エピソード1(脚本)
〇レトロ喫茶
まゆり「私と、結婚してもらえますか?」
〇レトロ喫茶
裕太「・・・・・」
〇レトロ喫茶
裕太くんは、黙っている。
〇レトロ喫茶
まゆり「(びっくりさせちゃったかな。 私だって、初対面の人にいきなり 結婚してと言われたら黙るなあ)」
〇レトロ喫茶
裕太「いいですよ! いつ結婚しましょうか?」
〇レトロ喫茶
まゆり「えっ・・・いいんですか? さっき会ったばかりなのに、 いいんですか?」
〇レトロ喫茶
裕太「もちろんですよ。 だって、僕は、お客さまの希望を叶えるのが仕事なんですから」
〇レトロ喫茶
まゆり「ありがとうございます・・・。 やっぱりお願いしてよかった」
〇レトロ喫茶
裕太「なんでもリクエストしてくださいね。 せっかくレンタル恋人借りたんだから、 思い切りワガママ言ってください」
〇レトロ喫茶
まゆり「・・・笑った顔も、 ほんとによく似てる・・・」
〇レトロ喫茶
裕太「さっきも言ってましたよね。 僕、そんなにまゆりさんの元カレに 似てるんですか?」
〇レトロ喫茶
まゆり「はい・・・。 髪の色がちょっと違うくらいで、 あとは双子みたいにそっくり」
〇レトロ喫茶
裕太「どんな人だったんですか?」
〇レトロ喫茶
まゆり「画像、見ますか? これ・・・」
〇豪華なリビングダイニング
まゆり「ほら、髪の毛の色が違うだけで、 あとはかなり似てるでしょ?」
〇豪華なリビングダイニング
元カレは素敵な人だったんだけど、
私、突然フられてしまったの。
〇豪華なリビングダイニング
直人「ごめん。結婚の話はナシにしてほしい」
〇豪華なリビングダイニング
まゆり「どういうこと? 結婚式場も予約してるのに・・・」
〇豪華なリビングダイニング
直人「本当にごめん。 結婚の日が近づくにつれて、 自信がなくなっちゃったんだ」
〇レトロ喫茶
まゆり「すごくショックだったし、 結婚式を楽しみにしている両親にも 申し訳なくて・・・」
〇教会の中
まゆり「結婚式場も、今日まで、 キャンセルできないままなの」
〇教会の中
まゆり「どんどん結婚式の日が近づいてきて、 やっぱりドレスも着たいし、 だからこんなこと考えたの」
〇教会の中
裕太「レンタル恋人を借りて、 結婚式しちゃえ!ってことですね」
〇教会の中
まゆり「そう。親にも喜んでもらえるし、 私もウェディングドレス着れるし、 いいアイデアだなって」
〇教会の中
裕太「いいですね! 僕でよければ喜んでお手伝いしますよ」
〇教会の中
まゆり「すごく助かります・・・。 親も裕太さんをニセモノだとは 気づかないと思うんです」
〇教会の中
裕太「いいですね。 幸せいっぱいの結婚式にしましょう!」
〇レトロ喫茶
まゆり「レンタル恋人のサイトに裕太さんの画像を見つけたときは、元カレがこの仕事してるのかと思って、びっくりしたけど」
〇レトロ喫茶
裕太「別人だったでしょ?」
〇レトロ喫茶
まゆり「はい、元カレよりずっとしっかりしてて、 安心してお願いできます」
〇レトロ喫茶
裕太「まかせてください! 花婿役も、今まで何度も演じたことがあるんで、自信ありますよ」
〇レトロ喫茶
まゆり「ほんとに助かります・・・ よろしくお願いします」
〇レトロ喫茶
まゆり「私、幸せになりたいんです。 私が幸せになることが、私を振った彼への 一番の復讐だと思うから・・・」
〇レトロ喫茶
まゆり「だから結婚式の写真を、元カレにも送ってあげようと思ってるんです。あなたがいなくなっても私は幸せに生きてるよって」
〇レトロ喫茶
裕太「わかりました!元カレさんが悔しくなるくらい、まゆりさんのこと、めっちゃ幸せにしますよ」
〇レトロ喫茶
裕太「ところで、ちょっと質問なのですが、 結婚式ということは、誓いのキスも、 しますか?」
〇レトロ喫茶
まゆり「あ、まあ、普通の結婚式では、キスしますよね。でも、イヤだったら無理しないでください」
〇レトロ喫茶
裕太「全然イヤじゃないですよ。 ただ・・・」
〇レトロ喫茶
裕太「キスは、オプション料金なんですが、 よろしいでしょうか」
〇レトロ喫茶
まゆり「あ、そうなんですね・・・。 わかりました。じゃあ追加料金払うので、お願いします!」
〇レトロ喫茶
裕太「ありがとうございます! では、式の流れを詳しく教えてください」
〇田舎の教会
そして、ついに、
元カレ激似のレンタル恋人との
結婚式当日を迎えた。
うまく行くといいけれど・・・。
彼女のような経験は幸いないので、本人の気持ちになってみるのが難しいですが、少し怖い計画だなあと感じました。式が上手くいった後も、継続して支払いが発生してしまうような!