加護得る乙女

咲良綾

【読切】加護得(う)る乙女(脚本)

加護得る乙女

咲良綾

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〇繁華な通り
  二〇✕✕年、日本。
  地の封印の力が弱まり、
  妖が街に溢れ出した──
天槻繰羽(くるは)「ゆるちゃん!!」
天槻緩葉(ゆるは)「お姉ちゃん!?」
天槻緩葉(ゆるは)「何これ?」
天槻繰羽(くるは)「わ、わかんない。ゆるちゃんを守ろうと思ったら、バーンってなって」
伊崎将威(しょうい)「見つけたぞ、加護の乙女!」
天槻繰羽(くるは)「!?」
伊崎将威(しょうい)「お願いだ。 俺の女になって加護をくれ!」
天槻繰羽(くるは)「え?」
天槻緩葉(ゆるは)「ちょっと、何言ってんの!? 君、子どもでしょ」
伊崎将威(しょうい)「数年経てば大人になる。 とにかく、伝説の乙女の加護が必要なんだ!」
天槻緩葉(ゆるは)「はぁ?」
天槻繰羽(くるは)「伝説って・・・私が?」
伊崎将威(しょうい)「ちっ、まだか!」
伊崎将威(しょうい)「乙女よ、加護を!」
天槻繰羽(くるは)「加護と言われても、どうすれば・・・ が、頑張れ~!」
伊崎将威(しょうい)「くっ! やはり絆がないと無理なのか」
天槻緩葉(ゆるは)「えっ、何!?」
伊崎将威(しょうい)「俺の側にいろ!」
天槻緩葉(ゆるは)「ええーっ!」
天槻繰羽(くるは)「ゆるちゃん、危ない!」
伊崎将威(しょうい)「やっぱりな。お前といれば加護のおこぼれがもらえる。俺と一緒に戦え!」
天槻緩葉(ゆるは)「はぁー!?!?」
天槻繰羽(くるは)「ゆるちゃーん!」
伊崎将威(しょうい)「すごい、尋常じゃない加護だ。 お前、適当でいいから妖を殴ってみろ!」
天槻緩葉(ゆるは)「やだよ!アクション興味ない!暴力反対!」
天槻緩葉(ゆるは)「キャー!」
伊崎将威(しょうい)「これが伝説の乙女の加護・・・」
伊崎将威(しょうい)「思った以上だ」

〇繁華な通り
伊崎将威(しょうい)「俺は神霊術師の伊崎将威(しょうい)だ」
天槻緩葉(ゆるは)「あの・・・君、 小学生に見えるんだけど」
伊崎将威(しょうい)「ああ、小6だ」
天槻緩葉(ゆるは)「やっぱり!」
天槻繰羽(くるは)「私は天槻繰羽(くるは)。 こちらは妹の天槻緩葉(ゆるは)よ」
伊崎将威(しょうい)「俺たち神霊術師は、先ほどお前たちを襲った妖(あやかし)と戦っている」
伊崎将威(しょうい)「妖は神気で斬ることができるが、 その神気を増幅させるのが加護の乙女の力だ」
伊崎将威(しょうい)「俺たちには力が足りない。 繰羽、俺と一緒に来て対となってくれ」
天槻緩葉(ゆるは)「ちょちょ、ちょっと待ってよ!要するに、お姉ちゃんを利用するのが目的ってわけ?」
天槻緩葉(ゆるは)「そんな愛のない理由でお姉ちゃんを渡せるか!」
天槻繰羽(くるは)「そうねぇ・・・ 私も世界一大事な妹と離れるのは嫌だし」
天槻緩葉(ゆるは)「お姉ちゃん・・・」
天槻繰羽(くるは)「ゆるちゃん」
伊崎将威(しょうい)「離れなくていいから、緩葉も来い」
天槻緩葉(ゆるは)「!?」
伊崎将威(しょうい)「加護の乙女に愛されるのも才能だ」
伊崎将威(しょうい)「少し訓練すればかなり戦えるはずだ」
天槻緩葉(ゆるは)「やだ、戦いとかお断りだよ! 私は普通に高校生活謳歌したいの!」
伊崎将威(しょうい)「できないぞ」
天槻緩葉(ゆるは)「え?」
伊崎将威(しょうい)「加護の乙女の覚醒は、妖も認識したはずだ。 おそらく繰羽を狙ってくる」
伊崎将威(しょうい)「緩葉も繰羽の弱点として狙われるだろう」
天槻緩葉(ゆるは)「そ、そんな」
天槻繰羽(くるは)「一緒に行けば、ゆるちゃんを護ってくれるのね」
伊崎将威(しょうい)「ああ」
天槻繰羽(くるは)「じゃあ、行きましょう」
天槻緩葉(ゆるは)「お姉ちゃん!」
天槻繰羽(くるは)「ただし、 貴方と対になれるかどうかはわからないわ」
伊崎将威(しょうい)「それは努力しよう」

