P19・涙の行方(脚本)
〇西洋の城
──数ヶ月後──
〇謁見の間
国王「面を上げよ」
国王「勇者ルカード、キオル、ミア」
ルカード「はっ」
国王「此度の魔王討伐の任、よく果たしてくれた」
国王「戦闘の折、腕を負傷したと聞いたが、 大事ないのか」
ルカード「左腕はもう使い物にならないだろう と言われました」
国王「そうか・・・」
国王「生活の保障は約束する。 不自由がないよう最大限のことをしよう」
ルカード「ありがとうございます」
ルカード「でも、冒険者をやめるつもりはありません」
国王「そうか」
国王「褒美をつかわす。 欲しいものを言ってみよ」
ルカード「欲しいもの──」
キオルとミアが、揃って頷く。
ルカード「魔族、魔獣への密猟行為及び売買取引の 取締りの一層の強化と法の整備を願います」
ルカード「この度、魔王がその力を奮ったのは、ひとえに魔界の安泰、同族を守るためでした」
ルカード「人間界の歪みを解消し、 魔界との永続的な友好関係を望みます」
国王「そなたは昔からそう言っていたな・・・」
国王「なかなか主張を汲まぬ私を、さぞ不甲斐なく、もどかしく思っていただろう」
ルカード「は──ぃいえ!」
国王「ははは」
国王「密猟、違法取引については ギルドから情報提供があった」
国王「徹底的に取り締まることで、魔界との均衡が保てるのであれば越したことはない」
国王「しかし、新たな魔王が誕生し、 人間界に報復を望めば──」
ルカード「魔界との対立は 避けられると考えております」
ルカード「私を、特使として 魔界へ派遣してください」
国王「そなたを・・・?」
国王「・・・分かった。 宰相と相談して進めるといい」
ルカード「はっ」
国王「先の競売についても、領主を通じて 報告と謝罪があったと聞いている」
国王「参加者にはそれなりの処罰を 与えるつもりだ」
国王「無論、ラフェルにも──」
ルカード「お聞き及びでしたか」
国王「兄を嫉み、不満をつのらせていることは 気付いていた」
国王「しかし、まさか魔王を 支配下に置こうとするとは・・・」
国王「下手をすれば国が滅ぶところであった」
国王「止めてくれたこと、感謝する──」
〇城門の下
ルカード「はぁ〜っ」
ルカード「緊張したぁ」
キオル「報奨金のおかげで しばらく働かずに済むな」
ルカード「そういう訳にはいかないよ!」
キオル「え・・・」
ルカード「法がきちんと制定されるまでは 油断できない」
ルカード「今まで通り活動しよう」
キオル「でたよワーカホリック・・・」
ミア「いつものことね」
ミア「・・・とはいえ」
ミア「少し、休んでもいいんじゃないかしら?」
ルカード「え?」
ミア「腕のこともあるし、それに・・・」
ミア「ヴィエリゼちゃんのこと・・・」
ミア「気持ちの整理をする時間が 必要だと思うの」
ルカード「気持ちの整理・・・?」
ルカード「・・・・・・・・・」
キオル「あー・・・まあ、動いてる方が 気が紛れるってこともあるよな」
ルカード「大丈夫」
ルカード「すぐに魔界へ出発しよう」
キオル「ルカード・・・」
ミア「・・・大丈夫なわけないじゃない」
〇巨大な城門
──数日後──
門番「あー、仕事クビにならなくて ホントよかったぁ」
門番「勇者さん!」
ルカード「やぁ、久し振り」
ルカード「ケガは治った?」
門番「おかげさまで!」
門番「今日はどうしたんですか?」
ルカード「大事な用があって・・・」
ルカード「偉い人に会わせてもらえる?」
ミア「大丈夫なのかしら・・・」
キオル「門をくぐった途端に 襲われたりしないだろうな」
ルカード「二人ともどうしたの?」
ルカード「早く行こう!」
ミア「え、ええ・・・」
〇謁見の間
ルカード「前魔王──ガルディアス!?」
