エピソード14(脚本)
〇たこ焼き屋の店内
中園瑚白「そろそろ種明かしをしてくれる?」
真田紅音「ああ、さっきの試験、どうやって視聴率を上げた」
中園瑚白「・・・マジメにやって」
藤原一茶「大真面目や! このサイトをやっとるたこ助言うんは、俺や」
真田紅音「まあ、ネーメングセンスがキツイのはいいとして、このサイトがどうした」
藤原一茶「このサイトでは、定期的に俺がエリートピア選考についての情報を配信しとるんや」
藤原一茶「選考受けた一年前からやっとったらコツコツ登録者が増えて、いま五万人くらいおんねん」
中園瑚白「知らなかった、こんなサイト」
藤原一茶「口コミで広めてるだけやからな。 もちろん俺は自分が誰かは明かしてへんけど」
藤原一茶「ほんで、このチャットルームや」
スマホ画面のチャット欄を見せる一茶。
『私の指示した6つのチャンネルを、試験終了30秒前から見始めて、賛成派に登録してください』
中園瑚白「なるほどね」
真田紅音「・・・ああ、そういうこと」
若山柿之介「なんだべ、全然わかんねーべ。 そもそも視聴率ってのもよく分かってねーべ」
藤原一茶「・・・はあ」
藤原一茶「人事のおっちゃんは会場に着いたんが3000人や言うとった」
藤原一茶「3000人を一つのグループの8人で割れば、375グループ」
藤原一茶「ほんで、約500万人が動画を見とるとも言うとったから500万人÷375で、約1万3000人」
藤原一茶「一グループ平均で1万3000人が見とるいうことや」
若山柿之介「ふんふん」
藤原一茶「ホンマにわかってんのか」
藤原一茶「ほんで、そんなきっちり1万3000人ずつ各動画を見るなんてまずありえへん」
藤原一茶「大体、人気の動画なんてのが何本か出てきて、あとは目くそ鼻くその争いや」
藤原一茶「せやから、そんな何十万人に見てもらう必要ないねん」
藤原一茶「それこそ、1万3000人も見てたらまず大丈夫や思った」
中園瑚白「それで、チャットを使ってこのサイトの利用者に呼びかけたのね」
藤原一茶「投票した証明のスクリーンショット送ってくれた人には、とっておきの蔵出し情報教えますいうてな」
藤原一茶「これから返信に大忙しや」
真田紅音「何で僕たちのチャンネルだけじゃなくて、6つのチャンネルに分散して投票させたの?」
藤原一茶「いや、俺んとこのチャンネルだけ見せたら、俺バレバレやん。自分アホなん?」
中園瑚白「やっぱり、若干反則気味な気もするけど」
藤原一茶「何がや、1万3000人を30分で動かして投票させるて、普通は考えてもやらんだけやろ」
藤原一茶「でも俺はそれができるからやった、それだけや」
藤原一茶「ルールも破ってへんし、現になんのお咎めもくろうてへん」
中園瑚白「なんにせよ、こんなことをやってるなら言ってくれればよかったでしょ」
中園瑚白「そうすればあんな姑いびりみたいなキャラを演じなくて済んだのに」
真田紅音「そうだ、大丈夫としか言わないで、隠す必要なんてなかっただろ」
一茶が紅音と瑚白のふたりを睨む。
「・・・・・・」
藤原一茶「なにを平和ボケしたこと言うとんねん。 次の選考ではつぶし合うことになるかもしれん」
藤原一茶「ホンマはこのサイトのことかて言いたくないねん。 情報は隠しとくに越したことないからな」
真田紅音「じゃあ、何で教えたんだ。 別に黙って帰れば良かっただろ」
藤原一茶「そう思っとったけどな、気が変わった。 どうせやったら中途半端に関わるより、がっつり関わったろ思うてな」
中園瑚白「どういうこと?」
藤原一茶「この四人で、共同戦線貼ろうや」
真田紅音「・・・共同戦線?」
若山柿之介「え、おらも入ってるだか?」
藤原一茶「当たり前や。 案外、柿之介は強力な伏兵になるんちゃうか思うとるわ」
若山柿之介「え、人を殺したりもするだか?」
藤原一茶「マジの伏兵ちゃうわ」
中園瑚白「具体的には、何をするの」
藤原一茶「別に、週末集まって小洒落たバーで小洒落たパーティやろう言うわけやないねん」
藤原一茶「単純に選考の中で助け合えたら助け合おういう話やねん」
藤原一茶「エリートピアの選考はホンマに多種多様や、どこでどんな能力が役立つかわからん」
真田紅音「仲良しこよしは嫌いなんじゃないのか」
藤原一茶「嫌いやで。 せやからこれは百パーセント利己的な提案や」
藤原一茶「自分が選考を進むために利用できるもんは全部利用したろいうことや」
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