ストーキングシナスタジア

せんぶり

ストーカー(脚本)

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〇黒

〇お嬢様学校

〇おしゃれな教室
女生徒A「ねぇねぇ! 昨日の”きんぷり”の配信ヤバかったね~!」
女生徒B「新曲、歌もダンスも最高だったよね~!」
女生徒A「チヒロも見たでしょ?」
江波チヒロ「興味ない」
女生徒A「えー! ”筋肉&ぷりケッツ”に興味ないってマジで?」
女生徒B「チヒロって相変わらずだよねー」
女生徒A「やっぱり、ズラリと並ぶ大胸筋が壮観なわけよ・・・・・・!」
女生徒B「いやいや、ステップ踏むたびに弾けるお尻がですね・・・・・・!」
江波チヒロ(くだらない)
江波チヒロ(会った事も、喋った事もない男に熱狂するなんて、どうかしてる)
江波チヒロ(私は違う──)

〇花模様3
  スマホの待ち受けにしているこの人は、黒井マコトさん
  都内の大学に通う二十一歳(彼女ナシ)
  身長177センチ、体重58キロ(体脂肪率12パーセント)
  9月9日生まれの乙女座、A型
  視力は両目とも1.5
  靴のサイズは26.5センチ
  趣味は映画観賞で、好きな監督はチョッチ・ヌーガス
  住まいは最寄り駅から徒歩5分の1K、家賃6万円
  真面目で優しい性格の──
  私の運命のヒト

〇おしゃれな教室
江波チヒロ(マコトさん──)
江波チヒロ(アナタの事をもっと知りたい・・・・・・全部知りたい──)
江波チヒロ(あっ! SNSに新しい投稿がある・・・・・・)

〇SNSの画面
「ん?」
「これは・・・・・・」

〇おしゃれな教室
女生徒A「――ねぇ、チヒロ聞いてる?」
江波チヒロ「ごめん、私帰る」
女生徒A「え? なんでよ!?」
江波チヒロ「ちょっと野暮用」
女生徒B「行っちゃった・・・・・・」

〇開けた交差点

〇大学の広場
江波チヒロ「はぁはぁ・・・・・・」
江波チヒロ「水曜日のこの時間は・・・・・・」

〇講義室
江波チヒロ「倫理学の講義!」
江波チヒロ「席は決まって中央の前から四列目・・・・・・」
江波チヒロ「って、いないっ!!」
江波チヒロ(ど、どうして~? たしかに単位は十分取れてるから、無理に出席する必要はないけど・・・・・・)
江波チヒロ(真面目なマコトさんが、どうして・・・・・・)

〇大学の広場
江波チヒロ「はぁ、マコトさん・・・・・・」
江波チヒロ「あっ!」
江波チヒロ「いたーーー!」
  !?
江波チヒロ(な、なにあの女っ!!)
江波チヒロ(親しげに一体何を話してるっていうの!?)
江波チヒロ(今日は集音器を持ってないから、ココからじゃ会話を聞き取れない!)
江波チヒロ(く~~~っ! きっと中身のない話でマコトさんの貴重な時間を無駄にしてるんだわ!)
江波チヒロ(マコトさん、優しすぎるのよ! でもなんで・・・・・・)
江波チヒロ(いつもはそんなクソビッチなんかとは話さないのに・・・・・・)
江波チヒロ(アナタの理想は、知的で清楚で奥ゆかしい女性のハズ・・・・・・私のような!)
江波チヒロ(やっと去ったか!)
江波チヒロ「あぁ、行っちゃった・・・・・・」

〇学食
江波チヒロ「もうお昼か」
江波チヒロ「マコトさんは~・・・・・・」
江波チヒロ「いた!」
  !?
江波チヒロ(えっ!?)
江波チヒロ(嘘でしょっ!?)
江波チヒロ「そ、そんな・・・・・・」
江波チヒロ(あ、ありえないっ!)
江波チヒロ(マコトさんがラーメンを食べるなんてっ!)
江波チヒロ(だって・・・・・・だって・・・・・・マコトさんは・・・・・・)
江波チヒロ「大の猫舌なんだからっ!!」
江波チヒロ「フーフーせずにだとっ!?」
江波チヒロ(そんな・・・・・・)
江波チヒロ(いつもは食べやすい、つけ麺で妥協しているのに)
江波チヒロ(一体どういう事なの・・・・・・!?)
江波チヒロ(やっぱり何かがおかしい・・・・・・!!)