ガルディアス「フ・・・ 私を呼び捨てにするとはいい度胸だ」
ガルディアス「勇者ルカード」
ガルディアス「魔王を討伐しお前は使命を終えたはず」
ガルディアス「何故また魔界へ現れた」
ルカード「友好条約を結びたい」
ガルディアス「なんという傲慢な申し出か」
ガルディアス「人間が我らに 関わらなければいいだけのこと」
ガルディアス「過ぎた干渉は不幸になる」
ガルディアス「私の娘、ヴィエリゼのように──」
ルカード「・・・ッ」
ルカード「エリゼは──」
ガルディアス「馴れ馴れしく娘を呼ぶな!!」
キオル「危ない!」
キオル「おいおい・・・ 第二次魔王討伐戦ってか!?」
ミア「・・・っ」
ダーリナ「魔王様に──」
ダーリナ「手出しはさせません!」
ミア「魔王ですって!?」
ダーリナ「ヴィエリゼ様に代わり、ガルディアス様が 魔王として復活なさったのです」
ローレット「冷たっ!」
ローレット「何すんのよ!!」
キオル「武器持って走ってきたら 警戒するに決まってんだろ!!」
フェゴール「・・・何だか楽しそうですねぇ」
ゲンティム「俺らも楽しもうぜ?」
ゲンティム「なんたって、勇者サマが相手だからな」
ルカード「やるつもりなの?」
ゲンティム「お前とはガチで 戦ってみたかったんだよなぁ」
ルカード「俺、左腕動かないけど」
ゲンティム「大丈夫だ、俺もあんまり身体動かん」
フェゴール「私は立ってるだけで精一杯です」
ルカード「大丈夫じゃないじゃん」
ルカード「それより早く──」
ゲンティム「ほら、かかってこいよ」
ルカード「はぁ・・・」
ルカード「ハッ!」
ゲンティム「うりゃ」
ゲンティム「本気だせオラァア!」
ルカード「そんなこと言われても・・・」
ローレット「よくもエリゼを・・・っ」
キオル「それは──」
ミア「私たちも ヴィエリゼちゃんのことは・・・」
ミア「──ッ」
ダーリナ「あなた方のなさったことは、 到底許せることではありません」
ダーリナ「よくもヴィエリゼ様を・・・」
ローレット「エリゼを・・・」
「泣かせましたね!! / 泣かせたわね!!」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・えっ?」
ローレット「えっ、じゃない!!」
ローレット「あのモブが無茶なことしたせいで、 エリゼがどれだけ悲しんだと思って──」
キオル「待て待て待て」
ミア「ヴィエリゼちゃん・・・」
「生きてるの!?」
ローレット「はあ?」
ローレット「当たり前でしょ、何言ってんの」
ローレット「とにかく、あのモブ野郎ぶん殴らないと気が済まないんだから、邪魔しないでっ!!」
キオル「うわ、危ねっ!」
ミア「ローレットちゃん落ち着いて・・・」
ローレット「ゲンティム!!」
ローレット「さっさとそいつ片付けてよ!!」
ゲンティム「ちょっと待って・・・」
ゲンティム「あー、やっぱダメだ。 あっちこっち痛くなってきた」
フェゴール「やはりまだ療養が必要のようですね」
ガルディアス「不甲斐ない奴らだ・・・」
ガルディアス「勇者よ」
ガルディアス「私が相手になろう」
ガルディアス「私の可愛い娘を泣かせた罪──」
ガルディアス「その身をもって償うがいい!!」
〇黒
〇要塞の廊下
〇洋館の階段
〇洋館の廊下
〇謁見の間
???「何してるんですか──!?」
ヴィエリゼ「お父様っ!!」
前回ラストで「まさか」と思い、今回も途中まで「やっぱりそうなってしまったのか」と思っていましたが…最後の最後で登場してくれて一安心です!
一体あの時何があったのか、謎が明かされる次回も楽しみです^^
前の話読み飛ばしたかと思った…!😨
エリゼも前魔王も健在…!!✨
一体あの戦いで何が起きたのか…
ハッピーエンドの予感☺️