてきた。夏子は杏からのコメントに驚いた。
真美
拓也、愛してる💕
昨日はありがとう❤️
香川夏子「昨日は、私とのディナーの予定を急に仕事が入ったからってキャンセルしたのに」
「【綾子】 夏子とのディナーをキャンセルして、真美とデート、それはひどいね」
香川夏子「拓也を信じていたのに・・・・・・」
「【綾子】 私、初めて真美が拓也さんのアンスタにコメントしたところまでさかのぼってみたの」
「【綾子】 たぶん、真美は拓也さんと一緒の会社の人だと思う」
香川夏子「私、どうしたらいいの?」
「【綾子】 夏子、つらいと思うけど、まずは証拠を集めた方が良いと思う」
香川夏子「証拠? 私、探偵を雇うお金なんて持ってない」
「【綾子】 拓也さんの会社で待ち伏せして、後をつけたらどうかな?」
香川夏子「拓也が何時に退勤するかわからないのに?」
「【綾子】 自分で行動するなら、それしかないと思うんだよね」
香川夏子「そうだね。わかった。拓也を待ち伏せしてみる」
「【綾子】 うん。頑張って! 何かあったら連絡してくれたら、すぐに行くから」
香川夏子「綾子、ありがとう。じゃ、またね」
夏子は電話を切った後、拓也のアンスタのチェックを始めた。
香川夏子(おかしい。拓也は他の人のコメントには返信しているのに、真美さんのコメントに返信してない)
香川夏子(真美さんが勝手に拓也と付き合っていると思っているだけじゃないの?)
香川夏子(拓也は真美さんからのラインにも返信をしてなかった)
香川夏子(きっと、真美さんが拓也に夢中で嘘を書いているだけで、拓也は真美さんを何とも思ってないに決まってる)
香川夏子(じゃ、昨日、拓也はどうして私とのディナーをキャンセルしたの?)
夏子が悩んでいる時、拓也がトイレに起きてきた。
山本拓也「あれっ、夏子、起きてたのか? もしかして、俺に怒ってて眠れないとか?」
山本拓也「昨日はディナーをキャンセルして本当にごめん。今、仕事が正念場なんだ」
山本拓也「落ち着いたら、必ず高級ホテルのディナーにつれて行くから」
香川夏子「あ、うん。仕事だから仕方がないよ。プレゼントのネックレスは嬉しかったし」
山本拓也「そう言ってもらうと助かる。夏子、愛しているよ」
香川夏子「私も」
夏子は拓也と一緒にベッドに入るが、ほとんど眠れないまま、朝を迎えた。
〇オフィスビル前の道
次の日、夏子は仕事が終わってから、拓也の会社の前に来た。
香川夏子(来ちゃった。拓也を疑っているみたいで嫌だけど、真実を知りたい)
香川夏子(拓也は今日も残業だって言ってた。7時まで待って拓也が出て来なかったら帰ろう)
夏子は何度も時計を見ながら、ため息をつく。
香川夏子(もうすぐ7時。やっぱり拓也は残業だったのね)
7時ちょうどに、会社から拓也が女性と一緒に出てきた。夏子は隠れて様子を伺っている。
島田真美「拓也、今日は居酒屋に行こうよ」
山本拓也「俺、今日はこのまま帰りたい」
島田真美「ダメに決まっているでしょ。さあ、行くわよ」
山本拓也「杏さん、大事な話があるんだ」
島田真美「話なら、後で聞くわ。さあ、行くわよ」
拓也と杏は、会社から少し離れた所にある居酒屋に入って行った。
香川夏子「拓也が真美さんと・・・・・・でも、拓也は嫌そうな顔をしていた」
香川夏子「拓也は本当に浮気をしているの?」
夏子は居酒屋に入り、拓也からは死角になっている席に座った。
香川夏子(どうしょう、ここからだと何を話しているのか聞こえない)
香川夏子(それに、1人だと、どうしたらいいか分からない)
夏子は綾子を居酒屋に呼び出した。
佐藤綾子「やっぱり、 拓也さんは浮気していたんだね」
香川夏子「でも、まだわからないよ」
佐藤綾子「この後、あの2人がどこに行くか、後をつけよう」
佐藤綾子「ホテルに行ったら、浮気の証拠になるから」
香川夏子「ホテル・・・・・・」
佐藤綾子「夏子、ここからは戦いだよ。証拠がなければ浮気は認めてもらえない」
佐藤綾子「絶対に証拠をつかまないと」
香川夏子「もし拓也が浮気をしているのが確実なら、私、拓也と離婚するしかない?」
佐藤綾子「その方が良いと思うけど、やり直すにも証拠があった方が良い」
香川夏子「そうだよね。わかった。綾子、協力頼むね」
佐藤綾子「OK」
〇公園のベンチ
拓也と真美は居酒屋を出た後、公園のベンチで休んでいる。
島田真美「ねぇ、これからホテルに行きましょうよ」
山本拓也「行かない。さっきも言ったように、これからは仕事が終わったらまっすぐに家に帰るから」
島田真美「そんなの嫌。もう会ってくれないって言うなら、私、奥さんに、私たちの関係を伝えるから」
山本拓也「関係って。俺たちはただの同僚だ」
島田真美「ふぅん。じゃ、この写真を奥様に送ってもいいのね?」
真美は拓也にスマホのカメラロールの写真を見せた。ホテルのベッドに裸で寝ている拓也とバスタオルを巻いた真美が写っている。
山本拓也「この時の事は何も覚えていないんだ」
島田真美「そんなセリフを奥様が信じるかしら?」
島田真美「私は拓也を愛しているの。奥様と離婚して、私と結婚して」
山本拓也「俺は妻と別れる気はない」
山本拓也「そんな。私、パパに拓也さんに裏切られたって話すわ。パパはあなたをクビにして、弁護士に相談すると思うわ」
山本拓也「そんな・・・・・・」
島田真美「いますぐ結婚して欲しいなんて言わない。奥様と円満離婚して欲しいから」
島田真美「だけど、毎日、私とデートするのは忘れないで」
山本拓也「俺は・・・・・・」
島田真美「だって、私、拓也の子をおろしたのよ。責任を取るのは当然でしょ?」
山本拓也「・・・・・・」
島田真美「今日は帰りましょう。駅まで送ってちょうだい」
山本拓也「わかった」
真美と拓也は駅に向かって、歩いて行った。
真美と拓也の会話を、夏子と綾子はベンチの後ろのしげみに隠れて聞いていた。
香川夏子「真美さんが拓也の子をおろしたなんて・・・・・・」
香川夏子「私、もう拓也を信じられない。拓也とは別れる」
佐藤綾子「夏子、落ち着いて」
佐藤綾子「真美の言った事が本当だとは限らないわ」
佐藤綾子「まずは、さっきの話が真実かどうか調べた方が良いよ」
香川夏子「調べるってどうやって?」
佐藤綾子「確か、拓也さんの会社に高校の同級生が知り合いが働いているはずなの。ちょっとさぐってもらうわ」
香川夏子「綾子は拓也を信じられる?」
佐藤綾子「いまのところは無理ね」
香川夏子「そうだよね。浮気相手を妊娠させた男、さらに浮気相手は社長の娘。最悪よ!」
香川夏子「本当は今すぐにも家を出て行きたい」
佐藤綾子「夏子が家を出て行ったら、真美の思うままよ」
佐藤綾子「夏子、まずは落ち着いて! 事実を調べよう。離婚はその後で考えるべきよ」
香川夏子「わかった。私も拓也の事は信じたいの、だけど、今は信じられない」