〇開けた交差点
江波チヒロ(いつもは右肩に背負ってるのに、今日は左肩に──)
江波チヒロ(そもそも服装からして普段と違う──)

〇バスの中
江波チヒロ(いつもなら、絶対に席を譲ってる・・・・・・)
江波チヒロ(マコトさんなら絶対に──)

〇クラブ
江波チヒロ(バイトがない日は遅くまで勉強してるのを知ってる──)

〇ゆるやかな坂道
江波チヒロ(今日一日見てきてわかった)
江波チヒロ(私の目は誤魔化せない)
江波チヒロ(黒井マコトのように振舞っているが違う)
江波チヒロ(まったく別物)
江波チヒロ(コイツは──)
江波チヒロ(黒井マコトの皮を被ったなにかだ──)
  お前は、誰だ?
酔っぱらい「うぅ~い」
江波チヒロ「はわっ!」
酔っぱらい「あんれ~? こんら時間り、お嬢ちゃんひとりぃ?」
江波チヒロ「え、ちょっと、なに!?」
酔っぱらい「女ろひとり歩きは危ないじょ~! ヒックッ」
酔っぱらい「う~ぃ・・・・・・オリサンら、送ってあれるから! 行こう、行こうっ!!」
江波チヒロ「ちょっと、放してっ! 痛いってば──」
江波チヒロ「えっ!?」
黒井マコト「大丈夫? もう心配ないよ」
江波チヒロ「あ・・・・・・」
酔っぱらい「オエエエエェェェェェッ」
黒井マコト「ついボディに一発入れちゃった! しばらくはマーライオンだねっ」
黒井マコト「あっ、膝・・・・・・擦り剥いてるね」
江波チヒロ「あ、あの・・・・・・」
黒井マコト「ウチすぐそこなんだ・・・・・・手当するよ」

〇一人部屋
黒井マコト「狭い所だけど・・・・・・」
江波チヒロ「お、お邪魔します・・・・・・」
江波チヒロ(マ、マコトさんの部屋・・・・・・ついに潜入を果たしたわっ!)
江波チヒロ(思ってた通りのいい香り)
江波チヒロ(シャ、シャンプーは何を使ってるのかしら!?)
江波チヒロ(毛・・・・・・! 毛とか落ちてないかしらっ!?)
黒井マコト「・・・・・・こっち来て、手当するから」
江波チヒロ「はっ!」
黒井マコト「これでよし・・・・・・っと」
江波チヒロ「ど、どうも・・・・・・」
黒井マコト「ところで・・・・・・どうしてこんな時間まで女子高生が出歩いているんだい?」
江波チヒロ「そ、それは・・・・・・」
黒井マコト「僕の事をずっと尾けていたから・・・・・・だよね?」
江波チヒロ「うっ」
黒井マコト「別に怒ってるわけじゃないんだ ただ、理由が知りたくてね・・・・・・」
黒井マコト(例の件絡みだと厄介なんだよ)
黒井マコト「で、どうして僕の事を?」
江波チヒロ「お酒──」
江波チヒロ「飲みませんよね?」
黒井マコト「いや、たまには飲むよ、今日みたいにね」
江波チヒロ「嘘です」
江波チヒロ「黒井マコトさんはお酒は一滴も飲みません」
黒井マコト「うーん、どうしてそんな事、君が知ってるんだい?」
江波チヒロ「ずっと見てたから」
  あの日から、ずっと・・・・・・

〇公園のベンチ

〇一人部屋
黒井マコト(チッ、そんな事あったっけかぁ・・・・・・)
黒井マコト「いやぁ、あんまり覚えてないけど、その時も多分、お酒に酔ってて喧嘩しただけだと思うけどなぁ・・・・・・」
江波チヒロ「ありえません 酔ってなどいません」
黒井マコト「そんな、恩人を困らせるような事言わないでさぁ──」
江波チヒロ「恩人じゃないです」
黒井マコト「いやいや、ちょっと何言って──」
江波チヒロ「アナタは私を助けてくれた恩人・黒井マコトではありません」
黒井マコト「そんな・・・・・・どっからどー見ても、黒井ですけどーーー」
江波チヒロ「今朝のSNSへの投稿から引っかかっていました」
黒井マコト「・・・・・・え?」
江波チヒロ「マコトさんの投稿は、いつも理路整然とした美しい文章です 草なんて生やさない」

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コメント

  • ファンタジーなのか、整形なのか、今はわかりませんね。彼女も彼も正義とは言えない同士の争いというのが面白いですね。

  • ストーカーが違和感を発見し、事件を暴く!? 斬新なストーリーですね。彼女も彼もどっちもかなりやばい人物ですね…

  • わあ!謎が謎を呼ぶラスト。
    チヒロも彼もどっちもクセモノ?
    続き気になります!

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