幸せの在り処(ありか)

朝永ゆうり

7 友情という虚構(脚本)

幸せの在り処(ありか)

朝永ゆうり

今すぐ読む

幸せの在り処(ありか)
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇一戸建て
「ママーーーっ!」

〇豪華なリビングダイニング
芽依「ななみ、ママが・・・ママが・・・ ひっく」
七海「大丈夫よ、芽依ちゃん 芽依ちゃんには私もいるし、それに」
七海「きっとママは戻ってくるから」
  そう、玲未はきっと戻ってくる──
  私たちを壊そうと、ね。
  でも
  どうにもできない臆病者は──
  何もできずに、ハンカチ咥えて見てるだけでしょ?
七海(この絵 芽依ちゃんに描かせて正解だったな)
七海(三人でいる絵が欲しいなって伝えたのに 描いている間は『内緒』って・・・)
七海(可愛かった〜♡)

〇教室
  『家が近い』
  ただそれだけの理由で仲良くしてた。
  だから、あの時から──
「触んな、バイキン!」
「きったねーバイキン!」
「バーイキン、バーイキン!」
玲未(幼少期)「ちょっと アンタたちやめなよ!」
クラスメイト「ありがとう・・・」
玲未(幼少期)「あんなの気にすることないよ!」
クラスメイト「あのね 転校することになったの・・・」
クラスメイト「だから今まで・・・ ありがとう」
「バーイキン、バーイキン」
「きったねーバーイキン!」
「もう、やめなよー あははっ!」
「二宮さんかわいそうだよー ふふっ」
七海(幼少期)「・・・・・・」

〇グラウンドの隅
玲未(幼少期)「七海 もう学校では仲良くしなくていいから」
七海(幼少期)「え・・・?」
玲未(幼少期)「七海までいじめられたら かわいそうだもん」
七海(幼少期)「・・・うん、わかった」
七海(幼少期)(上から目線・・・ムカつく)
七海(幼少期)(自分の方がちょっと 勉強できるからって・・・)
七海(幼少期)(・・・もうちょっと 仲良くしとくか)
  こんなこと
  思ったのが間違いだった。

〇教室
  私たちは中学でも
  カーストの底辺にだったのに──
  玲未は先生に媚を売った。
  テストでいい成績を取った。
  学級委員と生徒会に入った。
  『空気読めないヤバいやつ』だった。
  ──でも後からわかったよ。
  優等生ぶってた理由って
  現実から逃げるためだったんでしょ?
  玲未が虐められても
  隠したがった理由って
  上の高校に行きたいからじゃないでしょ?
  ──いじめから
  逃げるためだったんでしょ?
  でもさ、小学生のときに学ばなかった?
  逃げたらね、
  その人と仲良い人がいじめられるの。
玲未「大丈夫だよ、このくらい!」
  その笑顔の裏で、
  私がいじめられてもいいって──
  ──ずっと思ってたんだよね?
七海(・・・私は、 あんなに仲良くしてあげたのに)

〇モヤモヤ
  おまえが
  逃げたから──
「うっわ、秋築いんだけど」
「マジかー 唯一のお友達に裏切られちゃったもんね かわいそー」
「可哀相なぼっち秋築には〜」
「これどーぞ♪」
「アッハッハッハッ!!」
七海(こんなの・・・)
七海「誰か・・・──」
七海(私が誰かと仲良くしたら きっとまた誰か傷付く)
七海(そんな負の連鎖は終わらせる・・・ けどこの気持ちは・・・ 私の気持ちは・・・)
七海「・・・やり返せば、いいんだ」

〇豪華なリビングダイニング
  誰も傷つけなかったよ、私は。
  おまえとは、違ってね。
七海(一回幸せを味わった人を 落とす方が──)
七海(より不幸になるんだよね)
  その代わり、
  捻り潰してあげたよ。
  おまえの幸せを。
七海(玲未が幸せなんて 絶対にユルサナイ・・・)
七海(早く戻ってきなよ。 早く私に頭下げてよ。 『ごめんなさい』って)
七海(・・・まあ、許さないけどね もっと壊れないかなぁ〜、玲未♡)

〇空

〇一人部屋
久嗣「おら、よ」
玲未「ありがと・・・」
久嗣「しっかしそーかー いじめられっこ二宮が こんなべっぴんさんに・・・」
久嗣「人生何があるか分からねーな」
久嗣「あー、結婚してたか じゃあ・・・連れ込んだの失敗だな」
玲未「はぁ?」
久嗣「ははっ、いい反応」
玲未「なにそれ」

〇駅前広場

〇一人部屋
玲未「・・・蒔田くんは? かっこいいしモテてたし 彼女とか結婚とか・・・」
久嗣「んー・・・ 俺はそういうの 向かないっぽいから」
玲未「え?」
久嗣「バツイチ。 子供もいるんだけど 会えねーんだよもう」
玲未「・・・なんかゴメン」
久嗣「おう!気にすんな! 俺は間違いなく結婚向かねー男って だけだから!」
  ・・・そうだ。
  私は、蒔田くんのこの底抜けの明るさが
  憧れだったんだ──
久嗣「で、あんなところに 傘も持たずにしゃがみこんで・・・」
久嗣「旦那と喧嘩でもしたか?」
玲未「ねえ、秋築七海って覚えてる?」
久嗣「あー、秋築な・・・ アイツ、高校入ってから かなり性格変わったよな」
久嗣「怖いくらいに勉強してさ まじキモい根暗って感じで──」
久嗣「刃物持たせたら人殺しそうだし ヤバいから気をつけろって 噂だったんだけど・・・」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:8 衝動という悲愴

コメント

  • もう完結されているのは知ってるのですが、マイペースに読ませて頂いています。
    この作品は、精神世界だけの苦しみがメインかと思っていましたが、ついに一線を越えるキャラが出てきましたね…!
    蒔田は協力者だけど、七海以上にデンジャラス??

  • ぎゃー!現実の蒔田は仮想以上に最悪だったー!!!😱
    憎しみの思惑がぶつかってどんなことになるのか……
    8話まで待って良かったと思いつつ、8話の最後には阿鼻叫喚やってる予感もします😂

  • わぉ(๑°o°๑)
    こりゃとんでもない展開ですね!

    やっぱり男同級生はオラってたw
    この違和感はここに繋がってたのかしら?笑

    まさに愛憎。
    憎しみってそうぽっと出に生まれるものではないと思ってます。募らせていくもの。
    気づくこともなく加速する感じがリアルです。
    もう支配されちゃう感じ。すごいです。

    今のところ、娘ちゃんが気がかりです。
    何もわからないだけに、大人になった時が辛いです😢

コメントをもっと見る(10件)

ページTOPへ