グッバイ バイク バレリーナ

快亭木魚

第2速 大旦那様と大奥様(脚本)

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快亭木魚

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〇地下室
  メイド試験の数年前・・・。
フォークリー「俺はかつてリンシャー家で執事として働いていた」
フォークリー「しかしある日突然追い出された。何の説明もなしに!」
フォークリー「リンシャー家に近づくことも許されない。なぜだ、俺はリンシャー家に尽くしてきたのに!」
フォークリー「俺もリンシャー家に恨みがあるのさ。だから君に協力する」
リイナ「まだ完全にあなたを信用したわけじゃないけど・・・」
リイナ「リンシャー家に恨みがあるのは私と同じようね」
フォークリー「俺の作戦はこうだ。まず君がワキルストになってメイド試験を受ける」
フォークリー「旦那様カーマスの心をとらえろ」
フォークリー「カーマスは車輪を使ったダンスが好きだ。君はバレエの素養があるからきっと踊れる」
リイナ「車輪!」
フォークリー「カーマスは車輪を使った大輪の花も好きだ。プレゼントしてやれば心をとらえることができるだろう」
フォークリー「カーマスさえ気に入ればメイドに採用されるはず。まずはそこからだ」
リイナ「受かってみせる!」
フォークリー「意志が強いな。心強い」
リイナ「列車人間の事件についてあなたは何か知らないの?」
フォークリー「時期的に俺が辞めた頃だ。君が言う列車人間の事件はあいにく知らないな」
フォークリー「あの当時ならワキルストの実験を繰り返していた頃だ。実験失敗を隠蔽している可能性なら充分にありえる」
フォークリー「カーマスはリンシャー家の跡取り息子だが無能のボンクラだ」
フォークリー「リンシャー家を実質仕切っているのは大旦那様ロコモナーと大奥様デシャーネ」
フォークリー「無能な息子に比べ手ごわい両親だ。奴らなら必ず事件について知ってるはず」

〇要塞の廊下
リイナ「大旦那様が旦那様を連れて部屋に入った! 隠れて様子を見よう!」
リイナ「小型のバイクを静かに走らせて部屋に忍び込ませる!」
リイナ「バイクの車輪をメガネにしてのぞけば小型バイクのカメラからの映像が見れる!」

〇上官の部屋
ロコモナー「この愚か者が!」
リイナ(はじめてちゃんと見る大旦那様!)
リイナ(全身に機関車を着ている!私が見た列車人間に似てる!)
カーマス「すみません!すみません!」
ロコモナー「ただでさえな無能なクズ四輪なくせに!我がリンシャー家の名を汚す気か!」
ロコモナー「機関車の車輪でひいてやる!」
カーマス「痛い!すみませんすみません!」
ロコモナー「すぐバレるような女遊びはやめろ!」
ロコモナー「秘密はバレないからこそ秘密なのだ」
ロコモナー「反省しろこの四輪バカ息子が!」
ロコモナー「私はお前と違って忙しいんだ!手をわずらわせるな!」
カーマス「うう・・・子供の頃からずっとこうだ・・・」
カーマス「僕が何かミスをしたらお父様の車輪の下敷きになる・・・」
リイナ(旦那様が怒られてる!)
デシャーネ「このバカ息子!恥を知りなさい!」
リイナ(大奥様!電車のドレスを着てる!この人も列車人間に似ている!)
デシャーネ「全く!ダメなところばかり父親に似て!電車首絞めの刑です!」
カーマス「苦しい苦しい!すみません!」
デシャーネ「あなたは人として脱線しています!猛省しなさい!」
カーマス「お母様からもずっと怒られっぱなしだ・・・」
リイナ(この人、両親から怒られっぱなし・・・悪いことしたかも・・・)
リイナ(いや目的を達成する為には!利用できる旦那様は利用する!)
カーマス「あ!リイナの小さいバイクがある!」
カーマス「僕を心配して見ててくれたんだね!心配しなくていいよ!」
リイナ(私が隠れて見てるのがバレるでしょうが!こっち見るな!)
カーマス「機関車でひかれるのも電車で首しめられるのも慣れてるからね!」
リイナ(この人怒られ慣れてる!本当に頼りないなあ・・・)
リイナ(とりあえずミニバイクは引っ込めよう)
リイナ(やば!バイクの音が響いた!)
デシャーネ「今、バイクが走る音が聞こえませんでした?」
カーマス「き、気のせいだよ!」
デシャーネ「そう・・・まあいいわ」
リイナ(危なかった・・・見つかるところだった。早く立ち去ろう)

〇要塞の廊下
リイナ「いつの間にか廊下に砂埃が舞っている!一体何が?」
タンクーザ「ああもう嫌な気分!体中の戦車が荒ぶって砂埃が舞ってしまうわ!」
タンクーザ「見つけたわ。あなたなんでしょ?」
リイナ「奥様!おはようございます」
タンクーザ「気安く呼ぶな!この泥棒単車女が!」
タンクーザ「あなたなんでしょ?私の夫を誘惑して!車輪を交わすような不届き者は!」
リイナ「いいえ。その様なことは・・・」
タンクーザ「嘘をつくなこのバイク豚が!夫の首筋にJISマークまでつけて!」
タンクーザ「ぶっ殺してやる!」
リイナ(全身の砲台から複数の弾を撃ってきた!)

〇大ホール
リナ(中学生)「バレエで綺麗に踊る為とは言え・・・」
リナ(中学生)「柔軟がキツい・・・!体幹トレーニングも滅茶苦茶大変だよ・・・!」
リナの母「私も昔は苦労したわ。今は大変かもしれない。でもリナならきっとできる!」
リナの母「柔軟を鍛えればより自由に体を動かせるようになる」
リナの母「体幹を鍛えれば空中で自在に飛べるようになる」

〇海岸線の道路
リナ(中学生)「速い速い!バイクの後部座席怖いよ!」
リナの父「これでもだいぶスピードをおさえてるんだぜ!」
リナの父「バイクが好きなのは風を感じることができるから」
リナの父「バイクで走っている間は自由を感じてるんだ」

〇要塞の廊下
  母からは舞いを、父からは速さを受け継いだ
リイナ「バレエで鍛えた柔軟性、バイクで覚えた速さで全ての弾をよけてみせる!」
タンクーザ「この女!空中で舞い弾をよけている!」
タンクーザ「ちょこまか逃げ回るな!色ボケバイクが!さらに撃ってやる!」
デシャーネ「騒々しいわね!何事かしら?」
タンクーザ「お義母様!」
タンクーザ(まずい!弾がお義母様にあたってしまう!)
リイナ「大奥様!危ない!」
  戦車の奥様が放った凶弾が
  電車の大奥様に向かって飛んで行く!
  弾丸の行方やいかに?
  次回へ続く!

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