第2話 勇者の資質(脚本)
〇テーブル席
警察官「容疑者を確保しました!」
警察官「被害者はどこへ・・・?」
松本舞花「お姉ちゃん・・・ いえ、姉は・・・」
松本舞花「刺されてすぐ、光に包まれて 気づいたらいなくなってて・・・」
警察官「近年、類似の事件が起こっているようです」
警察官「詳しい情報をお聞かせください 署まで同行願えますか?」
松本舞花「はい・・・」
松本舞花(どこに行っちゃったの? お姉ちゃん・・・)
〇黒背景
・・・・・・
松本舞花「お姉ちゃん」
・・・舞花?
松本舞花「お姉ちゃん 今まで育ててくれてありがとう」
松本舞花「あたしはもうだいじょうぶ」
舞花!
そいつについてっちゃダメ!
松本舞花「だからお姉ちゃんも、自分の幸せを見つけて」
待って、舞花!
〇城の客室
松本真理「舞花っ・・・!」
松本真理「・・・あれ?」
第一王子ミシェル「お・・・ おはようございます、マリー様・・・」
松本真理(・・・夢?)
第一王子ミシェル「昨日はよくお眠りになれましたか?」
松本真理(・・・どっちが?)
第一王子ミシェル「・・・マリー様?」
松本真理「ミシェル様! あたしのこと、殴ってくれませんか!?」
第一王子ミシェル「えっ!?」
松本真理「痛ければこっちが現実! 痛くなければあっちが現実!」
第一王子ミシェル「し、しかし・・・」
松本真理「ミシェル様、お願いします!」
松本真理「ほら、昨日の仕返しだと思って!」
第一王子ミシェル「・・・・・・ 夢でないことがわかればいいのですよね・・・?」
松本真理「まあ、はい」
第一王子ミシェル「・・・わかりました では・・・」
松本真理「なっ、なにしてるんですか!?」
第一王子ミシェル「痛いので・・・ここが現実です」
松本真理「だからって、そんな力いっぱい自分を殴らなくたっていいでしょ!?」
松本真理「そうだ、リゼットさんを呼んで・・・」
宮廷魔導師リゼット「おはようござ・・・」
宮廷魔導師リゼット「・・・ミシェル!?」
松本真理「リゼットさん、ちょうどよかった! ミシェル様が・・・」
宮廷魔導師リゼット「婦人の寝室に気安く入るな!」
第一王子ミシェル「ち、違う! そんなつもりじゃ・・・」
宮廷魔導師リゼット「いいから早く出ろ!」
宮廷魔導師リゼット「マリー様 早速で申し訳ありませんが、緊急議会を開くことになりました」
宮廷魔導師リゼット「まもなく侍女が来ます 支度ができましたらお声がけください」
松本真理「そ、それはいいですけど ミシェル様のこと、治してあげてください」
松本真理「あたしが余計なこと言ったから・・・ ミシェル様、自分のこと殴っちゃったんです」
宮廷魔導師リゼット「・・・わかりました」
〇城の廊下
宮廷魔導師リゼット「まったく・・・」
宮廷魔導師リゼット「前にも言っただろう 異性の部屋に軽々しく入るものではないと」
第一王子ミシェル「・・・けど、リゼットは僕の部屋にすぐ入ってくるじゃないか?」
宮廷魔導師リゼット「わたしたちはいいんだ いとこだからな」
宮廷魔導師リゼット「それよりミシェル 昨日の・・・」
勇者マリー「お待たせしました・・・」
第一王子ミシェル「・・・・・・」
勇者マリー「変じゃないですか?」
宮廷魔導師リゼット「・・・ミシェル」
第一王子ミシェル「・・・よ、よくお似合いです」
勇者マリー「よかった!」
勇者マリー(あのフリフリのドレス断って正解だったな)
宮廷魔導師リゼット「ではまいりましょう」
勇者マリー「・・・・・・」
第一王子ミシェル「ど、どうかなさいましたか?」
勇者マリー「治してもらったんですね よかった!」
勇者マリー「じゃ、あたしたちも行きましょ」
第一王子ミシェル「は、はい・・・」
〇神殿の門
宮廷魔導師リゼット「ではマリー様、ミシェル殿下 わたしはここで失礼します」
勇者マリー「あれ? リゼットさんは会議出ないんですか?」
宮廷魔導師リゼット「ええ、まあ・・・」
第一王子ミシェル「・・・・・・」
宮廷魔導師リゼット「後ほどお迎えにまいります」
第一王子ミシェル「リゼット!」
第一王子ミシェル「・・・だいじょうぶだ 悪いようにはならないよう、頑張るから・・・」
宮廷魔導師リゼット「・・・期待はせずに待つよ」
第一王子ミシェル「・・・では、行きましょうか・・・」
勇者マリー(・・・ミシェル様、震えてる?)
