鏡にねがいを

Moka

エピソード2:「めぐみ」(脚本)

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〇教室
結衣「ほんとに!?」
  いつもと変わらない日。
  みんなとの、くだらないお喋り。
  しかし、その時は突然やってきた。
「結衣、まだ知らなかったの!?」
結衣「いやあ、私そういう話苦手でさ・・・・・・。」
  なんでも、七月駅近くの公園のトイレに願いを叶えてくれる鏡があるらしい。
  馬鹿馬鹿しい・・・・・・。
「隣のクラスの友達がさ、実際に願いを叶えてもらったらしいよー。」
結衣「願いって、何が叶ったのさ・・・・・・。」
「うーん・・・・・・ハッキリとしないけど、好きな人とデートできたらしいよ。」
結衣「なんでそんな中途半端な願いなのさ。 付き合いたい!って言えばいいじゃん。」
「それがさ、欲張りすぎるのはダメなんだって。そんな欲深い気持ちでいくと、幽霊は出てきてくれないって。」
結衣「幽霊!?」
  内心では馬鹿馬鹿しいと思いながら、誰かが考えたにしては妙にリアルだ。
  鏡の中の幽霊に願いを叶えてもらうには、色々と条件があるらしいのだ。
  まずひとつめ。
「幽霊が出てくるのは雨の日だけなんだって。」
  そして、ふたつめ。
「会える時間は夕方から夜になるまでの間。」
  わかりにくい・・・・・・。
  夕方から夜って結構範囲広い・・・・・・。
  みっつめ。
「トイレの一番奥の鏡の前で自分の髪の毛を切って、その髪を鏡に当てて願うの。」
「そうすると、出てきてくれるって。」
  私が知らないだけで、うちを含め近隣の高校では有名な話らしい。
  しかし、その妙に生々しい条件や、例の公園の治安の悪さから、実行に移すものはなかなかいないらしい。

〇教室
  授業が終わる頃、雨が降り出した。
結衣「あっちゃー。 傘持ってきてないや。」
  何人か傘を貸してくれると言ってくれたが、あいにく皆部活で帰りが遅く、私が傘を奪って帰るわけにはいかない。
  家までは走れば10分程度。
  濡れる決意を固め、教室を後にする。

〇階段の踊り場
結衣「あーあー、結構ひどくなってきたなぁ。」
響「神宮寺さん?」
結衣「おわっ! 響か!!」
響「ごめん、驚かせて・・・・・・。」
結衣「いやいや、私が勝手にびっくりしちゃっただけだし!!」
響「これ、よかったら使って。 僕は、もう一本持ってるからさ。」
結衣「えっ!? いいの!?」
響「本当に持ってるから大丈夫。」
結衣「ありがとう。 すごく助かる!!」
  私は心が躍った。
  雨のおかげだ・・・・・・。
  雨・・・・・・。
  私の脳裏を、友達から聞いたあの話がよぎった。
  大好きな響と付き合いたい・・・・・・。

〇ゴシック
  エピソード2:「めぐみ」

〇荒れた公衆トイレ
結衣「ためしてみるだけ・・・・・・。 やってみるだけだから。」
  私は聞いた通り、一番奥の鏡の前に立った。
結衣「髪、ちょっとでいいよね・・・・・・。」
  内心疑いつつも私は自分の髪を切り、鏡に当てた。
結衣(幽霊さん、おねがいします。 響と付き合いたいです。)
  ・・・・・・。
  ──瞬間、稲妻の光が辺りを包む。
めぐみ「私を呼んだのはあなた?」
  鏡の中には、美しい少女の姿があった。
結衣「うそ・・・・・・。」
めぐみ「そっちから呼んでおいて、その反応?」
結衣「ご、ごめんなさい!! わたし・・・・・・。」
めぐみ「まあ、それも当然の反応よね。 私はめぐみ。」
結衣「神宮寺結衣です!!」
めぐみ「あなた、おもしろい子ね。」
結衣「はあ・・・・・・。」
めぐみ「さっきのお願い、あれでいいの?」
結衣「あ、はい!! 同級生の響と付き合いたいんです!!」
めぐみ「いいわ。 ただし、私の願いも聞いてもらうわよ?」
結衣「えっ・・・・・・!?」
めぐみ「あら、ただで自分の願いが叶えてもらえると思った??」
結衣「いや、その・・・・・・。」
めぐみ「私の願いは簡単。 私にはね、会いたい人がいるの。」
めぐみ「どっちにしろ響って子に会わなきゃ、あなたの願いを叶えられないわ。」
めぐみ「だからね、あなたの体を貸してほしいの。」
結衣「体を貸す・・・・・・!?」
めぐみ「でも怖がらないで。 あなたの中で、あなたの目を通して、その人に会いたいの。」
めぐみ「契約します。 私の体を貸しますって言うだけでいいいの。」
結衣「──これでほんとに・・・・・・。 ほんとに響と付き合えるの?」
めぐみ「──もちろんだよ。 私と結衣は、もう友達でしょ?」
結衣「・・・・・・。」
めぐみ「──さ、かえろ? 帰って結衣のこと、いっぱいきかせて。」

〇黒背景

〇女の子の一人部屋
結衣「めぐみの会いたい人ってさ、どんな人なの?」
めぐみ「すごく優しい人だよ。 結衣も、きっと気に入ってくれるよ。」
  私はめぐみが幽霊なんてことなど忘れ、夢中になって話した。
  もっとも、めぐみは私の体の中にいるから、はたから見たら私の独り言だ・・・・・・。
  そう、これが私を信用させる為の罠だとは気付かずに朝まで語り明かした・・・・・・。

〇黒背景

〇公衆トイレ
???「だれかひとり、外に出たのね・・・・・・。」

〇黒背景

次のエピソード:エピソード3:「惨劇の真相」

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