〇屋敷の門
天槻緩葉(ゆるは)「・・・待って」
天槻緩葉(ゆるは)「これ、城?」
伊崎将威(しょうい)「ああ。 我が家だ」
天槻緩葉(ゆるは)「は??」

〇屋敷の大広間
新納つばさ「殿、お帰りなさい」
天槻緩葉(ゆるは)「殿!?」
伊崎将威(しょうい)「気にするな。 そういう血筋なだけだ」
天槻緩葉(ゆるは)「いや、気にするでしょ!」
伊崎将威(しょうい)「ここにいるのは術師たちだ。 今後力を合わせてもらうことになる」
曽根莉恵子「殿、そちらは?」
伊崎将威(しょうい)「加護の乙女と、加護を受ける者だ」
新納つばさ「ついに見つけたのですね!」
曽根莉恵子「すぐに婚礼の用意を」
伊崎将威(しょうい)「いや。それはまだ早い」
天槻緩葉(ゆるは)「当たり前だ!」
天槻繰羽(くるは)「私たちも殿って呼んだ方が良いのかしら?」
伊崎将威(しょうい)「いや、将威でいい。 たまには名で呼ばれたい」

〇日本庭園
天槻緩葉(ゆるは)「将威!」
伊崎将威(しょうい)「なんだ」
天槻緩葉(ゆるは)「ついてきたからって調子に乗らないでよ? 絶対絶対、お姉ちゃんは渡さないんだからね!」
伊崎将威(しょうい)「・・・」
伊崎将威(しょうい)「緩葉。ここは何のための城だと思う」
天槻緩葉(ゆるは)「・・・金持ちの道楽じゃないの?」
伊崎将威(しょうい)「この城自体が加護だ。 でも、城は動けない」
伊崎将威(しょうい)「妖はこの城の力が及ぶ領域を越え、 大人たちは加護なく戦った」
伊崎将威(しょうい)「・・・命が潰えるまで」
天槻緩葉(ゆるは)「え・・・じゃあ、今若い子ばかりなのって」
伊崎将威(しょうい)「・・・」
伊崎将威(しょうい)「もっと早く、繰羽を見つけていれば」
天槻緩葉(ゆるは)「・・・!」
天槻緩葉(ゆるは)(握りしめた拳が、震えて真っ赤だ)
伊崎将威(しょうい)「今は緩葉に加護を分けてもらうしかない。 よろしく頼む」
天槻緩葉(ゆるは)「・・・わかった。戦い方を教えて」