勇者マリー(それにすごい汗・・・ 緊張してるのかな)
勇者マリー「ミシェル様、これ使ってください」
第一王子ミシェル「これは・・・」
勇者マリー「洗って乾かしたからだいじょうぶですよ!」
勇者マリー(あたしのじゃないけど・・・ ま、もっかい洗えばいいでしょ)
第一王子ミシェル「・・・・・・」
第一王子ミシェル「ありがとう、ございます・・・」
〇西洋の円卓会議
家臣「殿下、いかがいたしますか?」
第二王子クレール「勇者殿がどれほどの力をお持ちなのか、見定めるのが先だ」
第二王子クレール「いくら勇者を得たからといって、無策で突撃するわけにはいかない」
勇者マリー(・・・あの人がクレール王子 ミシェル様の弟さん・・・)
第二王子クレール「しばらくは国境を固め、帝国の出方を見るべきだな」
第二王子クレール「騎士団と魔導師団に依頼し、勇者殿の適性を見させよう」
勇者マリー(全然似てないな・・・)
宮廷魔導師ユーグ「お待ちを」
宮廷魔導師ユーグ「リゼット殿の除籍処分・・・ 及び、勇者の再召喚を求めます」
勇者マリー「え・・・ええっ!?」
〇綺麗なリビング
松本舞花「うう・・・」
松本舞花「・・・はっ!?」
松本舞花「ここは・・・」
松本舞花「そっか・・・ 帰って来て、そのまま寝ちゃったんだ・・・」
〇綺麗なリビング
松本真理「おはよう舞花! 朝ご飯とお弁当できてるよ」
〇綺麗なリビング
松本舞花「・・・・・・」
松本舞花「やっぱり・・・ 夢じゃなかった・・・」
松本舞花「大智くん、あたしを騙してたんだ・・・」
松本舞花「許せない・・・ あの女がお姉ちゃんを・・・」
松本舞花「・・・違う」
松本舞花「あたしがバカだったからだ・・・」
松本舞花「大智くんを信じるなって、何度も言ってくれてたのに・・・」
松本舞花「あたしのせいでお姉ちゃんが・・・」
松本舞花「お姉ちゃん・・・」
松本舞花「神様・・・ 天国のお父さん、お母さん・・・」
松本舞花「ううん、この際悪魔だっていい」
松本舞花「お姉ちゃんに会わせて・・・!」
松本舞花「あたしはどうなってもいいから!」
松本舞花「えっ・・・なに!?」
〇西洋の円卓会議
第一王子ミシェル「待ってください どうしてそんなことを・・・」
宮廷魔導師ユーグ「マリー殿に勇者の力が備わっているとは思えません」
宮廷魔導師ユーグ「無力な勇者を召喚したリゼット殿にもなんらかの処罰が必要でしょう」
勇者マリー(どうしよう 会議のときってどうやって発言に割り込んだらいいの?)
宮廷魔導師ユーグ「そもそも、リゼット殿を宮廷魔導師に任命したことが間違いだったのです」
勇者マリー(お待ちください? お待ちなさい? 異議あり?)
第二王子クレール「早計すぎるぞ、ユーグ 勇者殿の力を見てからでも遅くはない」
第一王子ミシェル「わ・・・ わたしもクレール様の意見に同意します」
宮廷魔導師ユーグ「・・・では仮にマリー殿が勇者の資質をお持ちだったとしましょう」
宮廷魔導師ユーグ「それはそれで問題があります」
第二王子クレール「どういうことだ?」
宮廷魔導師ユーグ「女魔導師に召喚された女勇者に救われた国ということが、後世まで語り継がれます」
宮廷魔導師ユーグ「リュテスという国に、一点の翳りもあってはならぬのです」
宮廷魔導師ユーグ「ご婦人はキッシュを焼き、裁縫をしながら夫君の帰りを待っていればよろしい」
第一王子ミシェル「ユーグ・・・!」
勇者マリー「あ・・・ あいや待たれい!」
「・・・・・・」
勇者マリー(やばっ この前までやってたゲームのセリフ出ちゃった)
勇者マリー(ま、いっか それより・・・)
勇者マリー「ユーグさん! 会議室は性癖開陳場じゃないんですよ」
宮廷魔導師ユーグ「な、なにっ?」
勇者マリー「ユーグさんは料理と裁縫が得意な女が好きなんでしょうけど 女がみんなそうじゃないし」
勇者マリー「あたしのことなにも知らないのに、性別だけで判別しないでくださいよ」
宮廷魔導師ユーグ「しかし・・・ 男と女では担うべき役割が・・・」
勇者マリー「あーもう、話のわからない奴だな!」
勇者マリー「あたしの適性を見てから決めろって言ってんの!」
宮廷魔導師ユーグ「・・・し、しかし・・・」
第一王子ミシェル「マリー様のおっしゃるとおりです!」
第一王子ミシェル「ま、まずはマリー様の適性を見るのが大事かと・・・」
第二王子クレール「確かにミシェル殿の言うとおりだ」
第二王子クレール「そういうわけだ、ユーグ 処分は保留にするぞ」
宮廷魔導師ユーグ「・・・・・・ ・・・御意」
第一王子ミシェル「で、では失礼します・・・」
勇者マリー「・・・あ、そうだ」
勇者マリー「もしあたしがダメでも、全部の女がダメなわけじゃないですからね!」
勇者マリー「ミシェル様、行きましょ!」
宮廷魔導師ユーグ(・・・なんなのだ、あの女は・・・)
〇城の廊下
勇者マリー「あいつ、ほんとムカつく!」
第一王子ミシェル「マリー様・・・ すみませんでした・・・」
勇者マリー「なんでミシェル様が謝るんですか?」
宮廷魔導師リゼット「マリー様、ミシェル殿下・・・」
勇者マリー「あ、リゼットさん」
第一王子ミシェル「・・・処分は保留になりました」
宮廷魔導師リゼット「・・・そうなのですか? 正直、除籍処分を覚悟していましたが」
宮廷魔導師リゼット「ユーグ殿はわたしを目の敵にしていましたから」
宮廷魔導師リゼット「なにか失態を犯せば、すぐにつついてくるだろうと・・・」
勇者マリー「だいじょうぶ! あたし、頑張りますから」
勇者マリー「女ってだけで見下してくる男って、あたし嫌いなんですよ」
勇者マリー「だから、リゼットさんをクビになんて絶対させません!」
宮廷魔導師リゼット「マリー様・・・」
勇者マリー「で、最初はなにをすればいいですか?」
宮廷魔導師リゼット「そうですね まずは騎士団のところへ行きましょうか・・・」
第一王子ミシェル「・・・・・・」
〇闇の要塞
〇謁見の間
皇帝トビアス「・・・では召喚士たちよ 各々配置に・・・」
ガンディア兵「申し上げます!」
皇帝トビアス「何事だ これから召喚の議を行うところであるぞ」
ガンディア兵「城の裏庭に、奇妙な服装の少女が倒れていました」
ガンディア兵「おそらく異世界の人間ではないかと・・・」
皇帝トビアス「なに!?」
皇帝トビアス「・・・!」
皇帝トビアス(胸の奥が騒ぐような、この感覚・・・)
皇帝トビアス(まさか・・・ この少女が、オレの求める・・・)
なんでしょう、星月さん作品は他の作品のも台詞回しが自然で入ってきやすいですね……。
もっと評価されるべし……!😭
よくある展開で、まさかミシェルさん『自分を攻撃』とかおやめなさって!!!(可愛い!)
真理さんのキャラクターの魅力が余すところなく出ている今話ですね。一本気で心優しく魅力的です。「あいや待たれい!」には吹いてしまいましたがw