〇屋敷の門

〇日本庭園
天槻緩葉(ゆるは)「将威!行くよ!」
天槻緩葉(ゆるは)「将威!?」
天槻緩葉(ゆるは)「将威・・・?」
天槻緩葉(ゆるは)「お姉ちゃん、将威が!」

〇屋敷の大広間
天槻緩葉(ゆるは)「うっ・・・」
天槻緩葉(ゆるは)「将威ぃ~」

〇屋敷の門
天槻緩葉(ゆるは)「将威ーっ!」

〇川沿いの公園
天槻緩葉(ゆるは)「はっ!」
伊崎将威(しょうい)「緩葉、さまになってきたな」
天槻緩葉(ゆるは)「へへへ、意外に才能あったみたい。 将威の役に立ててるかな?」
伊崎将威(しょうい)「・・・ああ」
伊崎将威(しょうい)「!?」
天槻緩葉(ゆるは)「将威、それ・・・」
伊崎将威(しょうい)「俺にも、加護が」
天槻繰羽(くるは)「・・・」
天槻緩葉(ゆるは)「・・・」
  お姉ちゃんは将威のこと、
  大事に思い始めてるんだ。
  このまま、将威の加護が強くなったら、
  私は用済みになるの?
  嫌だ・・・
伊崎将威(しょうい)「バカ!ぼーっとするな!」
伊崎将威(しょうい)「いくら加護が強いと言っても、 無敵じゃないんだからな!」
伊崎将威(しょうい)「ちゃんと側にいろ」
天槻緩葉(ゆるは)「なんで?もう将威にも加護があるじゃない。 私のおこぼれもらう必要はなくなったでしょ?」
伊崎将威(しょうい)「離れてると護れないだろ!」
天槻緩葉(ゆるは)「!」
伊崎将威(しょうい)「緩葉がいなくなると困る」
天槻緩葉(ゆるは)「なんで困るの」
伊崎将威(しょうい)「繰羽が悲しむだろう」
天槻緩葉(ゆるは)「なるほどね。 お姉ちゃんが弱ったら困るよね」
天槻緩葉(ゆるは)「将威が本当に必要なのはお姉ちゃんだもんね!」
  将威の加護がまた、強くなった?
  お姉ちゃん・・・
  将威に必要とされて嬉しいの?
天槻緩葉(ゆるは)「ほら、もう私なんかいらないよ。 将威にも強い加護が・・・」
伊崎将威(しょうい)「緩葉は、俺の名をたくさん呼んでくれる」
天槻緩葉(ゆるは)「え?」
伊崎将威(しょうい)「両親が呼んでくれたと同じように、 しつこいくらい何度も」
天槻緩葉(ゆるは)「将威・・・?」
伊崎将威(しょうい)「緩葉の声がないと、淋しい」
天槻緩葉(ゆるは)「!」
伊崎将威(しょうい)「緩葉がいないと俺が淋しい」
天槻緩葉(ゆるは)「・・・」
伊崎将威(しょうい)「俺はもう、緩葉の声がないと駄目なんだ」
天槻緩葉(ゆるは)「それって・・・」
天槻繰羽(くるは)「うふふふ、ゆるちゃん、可愛い! ねぇ将威くん、私の妹は可愛いでしょう~」
天槻繰羽(くるは)「ああ、ゆるちゃんを愛でてくれる人類は なんて愛しいのかしら」
曽根莉恵子「すごいシスコンパワーだな」
新納つばさ「ですね・・・」

〇屋敷の門
天槻緩葉(ゆるは)「ねえ、将威」
伊崎将威(しょうい)「ん?」
天槻緩葉(ゆるは)「お姉ちゃんと対にならなくて大丈夫なの?」
伊崎将威(しょうい)「なってるよ。緩葉を挟んで」
天槻繰羽(くるは)「ねーっ☆」
天槻繰羽(くるは)「緩葉ラブパワーで共に世界を救うわよ!」
天槻緩葉(ゆるは)「なにそれ・・・」
天槻緩葉(ゆるは)「お姉ちゃん」
天槻緩葉(ゆるは)「将威」
天槻緩葉(ゆるは)「2人とも大好き!」
天槻緩葉(ゆるは)「3人で妖全員ぶっ飛ばしてこー!」
「おー!」

コメント

  • 癒されシスコンストーリーですね。途中からゆるはとくっつきそうなのが見えたとき、姉の反応が怖かったです。肝心なときに加護が消えるパターンあるぞとドキドキしてました。妹を好きになってくれる人も好き。愛が深い。すてきです。
    最初は妹も隠れ加護もちかと思いました。予想が外れて楽しかったです。

  • なんとなんと!殿は、ゆるちゃんLOVEでしたか😆
    いいですね💕3人ハッピー✨
    面白かったです😊

  • おねショタ?と思いつつ、ああ、妹ちゃんのほうか…ってやっぱりおねショタ!?なんてことだ、この物語にはグッドエンドしかない。けっこう深刻そうな背景なのに甘々な味付け、美味しゅうございました。

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